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第三十六話 全員集結

「流石……我の……自慢の弟だ……」


 刃を受けた、レイトナイドは膝から倒れこみ、カートナードに支えられる事となった。


「兄貴……」


「なるほど……確かに……違う……やり方……だな……」


 声を絞り出すようにして、レイトナイドは一語一語しっかりと言った。


「かなり卑怯なやり方だけどもなー」


 久しぶりに言葉を交わしたカートナードはいつもの口調に変化する。

 少しずつ、顔が柔らかくなっていた。


「どんな……やり方でも……一本取れと言ったからな」


「……んな昔のこと覚えてるとか、ぱねぇな」


 こうして面向かって話すのは年単位の年月を要したが、今、こうしてカートナードは話せている。


「でも……まぁ……長かった……長かったな」


 数え切れないほどの兄との戦い。

 そのどれもを一本取ることが出来なかった。

 仲間の力を借りるという、正々堂々の戦いではなかった。

 だが、それでもレイトナイドへの初の勝利だったのだ。


「話してぇ思い出話、いっぱいあんだわ。けど、まだやることあっから」


 レイトナイドを横にして、カートナードは立ち上がる。


「……ああ、行ってこい……仲間と共に」


「おう! 行ってくるぜ! 気長に待っててくれー!」


 HPは7割を切っている。

 それでも行くのだ。


「シュルネイル、行こうかぁー!」


「はいですよ! カート!」


 仲間と共に……




 ・




 ・




 ・




「空飛ぶとか、まじなんなんだよ」


 ひっきょうだわぁ……

 俺は宙に浮く野郎を見ながら毒づいている。

 いきなり悪魔みたいな翼を羽ばたかせて空を飛んでいやがる。

 眼鏡の奥から勝ち誇った目、余裕の表情……

 イラつく……!


「あらぁー? メイ? メイかー!」


「……うげ」


 突如後ろからうるさい声が聞こえてきた。

 絶対、この声はカートナードだ。


「なんだー! 来てんなら言ってくれりゃあ良かったのにー!」


「うっせ! 大体なんで言う必要あんだよ!」


「つれねぇこと言うなってー」


 ケラケラと笑いながらカートナードは話し掛けてくる。

 ああ、クソッ!

 相手のペースに乗せられる……!


「ふむ……ですが、6年はもちましたか」


「……やっぱてめぇか……兄貴に変な魔法、掛けやがったのは……!」


「……兄貴?」


 野郎とカートナードの会話を聞いて、不思議に思う。

 まず、カートナードに兄貴なんていたのな。

 アイツの兄かぁ……

 ……うるさそうだな。


「……お待たせしました。皆さん」


「お、レイジ。メイと俺の攻撃力を上げてくれ」


 レイジがどこからともなく現れたと同時にカートナードは指示を出した。

 つかなんで俺の名前入ってんだよ……


「分かりました」


 レイジは承諾し、詠唱に入った。


「見せてやるよ……この日の為に、集まった革命軍の力ッ!」


 カートナードが啖呵を切る。

 と同時にレイジが詠唱を終えた。


「パワーブーストッ!」


 なんだろう……この力が入ってくる感覚は。


「先陣を頼んだ! メイ!」


「……はぁ」


 他にもいるだろうに……

 何故俺なんだ?


「言いなりになるのは癪だからな……これで貸し3な」


「あっははー! いいぜぇ……コイツを追い出したら派手に祭りでもしようぜ!」


 大声で笑い、元気よく言う。

 ため息をつきながらも俺はパラライズの詠唱を行い、路を蹴る準備をする。

 電信柱ほどの高さに野郎はいる。

 でもま、今の俺なら余裕だ。


「よっ……」


 勢いよく駆け出して、俺は野郎の真下に移動する。


「下等種族がこの高さ、届くとでも────」


「思ってるから……突っ走ったんだろ?」


 野郎の目の前にたどり着き、左手で野郎の顔面に触れる。

 触れたからいいけども……

 くそ……鷲掴みしてやりたかった。

 後退しやがって……


「な……何をしたのですか……」


 ふらっと力が無くなったかのように、野郎は高度が低下する。


「教えるわけねーだろ。バーカ」


「くぅぅぅぅ!! 貴方を殺します! ぜーったい殺しますッ!」


 そのまま、地に落ちていく野郎を見て俺はほくそ笑みながら応えた。


「お前がしーね♪」


 左手の親指を真下に向けて、右手で野郎の首をかっ斬る。

 ……お?

