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第十八話 異常

辺りに夜のとばりが落ちる。


「……」

「……」


とある食堂。

俺らは飯を囲み楽しそうに…とはいかない食事をとっていた。

折角、初の店内飯だというのにこれは如何に…

因みにいうと、俺らが特別静かなだけで他の客は…俺を恨めしそうに見ている。

まぁ、慣れてるけどよ…


「…」


チラッと向かいの席のティナを見やると、食事に手をつけていない。

心なしか顔色も悪い気がする。


「…なぁ?」

「…な、何ですか…?」

「…ほんっとうに大事か?」


まぁ確かに?

晩飯にパンっつうのは合わなかったかもしれないがよ?

でも食わなきゃ明日、大丈夫か?


「…心配してくれて…ありがとう…」

「ありがとうじゃなくてな…」


…気分が悪いのだろうか?

それとも、なんかの病気にかかっちまったか…?

もしかしたら…過去のことを…?


「なぁ?本当に…」

「…大丈夫です……」


マジか…?

嘘ついてねぇだろうな…

ともかく、俺らは食事をとり、宿屋へと戻ることになった。

でもやっぱ、ティナはかなりの量を残した…



「…なぁ?ティナ」

「な、なんですか…?」

「やっぱり様子、おかしいよなお前」


明日に支障が出そうな具合だ。

顔色は青。

顔には影がついている気がする。

今は自分が寝るベッドに座っているが、本当に大丈夫か?

明日めっちゃ調子悪いとか嫌だぞ。

金稼ぎに魔物を乱獲したいし。


「そんな…事…」

「ないって俺も思いてぇけどなぁ…」


病気の類いならしゃあないが精神的な問題だったらすぐに…じゃないな。

原因を見つければどうにかなるハズ…


「調子は全然、バッチリですよ!」

「…」


無理矢理笑顔を作り、顔を持ち上げている。

絶対になんかあったろ。


「その…な。えっと…あの…」


こんなときは…なんて声を…!


「元気出せよ!」

「だからほら……元気ですって!」


そうは言ってくれているが、絶対空元気だろ。

無茶して体壊さなきゃいいが…


「あの…本当に大丈夫…だよな?」

「大丈夫っていってるでしょ!?」


激怒…

今の俺の一言がティナを怒らせた。

怒りの矛先を俺に向けたと思ったら、ハッと我に返り、さらに顔が青くなる。


「…私を…パーティから抜かしますか…?」

「は?」

「…だって私…」

「いや…俺の方こそ…その…すまん…気遣い出来なくて…」

「ッ…!」


俺の何が彼女を怒らせたのだろうか。

そして、俺が謝るとティナは申し訳なさそうに俯いた。


「そろそろ寝ろよ」

「………」


コクッとティナは頷いて横になる。

俺も自身のベッドで横になりステータスを開く。

最近開いて無かったから称号も結構集まったんじゃないか?

そして、称号欄を開いた。



脅迫人を獲得!

攻撃力+5


侵入者を獲得!

パッシブ ハイドウォーク


忘却者を獲得!

MP+5


下心ありありマンを獲得!

素早さ+5


巨大魔物ハンターを獲得!

HP+5


記憶を蘇らした者を獲得!

全てのステータス+5



メイ モトシマ

レベル1

最大HP140

最大MP115

攻撃力20

防御力23

魔法攻撃力21

魔法防御力20

素早さ160



メイ モトシマ

レベル1

最大HP150

最大MP125

攻撃力30

防御力28

魔法攻撃力26

魔法防御力25

素早さ170


パッシブ

ハイドウォーク

歩いている時、気配が少しだけ消える。



著しくない…

能力の伸びが悪くなってきた。

HPとか素早さは高いのに肝心の攻撃力系統死んでるからなぁ…

魔法攻撃力はほぼ意味ないけどさ。


「…ううーん…」


俺は仰向けになる。

ほのかに明るいのは天井にある照明みたいなヤツのお陰だ。

多分、鉱石なんじゃないかなぁとは思うが、分からんな。


「…」


ふと、ティナが気になったので、ティナのベッドを見る。

不規則にもぞもぞと動いているので多分だが起きているだろう。

早く寝てほしいんだけどな…


「早く…寝ろよ」

「……うん」


俺はそれだけ言って深い眠りに落ちていった……










「はぁ…!はぁ…!はぁ…!はぁ…!」


激しい息遣い…

その音を感じ取って目を覚ました。

その声は確かめなくともティナのところからだ。

尋常じゃない。


「おい、大丈夫か?」


俺はベッドから飛び起き、ティナのもとへ向かう。

ティナは苦しそうな表情で、汗をかき、呼吸を乱している。

病気…か?

病気だとしたらまずいんじゃねぇの!?


「おい!大丈夫か!?」

「はぁ…!……はぁ……はぁ……メイ…さん……」


ティナは目を開けると、落ち着きを取り戻していき、呼吸も落ち着いていく。


「…変な夢でも見たのか?」

「…夢だったら…夢だったら…夢だったら…夢だったら…」

「お、おい?」

「夢だったら夢だったら夢だったら夢だったら」


ティナの目の焦点は合っておらず、視点が定まっていない。

しかも、同じことを何度も口に出している。


「おいッ!」

「…メイさん…どうしたんですか…?」

「何を見た…!さっき!!」


このままで、ティナがもつのか?

もたねぇだろ。

大体、この宿にあと数日は滞在したいと考えているのに、ティナがこれではまずい。

多分だ…やはり、過去に触れなければならない。

ティナの、過去に…


「な…なんでも無いですよ?」

「嘘つけ。かなりうなされてたじゃねぇか」

「き、気のせいですよ」

「本当に、気のせいなのか?」

「…」


ティナは目を逸らした。


「昔の…ことか?」

「…」


目を極力合わせないようにしている。

ったく…


「はぁ…いいか?お前の過去なんてどうでもいいが、一緒に行動を共にする以上、そんな状態になるのはやめてほしい」

「…そう…ですよね…分かってます…分かってますけど…!」


ティナは震えながら、拳を握り締めながら言ってくる。


「分かってんなら、いい」

「…」


…分かってるのか…?

分かっているのか…?

不安で仕方ない…しかし、本人が言うなら少しだけ信じよう…

うん、信じよう。


「…ってまだ暗いな。俺はまた眠るわ」

「はい…私はもう…眠れそうも…ありません…」

「…そうか?ま、眠くなったら無理すんなよ」

「…はい」


相手に興味を持たず、自分の事だけしか考えてられない俺…

ティナの状態に気づいていたのに、ほったらかしにしたのだった…

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