表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/131

第五十四話 仮面女

 憂鬱だ……。

 何故、と言われればそういうことがあった場所と答えるしかない。

 村についた俺達は、この惨状に絶句する。

 ……一言で言うならば廃村。

 もう少し足すならば、何かに荒らされた後……いや、襲撃された後のような惨状。

 前は近くには寄れなかったが、こんな状態だったのか。


「……酷い」


 ポツリとティナが溢す。

 悲痛な表情をしている。


「ああ……」


 辺りを見渡しながら俺は答える。

 なんでこんな事になっているのか?

 つうか、あの仮面女……こんなとこに住んでるのか?


「何があったんだろう……」


「さぁな? 俺らには関係ねぇ事だろ」


 うーんとティナは唸り、俺は警戒をする。

 どこぞから仮面女が出てくるか分からないからな。


「……何も警戒し過ぎじゃない?」


「お前は警戒しなさすぎだ。いつ襲われるか分からねぇんだぞ」


 集中し、音を聞き取る。

 今のところ何にもなさそうだ。


「何しに来た……こんな所に」


 ビクッとし、振り返る。

 そこにいたのは……金色に輝かせた髪をした少女だった。

 だが、仮面をつけてはいない。

 気の強そうな目つきをしている。

 服装もまた違う。

 前は露出の多いような動きやすい服だったが、今回は露出の少ない、それでいて動きやすそうな服になっている。

 ……つうか別人じゃね?


「あ、村の人ですか?」


 何にも疑りの目も向けず、ティナが金髪に話し掛ける。

 一方、金髪は俺の方を凝視し、睨み付けるようにしていた。


「……変態嘘つき人間が何故ここにいるッ!」


 ああ……神は俺を見捨てたのか……。

 コイツ、仮面女か……。


「第一声がそれってなんだ……つうか変態はやめろ仮面」


「うるさいッ! 急いで着替えを済まし、お前のいる場所に行ったら……居なかったんだぞッ!!」


 仮面女は目を白にして、拳を握りながら怒りの表情をしている。


「誰が大人しく待ってるっつうんだ? 」


「黙れ変態ッ! そもそもお前が私の服を……!」


「メイさん!? そんなことしたの!?」


「してな……いや、したが! ……やめろティナ! そんな顔すんな! 誤解だ誤解ッ!」


 俺の応えにティナが蔑むような目で見てくる。

 俺は無実だろ!?


「ふーん……メイさんってやっぱり、胸が大きい方がいーんだ?」


「やっぱり変態かッ! 人間で変態な!」


「ち、違っ!? それにティナだってそれなりにあるだろ!?」


「なっ……何言ってるのよ! メイさんの馬鹿ッ!?」


「なんで叩くッ!?」


 ティナに強烈なビンタを喰らい、俺に厳しい目線が突き刺さる。

 この扱いは酷い。

 敵と共闘してティナのヤツ裏切りやがった。


「お、女はその……胸だけじゃないよ! ほらもっと……こう……」


「お前は論点ズレてんじゃねぇの!?」


 こんな話をしている場合ではないだろとにかく!


「それより人間……戻ってきたということは……覚悟は良いのだろう?」


 元仮面女が槍を取り出して、構えを取る。

 やっぱこうなるのかよ!?


「た、戦うのは駄目だよ。お仕置きなら良いけど」


「お仕置きと称して命刈り取られるんで却下」


 ティナのフォローが全然フォローになっていない。

 それどころか敵に加担しそうな勢いだ。


「お前は何故そんな変態と……」


「やめろッ! その称号が増えたらどうする!?」


「……お前は何故そんな変態と行動する? 魔人の娘よ」


「間を置けばいいと思うなよこのアマッ!?」


 まじでこの変態が称号に増えたら最悪だ。

 確かに能力が上がるのは良いけども、でもだ!

 この称号だけは取ってはいけない!

 そんなの駄目だッ!


「私、メイさんとは友達だから」


 ムッとした表情でティナは元仮面女を見る。


「なら……庇うのか?」


「当たり前だよ。お仕置きはしていいけど」


「ティナッ! お仕置きも止めさせてくれよ!」


「……しょ……しょうがないなぁ……断食7日で許してあげる」


「死ぬわッ!!」


 いや、死なないかもしれないけどよ!

