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第十七話 異変

「…レーヴァン城下町…」

「んぁ?」


城下町が囲われているであろう外壁がやっとこさ見えてきた時に、ティナが寂しげに呟いていた。

その言葉を聞き、俺は変な声が出る。

少しだけボーッとしてたのもあり、そんな声を出してしまった。


「なんだぁ?」

「い、いえ、やっと見えてきましたね!」


…?

なんか様子がおかしいな…

城下町が見えてくる前はティナは正常だったというのに。

あれか?少し疲れているのか?


「す、少し…その…休憩するか?」


俺は少しだけ言葉に詰まりながらティナにそう提案する。

…柄にもないことをしたからだろう。

顔があっつい!


「へっ…あっ…そっそうですねー!ふふふ…ふふ…」

「…」


…大丈夫かぁ?


ともかく、俺とティナはとある木の下で休憩をとることにした。

ティナの表情を見ていると、何か…思い詰めているような顔をしている…のか?

…気のせいだろうか。


「なぁ」

「は、はい!どうしましたか!?メイさん!!」

「…いや…お前がどうした」


どう考えても普通じゃない。

こんな大声で返答するのはおかしい。

しかも何やら緊張しているような様子も伺える。


「どうもしてないですよー!ふふ…ふ…」


無理に笑っているように見える。

ううん…城下町に何か…あるのだろうか?


「…」


聞く勇気はなかった。

そもそも、ティナに少しは信用されているからとはいえ、相手の心情に構ってやれない。

どんな思いで…何を考えて…

それを聞くのは駄目だと思う…


この時の休憩は珍しく、ティナから話を掛けてくる事はなかった。

休憩した後も無言は続き、ついに城下町の前に来るまで何も話さなかった。


「ここが…か…」


やはり、巨大な外壁で囲われており、中が全く見えない。

外壁の素材は…なんだ?

赤い…ブロックみたいなのがレンガのように積み重なっている。

不思議なもんだなぁ…


「……」

「…?ティナ?」


ふるふると震えていた…

顔も少し怯えているような、そんな顔をしている。


「大丈夫か?」

「…だ…いじょうぶ…です…」

「そうか…?」


コクコクとゆっくりだが頷くティナ。

それを見て、俺は視点をティナから外壁へと向ける。

俺らの真っ正面には木造と思われる大きな扉があり、その前を赤い光沢の放っている兵士…じゃねぇや。

赤い光沢の放っている、鎧を着た兵士が突っ立っている。


「いきま…行きましょう…」

「…お、おう」


…思えば何故…

そう、何故、俺はティナの心配をしているのだろうか?

友人だから?

パーティだから?

俺は心の中でうんうん唸っていた。



「…レーヴァン城下町へと入りたいのか?」


そうだよなぁ…

門兵といえばヤリだよなぁ…

兵士は赤い刃を持つヤリを立てており、俺らに城下町へ入りたいかと聞いてくる。


「は、はい」


それにティナは応じる。


「うん…?お前は…魔人…か?魔人……だな…それで後ろは…ッ!」


兵士は俺を見ると敵愾心を向けてくる。

勘弁だわ。

なんでこうも友好的じゃねぇのかな。


「……いや…いい。どうせ一人くらい…」


そう言いながら、ティナに向かう。


「連れに伝えておけ。この国で暴れようものなら、即座に息の根を止める…と」


おっかねぇえええ!!

しかも聞こえてんぞ!

ティナはおそるおそる首を縦に振った。

そして兵士が道を開けると、木造の扉…門と言うべきか。

それがゆっくりと開いていく。

開いた門の中へと俺とティナは歩いていった。










「…おお…」

「帰って…きた…」


俺は感嘆の言葉を上げ、ティナは小さな声で呟いていた。


レーヴァン城下町…大きな円形の外壁に囲まれており、外側から平民層…貴族層…そして中央が王族たちの住む城になっている場所だ。

平民層には道具屋、武器屋、防具屋等があり、平民でも武器防具が手に入れられるのだろう。

元々、平民が何で稼ぐと言われると第一に出るのが魔物狩りらしい。

討伐ギルドと呼ばれる団体の建物にいけば、討ち取った魔物の部位を他の店より若干高い値で買ってくれる。

さらに、その団体に加入すれば依頼を受けることが出来、もっと金を稼ぐ手段が増えるとか。

…見事にバラバラな情報だな…

俺には情報収集の才能もないときたか。

つまり、平民層に武器防具道具屋健在であり、討伐ギルドで魔物の素材を売れる。

ってとこか?


「…メイ…さん…?どう…したんですか?」

「…お前の方こそどうしたよ。この町入ってから変だぞ…?」


ティナが相変わらず自分より、俺の心配をしてくる。

ティナが何に怯えているのか?

どうしてこんな青白い顔をしているか?