 攻撃は入ったな。


「よくも……!よくも私に痛みを与えて下さいましたねッ! ぶち殺して差し上げます────」


「……お前にはまだまだ、吐いて貰うからな……ザンドルッ!」


「ハッ! 下劣な下等種族どもに話す口などありませんよ!」


 野郎はザンドルって名前なのか。

 カートナードがザンドルに向かって剣を振るう。

 黄緑の刃は神々しく軌跡を残し、ザンドルへと滑り込む。

 ザンドルはまるで予知したかのように体を反らし、直撃を避ける。


「下等……種族どもぉぉおおおおッ!!」


 怒りに身を任せたように、カートナードへと手を伸ばす。


「おっと……この手、貰うぜ」


 いつの間にかザンドルの懐に入っていたリドルグがザンドルの右腕を掴む。


「っく……離せ……離せぇえええ!!」


「お望み通り……にッ!!」


 腕を掴んだまま、カートナードの方向へと放り投げる。

 カートナードは抜刀の構えを取り、ザンドルを待ち構えていた。


「喰らえ……輝光剣ッ!」


 そして、剣を振るい、輝かしいほどの光を放つ斬撃が放たれる。


「くっ……ぁぁあああッ!!」


 ザンドルは片手を前にかざして、半透明の障壁を呼び出した。

 斬撃は障壁を砕くと共に消え去る。


「ざ……残念でし────」


「甘いぜ?」


 斬撃を放ったと同時に走り出していたカートナードが、ザンドルを……


 一刀した。


「ぐぉああああッ!? 血が……血がぁあああああッ!!」


 断末魔を上げ、自らの出血に叫び声を上げた。

 ざまぁ。

 今まで、余裕だと思っていたからだよこの野郎。


「殺す! 絶対に────」


「トルネイドッ!」


 シュルネイルの叫び声と共に、ザンドルを中心にして竜巻が巻き起こる。


「貴方がしたことはこの程度じゃ収まらないですよ!」


「ぐぅぅッ!」


 吹き飛ばされまいと、身を固め、ザンドルは飛ばされないように踏ん張る。


「ギャウッ!」


 そのザンドルの足に噛みつき、足を引き剥がそうとするコメットの姿があった。


「この……!」


「僕も、活躍させて貰いますね」


 レイジが弓を携えて、矢を引き絞る。

 照準は、コメットが噛みついている足と逆の足だ。


「バースト!」


 ひゅんっと矢は放たれ、見事、ザンドルの左足に命中。

 その瞬間、小規模の爆発が起き、踏ん張る足の力が無くなり、竜巻に飛ばされる。


「ぬぁあああああッ!」


 宙に舞い、制御できなくなったザンドルは翼を羽ばたかせる事もままならない。

 ……チャキッと、剣を鞘から抜いた確かな音がした。


「……はぁあああッ!!」


 見ると、ティナが勢いよく、跳躍し……


「やぁあああッ!!」


「ぐぅぉあああああッ!!」


 ティナの刃が振るわれていた。

 ザンドルは身を翻して、直撃を避けようとするが、ティナの刃によって左腕を切り裂かれる。


「っく……」


「……ふぅっ!」


 それだけで終わらず、ティナは過ぎ去り様に横凪ぎを放ち、背を斬った。


「がぁあッ!!」


 悲痛な叫びを上げ、痛みに悶え、地面に墜落する。

 しかし、ザンドルは墜落すると同時に、立ち上がり、翼を広げて宙に舞う。


「この……ザンドル様をコケにして……いつか、必ずッ! 貴様ら全員、地獄に落としてやる! 絶対……絶対ですからねッ!」


 高く……高く……

 空高く舞い上がり、言い捨てていく。

 それを見たカートナードは息を思いきり吸って、


「二度と来んなぁあああああああッ!!」


 と怒鳴った。

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