 でも嫌だ!

 腹が減っていくのはとても辛い!

 この世界で初めて学んだ事だこれは!


「……そうか……人間の肩をもつなら……」


 タンッと地面を蹴る音と同時に仮面女は動き出していた。

 ティナに向けて槍で突っ込むつもりか!


「容赦しないぞッ!」


「ギャアッ!!」


 さっきまで黙っていたコメットが仮面女に襲いかかり、腕を噛みつこうとする。

 それに気づいた仮面女はティナへの攻撃をやめ、コメットを凪ぎ払い、距離を取らせる。


「なんでそんなに人間を敵視するの!? 確かに服を脱がしたのは駄目だったよ! でも、本当はこの人、優しいの!!」


「ティナ!? それ誤解ッ! 脱がしてはいない! 服切れただけッ!」


「……お前は騙されている! 人間は……全員、悪だッ!」


 仮面女の槍はティナ目掛けて放たれる。

 それにティナは剣で迎え撃つ事になった。

 剣で槍の軌道を逸らし、かする程度で抑える。

 その状態でティナは相手の目を見て話を行う。


「違うよ! お願い! 機会を頂戴! メイさんと、私に害はないと証明できる機会を!」


「そんなものあるわけないッ!」


 キンッと金属音が鳴り、剣と槍は離れた。

 ……なにこれ。

 俺、入っていいのかコレ?


「人間を信用すれば痛い目を見る! それを私は知っているッ!」


「人間は私達と同じなの! それを私は知ってる!」


 仮面女とティナはにらみ合いを始め、俺とコメットはそれを眺めている。

 どうすりゃ良いのさこれ。

 戦っていいのけぇ?


「平行線だろう……だが、私の考えは変わらない! 死にたくなければ、私を殺せばいいッ!」


 槍を振り回し、ティナへと駆けていく。

 いやーどうすっかなぁ。


「はぁあッ!」


「あっ? おい!」


 ティナも斬り込みに行ってしまった……。

 しゃあねぇ、やってみるか。

 麻痺は耐性があったし、地道に削っていこう。

 幸い、前よりはスピード出るし。


「ったく……先手を取るのは、俺の……」


 瞬時に仮面女の後ろへとつき、意表をつく。


「専売特許だ」


 ナイフを抜き、背中を切り裂く。

 しかし、槍がこちらに向き弾いていく。


「嘘だろ……」


「はぁッ!」


 弾いたと思ったら、突いてくる。

 器用なヤツだ。

 幸い避けられたものの、避けられなければ一瞬でヘソが増えることになっただろう。

 コイツのステータスは俺らより上と考えで良いだろうな。

 コメットの攻撃をかする程度に抑え、ティナの攻撃を完全に見切り、俺の攻撃を槍でガードする。

 相手はカウンターを俺だけに向けて狙ってくる。

 しっかし、俺の攻撃にだけ敏感に反応しやがる。


「ちょこまかと! 鬱陶しいヤツだ!」


「これしか出来ねぇんでな!」


 クソッ! 数の暴力で抑え込んではいるものの、標的をティナやコメットに変えられてしまったらヤバい。

 一刻も早く、この戦闘に決着をつけないといけない。


「本当に人間は、全員悪だと思うの!?」


「当たり前だろう! 善なる者はいる訳がないッ!」


「そんなことないッ! 魔人にも善悪がいるように、他の種族にもいるのよ!」


「そんな暴論、信じられるものかッ!」


「どっちが暴論よ!」


 会話がついていけねー。

 次いでに今、俺は攻めるのを止めてる。

 ……加減しながらアイツ、戦ってやがる。

 だから、前のように俺を殺す気で来ないのだろう。

 正確にはこれないのだろう。

 魔人を殺す気はないが、人間の俺は殺すと……。

 本当……種族の壁って言うヤツは面倒くせぇなぁ。


「ま、もういい加減にしようぜ?」


 イラついた。

 アイツ、俺ばっか攻撃してきやがって……。

 練習も兼ねて、俺の素早さ見せてやるよ……。


「うっし、じゃあ……」


 タンッと地面を蹴り、ティナと仮面女の間に割って入った。


「一緒に踊ろうか……お前ら」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