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涙の上に  作者: ぬるま湯
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 結局、無理矢理陸斗さんを押し出してふすまを閉めた。

 さすがに入ってこようとはしなかった。足音が居間にいったのを確認してからふすまにもたれて座り、ほっと息をつく。


 ますます顔を合わせづらくなっちゃった……。


 でもむこうが悪い!あたしが取り乱すのを見るのが生きがいみたいだ。とんだS男。あんなのと一緒に暮らしてるなんて信じられない。

 そのS男にときめいてしまう自分も腹立たしい。


 こうなったらもう、徹底的にはねつけてやろうか。

 いやいや、そんなのひどい。恩人なのに。

でもこのままだとあたしは…




「おはよう」


「……おはようございます」


 できる限りそっけなく、無愛想に、そしてよそよそしく。

 でも態度とは裏腹にあたしの心は罪悪感でいっぱい。

 そんな気持ちを陸斗さんは見逃さない。意味ありげな笑みを浮かべている。


「行ってきます」


 顔も見ずにそう言って玄関にむかう。

 玄関を出るときに陸斗さんは「今日やぎ座最下位だって」とあたしの背中に投げかけた。


 占いは信じていない。


 でも当たることもあるってことを、今日知ることになる。



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