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第十一点五話 私とメイさん

こんにちは、私、セレスティナ・エルローゼです。

皆からはセレスティナって呼ばれています。

今年で18歳になりましたけど…

結婚の話に縁がないんです…

この歳になって結婚出来ないなんて…

ううん、そんな事はいいの。


「…今日も野草摘み…はぁ…」


でも、これで食べ物を食べ繋いでいるんだからやらなきゃ駄目だよね…

それに、この辺の魔物はとても強い。

見かけたらすぐに逃げないと危ない…けど。

野草を摘まないとお金も手に入らない…


「……?魔物…?いえ…あれは…」


ガサガサと自己主張するような草影から魔人の体が見えました。


「だ、誰…ですか…?」


…隠れているつもりなのでしょうか?

でも…全身が出てます。


「あの…そこに隠れてても…丸見えですよ…?」

「…まじかよ」

「…ぁ」


息が苦しくなった。

呼吸が出来なくなった。

そこにいたのは、人間だったから。

もう、人間が何を言ってるのか分からなかった。

逃げたかったけど、腰を抜かしてしまった。


「ひ……!…にん…げん…!」


人間が怒鳴っている…

捕まったら…

死んじゃう…!


「ひぃ…!」


人間が何かを言ってる…!

ああ…

奴隷にされちゃうんだ…!

私…嫌だ…!

苦しいことをさせられて、幸福なんて見つからない、そんなモノにはなりたくないよ…!


「た…助けて…!誰か!誰かぁッ!」


私の声に反応するのは目の前の人間だけ…

いや…来ないで!

近づいてこないでよ!


「なぁ…聞いてるか?」


目の前に来てる…!?


「ひっ…」


私の態度にイライラしているみたいで、私に向かって言葉を投げ掛けてくる。

こんな…

こんなの聞きたくない…!


「大体、とって食おうってワケじゃねぇから。いや……」


とって食べる…

私…食べられちゃうの…!?

嫌…嫌、嫌!嫌ァッ!


「……嘘…!人間は…人間は…嘘吐きなんだッ!!」


思いきり叫んで私は逃げ出した。

嫌なの!

私、まだまだ生きたい!

生きて…

結婚もして…

子供も産んで…

幸せな家族になって…

見知った森の中を私は駆け抜ける。


「はぁはぁはぁ!」


見えた…

村だ…!



「せ、セレスティナ?どうしたんだ?そんなに慌てて」


村の人達が私を見て驚いている。

私はその人達に森で人間にあったことを伝えた。


「人間ッ!?なんでこんなとこに!?」

「村長!いかが致しましょう?」


村の人々は私抜きで話を進めてる。

いつもこの調子だ……


「うむ、では皆で追い出そうぞ!」

「でももし帰らなかったら?」

「そうなったならば、ロープを使い、引っ捕らえよ。ワシが合図する」


私は話の中に入れない。

これが普段通り。

そこで私が話に混じると邪魔者扱いされる…

私は自分の家に帰った…



「…ただいま」


小さな小さな家。

だけれど、それが私の住まい。

今日の夕食も果物になりそう…


「たまには作ろうかな…でも…美味しくないし…」


料理に自信が持てない。

それに生まれて数回くらいしか料理をしたことない。

だから結婚出来ないのかな…


「…はぁ」


私はため息をついて、ついうたた寝してしまった。



「ん……ぅ…」


外が騒がしくて目が覚めた。

私は窓から外を見る。

すると、人間がロープで縛られながら歩かされてるのを見た。


「…あ、そ、そうだ!人間に見返さなきゃ!」


何を…とは考えていなかった。

ふと閃いたから。

私は兵士が地下から出たのを確認してこっそり牢屋に向かった。

階段をコツコツと歩いていき、私は地下へと潜る。


(人間は…何処かな……)


するとすぐに見つかった。

なぜかうーんと唸ってる。

なんでかな…?

気がつくと私は人間に話しかけていた。


「何…してるんですか?」

「うわっほぃ!?」


少し、人間と会話をして首を傾げてしまった。

人間って言われて脅かされたけど、敵意なんて全くなかった。

そして会話の中で私は…つい、何か食べる?って言ってしまった。

そして、あんなに必死に私に懇願してきた。

そんなにされたら…持ってくるしかないじゃない…

それに、お腹が空くのは一番辛いもの…


「…温かいものにしよう…」


私は家に帰るとすぐに料理の仕度を始める。

だけど…とても難しくて…

使う具材、調味料、いつまで火を通してるか…

完成したのを味見したけれど、しょっぱい…

それに、こんなに時間が経ってしまった。

あの人、とてもお腹空かせてるハズ…


「これでよし…でも…不味いって言われるかな…」


うぅ…

本当の事だけれど…

でも言われたくないよ…

恐る恐る、私は料理を持っていった…

すると、彼は眠ってた。

起こさなきゃ、食べられないよね…

私は牢屋の鍵を取って牢屋を開ける。

冷めちゃう前に早くしないと…

無我夢中で起こして、私は彼に料理を食べさせてあげた。

冷ましてあげなきゃいけなかったのに、そのまま口に入れたら熱かったみたい。

涙が出るくらいに。

でも、おいしいと言ってくれた。

とても…

とっても…嬉しくて、胸が一杯になった。

私、こんな表情…作れたんだ…!

