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第2話「幻想へようこそ」(1)

(幻想(ファンタジー)へようこそ)




 目を覚ますと木々の間から茜色の空が見えた。

「ここは……?」

 どうやらあたしは仰向けに倒れているらしい。ゆっくりと身を起こすとあたしの周りには青々と茂る木々が見えた。どうやらここは森の中のようだ。

「本当に来ちゃったんだ。」

 幻想の世界に。と、あたしは改めて実感する。

 もちろん実はこれがドッキリで、大量の懐中電灯によってあたしが光に包まれる演出を行った後、クロロホルムかなんかで気絶させられてどこぞの森の中に放りこまれて「異世界に来たぜヒャッホー!」と騒いでいるあたしを茜がそこらの茂みの影からニヤニヤしながらカメラで隠し撮りしているのかもしれない。神社であった不思議な女の子も実は茜の従妹か何かで(屋根から飛び降りたのはワイヤーアクションだ。)二人で揃って「ドッキリでしたー♪」とか言ってドッキリ大成功! と書かれた看板片手にあたしの目の前に飛び出てくるのかもしれない。

 そしてこっそり取った映像をニ○ニ○動画あたりで流して「厨二病テラワロスww」とか言うコメントを書きまくるのかもしれない。

 そんな可能性も少しは考えはしたが、すぐに吹き飛んでしまった。

 感覚で分かる。ここはもう、あたしのいた世界ではない。

「さて……と……。」

 取り合えずどうしようか。と、あたしは思考を開始する。

 なんだか勢いで来てしまった感じは否めないので、はっきり言ってこれからどうするかなんて何にも考えていない。

 世界を救えといわれたって具体的にどうしたらいいかなんて分からないし……

 でもまあこのまま森に居続けるのは危険だし、真っ暗になってしまう前に村でも探そうか。と、今後の行動予定を立てたところでふと思った。それは今のあたしの状況についてだ。

 今、あたしが持っているものといえばこの制服と鞄ひとつだ。

 つまり、今のあたしはRPGでいう『勇者:Lv1 装備無し』状態なのだ。つまり相当弱い。

「あはは、これってスライムにあっただけでも死ぬよねー。」

あははー


…………


…………


…………


「何か武器を探そう!!!!」


 そうしないとヤバイ。とにかくヤバイ。まさかの初戦でスライムに負けて【おおゆうしゃよ、しんでしまうとはなさけない】状態は絶対に嫌だ!

 まずあたしは鞄の中身をチェックしてみた。出てきたのは

「ノート……筆箱……教科書……携帯電話……財布……。」

 まあここら辺は良いとして

「スケッチブック……色鉛筆……あとはチ○ルチョコにちんすこう……」

 ろくなものが入っていない

「どうでもいいけど、ちんすこうって真ん中を伏せると卑猥だよね。……ちん○こう。」

 ろくなものが入っていなさ過ぎて本当にどうでも良いことまで考えてしまう。極めつけは

「耳……」

 でっかくなっちゃた! の奴ね。いつだったか一発芸をやった時に使ったものがそのまま鞄に入っていたらしい。学校で持ち物検査されなくて良かったぁ……。もし検査されてこんなものが出てきたら、そのままマ○ーコールがかかって、あたしが一発芸をやらされて、教室大寒波コースだったなあ……

でもまあせっかく見つけたので

「でっかくなっちゃったー!」

 使ってみた。

「キャーッ!?」

 悲鳴が聞こえた。

 振り向けばそこには一人の少女がいた。

 金色の髪に白い肌。さらには特徴的な長く鋭い耳を持っている。エルフという奴だろうか。

 その少女がなにやらおびえた様子で木の影に隠れながらこちらの様子を窺っていた。

 その視線はあたしの顔も右側。でっかくなった耳に向けられ……

「で……でか耳オバケー!!」

 少女は叫んでいた。

 あれ?もしかして……

 異世界とのファーストコンタクト、大☆失☆敗?


今回からようやく異世界での話が始まります。

メインではないですがヒロインも出てきて少しは華やかになっていくはずなので、またよろしくお願いします。

この作品のタイトルについて触れられるのはもう少し掛かりそうですが・・・

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