…分からない。

分かろうとも思わない。

だが、心配はするだろう。

こんなになってんだから。


「えへ…へ…心配…してくれてるん…ですか…?」

「そりゃあ…そう…だろ」


いくらなんでもこの状態で無視は出来ないだろ。


「思い出しちゃった…だけです」

「…そうか」


聞き出してはいけない。

そうすればティナの容態はもっと悪化する…

ここで少しは滞在しなきゃならないのに、それはまずい。


「とりあえず、討伐ギルドって所に行く。魔物の素材とか売らないとな」


グロウガンの素材とかレアなんじゃね?

と思ったのだ。

それに他の魔物の素材もあるしな。


「は、はい…」


未だ、ティナの気分は優れない。










「………」

「………」


辺りは騒がしいが、俺らは無言だ。

俺も顔が青いんだよ。

文字分からねぇからなァッ!!

どこが討伐ギルドなんだよ!!


「こんどはさぁ!やーっぱドラゴンらへんをっ───」

「うおっ」


俺らが歩いていると、横から急にぶつかられてきた。


「あー!めんごめんごォ!」

「…いや…」


ぶつかってきた青年は、なんとも軽い感じで言ってくる。

髪がボッサボサでまるで海のような綺麗な青である。


「そんな怖い顔すんなよー!悪かったって!」

「怖い顔はしてねぇ」

「またまたー!」


な、なんだ?

ペースが相手に乗せられてる感がパネェぞ?


「ごめんなさいですよ。悪気があった訳じゃないんですよ」


青年と話していた緑色の髪の長い少女が謝罪に出てくる。


「そうよそうよー!ってことで俺らは行っちゃうからぁ!」

「本当にごめんなさいですよ」


青年と少女はそのまま去っていってしまった…


「…なんだったんだ」

「不思議な人達…ですね」

「特に野郎が」


どうすればあんだけフレンドリーに話が出来るのだろうか?

…まぁ、ずっと後ろ姿を見ている訳にもいかず、俺らは討伐ギルドを探す。


…見つけたのはそれから十数分ほど経った後だ。

ティナに「あっ…ここですよ」と言われなかったら見逃していた所だった。

…平民たちの家は赤いブロックで出来てるっつうのに、ここだけは何か…金属のような…

不思議な素材で建てられていた。

中に入ってみると、受け付け口のような場所があり、そこに数名のスタッフらしき人物がいる。

そのまた奥にもう一つ受け付け口があった。

…うーん、見る限り手前が素材を売却する場所。

そして奥が依頼を受けるところと見ていいか…


「中はこうなってたんだ……」

「…ティナ?来たことあるのか?」


気になることをティナが呟いていたので聞いてみることにする。


「…いえ、外装だけしか見たことなかったので…」

「…ティナに任せりゃあ良かった…ッ!」


今更ながら、後悔した…

俺が懸命に探していたのに…

…まぁ、通りすぎそうだったがッ!


「ま、売りに出してみるとするわ」


受け付け口に向かうと、魔人の女の人が相手をしていた為、顔をしかめられてしまった。

が、変に足下を見られずにすんだようで、800シルドより少し多い金額を受け取った。

特にやはりグロウガンの素材…主に牙とツメが高く売れた。

ま、これで当分はここで過ごせるだろう。


「うっしゃぁああ!」

「良かったですね」


初めての金に俺はガッツポーズをとった。

互いに半分こして約400シルドが俺の持ち金になる。


「でもまだ400ちょい…」

「そろそろ宿屋を決めませんか?その…恥ずかしいけど…少し疲れてしまって…」

「ん…ああ、そうだな」


討伐ギルドから出て俺らは今夜の宿を見つける。

そして、一泊一部屋120シルドという宿を見つけた。

しかもベッドは6つで、なんと良心的なことか。

それに、人間という偏見で値段をつり上げるようなことはせず、普通のお客と同じ金額で泊まらせてくれた。

そして部屋へと入ると…


「これで120は…安いな」


ベッドが6つの割に、テーブルに、イスが6つある。

それだけでも贅沢である。


「はー…!一息つけますね…やっと」

「だなぁ…ここに来てまともなベッドで寝れるわ」

「…大変…でしたね」

「まぁ…な」


異世界に来てからというもの、宿屋は論外。

さらには野宿野宿で、ぐっすり寝れたのが悔しいが牢屋の中だけだ。

そして、やっとこさベッドで眠れ、なんの警戒もしないですむ。


「もう夕方ですし、何か食べに行きませんか?」

「…そっか。食事はつかないんだったか」


外で済ませてこいってことらしい。

それでもやはり安いとは思うが。


「オススメの店はないのか?」

「えっ…」


…俺の言葉を聞くと、ティナが硬直した…


「ん…あー…いいや。大丈夫。探しにいこう」

「…は…い…」


発言をまずったのだろうか…

ティナの顔が暗くなった…さっきの一言で。

それに関して何も言わなかったが少し気になるな…

部屋の鍵を閉めて、持つのはシルド。

荷物やらは全部部屋の中だ。

あるのはブロンズククリだけ。

ティナはブロンズソードさえも置いていったというのに。

ま、用心だよ用心…

俺らは飯を食べに既に暗くなってきた騒がしい道を歩くこととなった。

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