笑って私は安堵した。


彼は俯きながら、お礼を言ってくれる。

その言葉は、私を必要としてくれているように思えた。

存在意義があると思った。

少なくとも彼には、私が必要なんだ…!

私は魔人、彼は人間なのに、そんなことを考えていた。



約束しちゃった…


「明日も来ます…」


ベッドの上で呟いていた。

明日が来るのが楽しみになってた。

不思議…

たった一日の出来事なのに、昨日の気分が嘘みたい…

その日、私は興奮が冷めなくてずっと起きてしまってた。


「あ、朝…」


眠れなかった…

でもいいの…


「張り切って!作ろう!」


私はパンをレシピを見ながら作った。

やっぱり、レシピがあるのとないのでは大違いだった。


「…やったぁッ!」


自分でもよく出来たと思えるようなものが出来た。

でも…


「…美味しくないって言われたらどうしよう……」


また暗くなってしまった…

ダメダメ…

私は彼が待ってる牢屋へと向かった。



「朝ごはん持ってきました」


私の料理を喜んで食べてくれる。

それだけで嬉しかった。


「アンタ、名前は…?」

「セレスティナ・エルローゼ…」

「じゃあティナで。呼びやすいし」


初めて、私にあだ名をつけてくれた。

そんな彼は、人間…

でも、人間でも…

友達になりたい…

それに、聞きたいことも…!


「…貴方の名前は…?」

「本し…メイ モトシマ」


私は、メイさんと友達になろうと努力する事にした。

だけど…



「セレスティナッ!貴様!飯も与えておったのか!愚か者ッ!部外者であるお前が何故この村に入れると思っておるのだ!!恩を仇で返すとはッ!」

「きゃっ…」


バチンという音が鳴った…

私は…叩かれた…

私は…

私は!

好きでこんな村にきた訳じゃないのにッ!


そんな私を、メイさんは助けてくれた。

最初は戸惑ってしまったけれど、私を背負って村の外まで走ってくれた…

それに私の住まいを探してやるとまで言ってくれた。

こんなに親切にしてくれる人…いなかったから…

私はついていきたかった。

この人に…


そして…


「…お人好し過ぎるからな…少しだけ…信頼してやるよ」


鉱山の街でメイさんにそう言われた。

とても…嬉しかった。

友達になれたみたいで…

とても…

だけれど、私の好奇心がこの状況を一変させてしまいました…!


「…えっ……?」

「…ん?」


メイ モトシマ

レベル1

最大HP110

最大MP105

……


「レベル………1…?」

「……まさか…!」

「な…なんなんですか…?この…ステータスは…!?」

「…っちぃッ!」


私がメイさんのステータスを見てしまい、メイさんの信用を無くしました…

本当に、ただの好奇心から友達を失ってしまいました。

でも…諦めたくなかった…

私は追いかけました。

とても…とても速いあの人を…


気がつけば魔物に襲われていて、命からがら逃げ出していたりもしました…

もう疲れて動けなくなった所に私は一本の木の下で休みました…


「……い…おい。…きろ。おい」


そんな…優しい声が私の眠りを覚まします…


「…ん……ケホッ……うぅ…?」


重そうなまぶたを徐々に開けていきました…

目の前には…探し求めてた人が…

いました…!


「…なんでここに─────」

「メイさんッ!」


私は抱きつきました。

会えた…

ごめんなさいって…

言わなきゃ…

でも…

言ったけど、メイさんは機嫌を直してくれません…

それでもしつこくついていくと言った時でした。

メイさんの、本音が見えたのは…


「嫌なんだよ…!なに言われても気にしねぇが…少しでも信頼したヤツに…裏切られんのは…嫌なんだよッ!!」


胸が痛みました…

涙が…止まりませんでした…

信頼してくれていたのに、それを私から…

また、メイさんは走り去ってしまいました。

私は追いかけます。

どんなに差が生まれようと足は止めませんでした。

それなのに、周りの魔物たちが邪魔をしてきたのです。

とても、急いでるのに…

そして、魔物たちの群れに襲われていました。

川を背にしていて、逃げ場がありませんでした…

だから…

諦めました…

本当は生きたかった…

将来は暗かったけど、それでも…

そして私は目をつむりました…


「…死ぬ準備って、なんか必要だったのか?」


耳を疑いました…

なんで…?

と。


「……め、メイ…さん……」

「……変な面してんな。気色悪い…」


メイさんはそう言って笑いながら言ってきます。


「…い、意地悪です…」


私は少しむくれました。

けど、それよりも嬉しかったんです…



そして、また私を連れていってくれることになりました!

本当に良かった…

本当に…


それで街について、武器を買いました。

所持金がそろそろ底を尽きそうですが、メイさんと一緒ならなんとかなる。

そんな気がしていました。

こんなことを考えていたら目の前から気持ちの悪い人が兵士を引き連れてこちらに来ました…


「お前はここで、幸せに暮らせよ」


メイさんからそんなことを言われました…

恐らく私にしか聞こえてません。

そして体が痺れて動けなくなりました…

立つこともままならず、倒れてしまいます…

…保護してもらい、家を提供して貰え。

そういう考えだと分かりました……

やっぱり、メイさんは…優しかった…

でも…私はこんなの…

望んでない…


「おお…なんと美しい…」


気持ちの悪い人から言われた。

私は嬉しくならなかった…これっぽっちも。


「僕の妻になるのに相応しい…!」

「誰が…なるものですか…!」


こんな人…ッ!

嫌ッ!


「ククク…僕の地下室へ連れていってくれ。くれぐれも粗相のないように…な」

「ハッ!」


私は兵士に連れていかれました。

抵抗しても、どうにもならないから…


「ふぅ…町長の息子さんは人使い荒いな…」

「…」


連れていかれる途中…

兵士が毒づいていたのが私には聞こえました。

あんなことをする人ですもの…

それに、メイさんに冤罪を…

…思えば私も同じような事をしていました。

初めて会った時、彼の偏見から決めつけてしまっていました。

本当は…

中身は違ったのに。


…地下室に連れてこまれると、両手足を縄で縛られました。

これから何をするつもりなのでしょうか…

私を縛って、どうするつもりなのでしょうか…


「…主人が来るまでここで待ってろ」


杜撰な扱いを受けて、私は倒れこみました…

私のHPは半分を切ってます…

…待つしか無いじゃないですか。

こんなことされたら。

私は諦めました。

メイさんは私に幸せに暮らせと言ってましたが、ごめんなさい、出来そうもありません…

じめじめとしていて、気分が悪い…

少なからず、牢屋にいたメイさんの気分を味わいました。


「やぁ、僕の妻よ」

「…誰が貴方なんか」


気持ち悪い人が部屋に入ってきました…

町長の息子さんだとは分かりましたけれど、何故こんなことをしてそんな言葉を口に出すのでしょうか…


「そんなことを言っていいのかい?僕は君の命を預かってるんだけどなぁ…?」

「…」


命…そんなもの…もういりません…

私は、こんな人と結婚するくらいなら舌を噛みきってやります…!

でも、怖い…命はいらないと思ってるのに、失うのが怖い…


「さぁ、妻になるって誓え」

「嫌です…!」


私はいつもとは違う雰囲気で拒みました。

本当に嫌だったから。

こんな非道な人をお慕いするくらいなら、家なんていらなかった…


「そうか…ならしょうがない」


そう言って気持ち悪い人は剣を抜きました。

不気味な光沢を放っています…


「もう一度聞こう。僕の、妻になれ…!」


気持ち悪い人は剣を私のツノに突きつけます。

これで、断れば私のツノが…

斬られてしまうでしょう…

でも…


「嫌です……」


力ない言葉だけど、口に出来ました…


「…ハァッ!」


剣は降り下ろされます。

私の頭をかすりました…

少しだけ切られた髪が舞います…

それ以上に…


「─────ッァッ!」


声にならない叫びが私から出ました…

痛い…!

痛いッ!


「さぁ…もう片方も、斬っちゃうよ?」


そう言って私のもう片方のツノに…

剣を突きつけます…


「考えは変わった?僕の妻になるって」

「変わるわけ…ないッ!!」


とても、痛かった…

本当はこんな思いしたくないけど、でも…

私は私自身で、好きな人を選びたい!

それが出来るなら…可能性があるならッ!

こんな痛みッ!


「分かったよ。じゃあ…ハァッ!!」

「きゃぁああッ!」


痛み…

痛い…

痛い…!

こんなの…嫌だ…でも!

私は…!


「妻になると…誓えばツノを失わずに済んだのになぁー」

「…あ、貴方の…妻になるくらいなら…ツノくらいッ!」


私は…私のツノは無くなりました…

でも、生きてます…まだ!

生きてます…!

ツノくらい!

なんですか!


「仕方ない…じゃあ、次は尻尾だね。考えを直す気は?」

「…あり…ません…!」


もしも、尻尾が無くなっても、消えるのは魔人の誇りだけ…

私はもう、魔人じゃなくなってもいい!

生きたい…!


「お?お楽しみか?」


とても、頼りになる声が聞こえました…

瞬間、私の目には涙が浮かび…ました…


「…!?見張りは何をやっているッ!!」

「メイ…さん」


そこには、私の大事な…大切な友達が立ってたから…!




「……何してんだ?空ぁ見上げて」

「ふふ…なんでもないです」

「はぁ…?」


今、私の隣には大事な友達のメイさんがいます。

とても不器用だけど、とても優しい人…

もっと仲良くなって、かけがえのない存在になれたらとは少しだけ思ってますけど…

そんなのまだ分かりません。

でも…

メイさんの隣にいるだけで、嫌な日々が、楽しいものに変わっていきました…

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