第1話「あたしの望んだ世界」(4)
その日の放課後のこと
「あー、もう。今日はツイていないなあ。」
「そんなのいつものことじゃん。」
あたしは茜と共に帰り道を歩いていた。
しばらく教室でおしゃべりをしていた為、空はすでに赤く染まり始めていた。
「ところで今日はアソコ行かなくて良いの?」
「うん、まだ最新作は出来ていないからね。」
「ふーん。まあ未来の大作家目指して頑張ってよ、親友。」
「あれ、昨日は友人Aだったのに、親友に格上げされたんだ、私。」
「あれ? そうだっけ?」
「あんたは一晩立つと前日のことをスッパリ忘れるタイプだよね……。」
とか他愛も無い話をしながら歩き続ける。と、
「あ……」
再びあたしはあの神社の前で足を止めた。
階段の先に夕暮れを背後に佇む神社はなんだか不思議な雰囲気を放っている。
「ましろん、朝もここで止まっていたけど、この神社に何かあるの?」
「あ……いや……。」
別に何かあるわけではない。だけどなんだか無性に気になるのだ。
もう一度階段を見上げる。すると階段の先の鳥居の上で何か白いものが光って消えた。
「ゴメン、ちょっとあたし行ってくる。」
「え? あ、ちょっと待ってよ! ましろん!」
(何、今の光は?)
あたしは階段を駆け上った。真っ赤な鳥居が次第に近づいてくる。
「――――」
何かの声がした。それはやがて確信に変わる。
(あたしを……呼んでいる。)
ペースを上げて一気に駆け上がった。
そして
そこに
いた
あたしが見上げるのは神社の屋根の上。
そこに、一人の少女が立っていた。
白いワンピースを纏い、銀色の長い髪を少女はたなびかせている。齢5~6にも見えるほどの小柄な少女、そのエメラルドグリーンの瞳はまっすぐにあたしに向けられていた。
「はあ……はあ……早いよましろん……ってあれ? 何この子?」
茜の声が遠く聞こえる。
やがて少女はふわりと屋根からあたしの目の前へと降り立つと
「行きたいか?」
「え?」
その小さな口を開いた。
「どこに?」
とあたしは聞き返す。
そして、その少女の口から放たれた言葉は
「あなたの、望んだ世界。」
瞬間、光が溢れた。
目の前の少女は姿を消し、代わりに光の扉が目の前には現れていた。
(行くのならこの扉をくぐれば良い。行きたくないのならばこのまま立ち去っても良い。)
頭の中に少女の声が響く。
(さあ、世界を救いに行かないか?)
何なんだこの展開、何なんだこの少女。
見知らぬ少女が、あたしに世界を救いに行けと言っている。
いきなりの突拍子も無い展開。何もかもが分からない。
だけど、決まっていた。
あたしの答えは……
「ねえ……茜。」
「な……なに? ましろん。」
あたしは後ろの親友に振り返り
「ちょっと世界を救いに行ってくる。」
そう言って扉の中に飛び込んだ。
(ふむ、よろしい。)
そう言ってあたしを包み込んだ光は消えていく。
「ちょっとましろん!? ましろん!?」
取り残された茜は、ただただその光が消えていくのを見送った。
光に包まれたあたしには、少女の声が響いてくる。
(幻想へようこそ。)
あたしの冒険が、始まるのだ。
ようやく第1話が終わりました。
長々とすいませんでした・・・
次回からようやく異世界での話が始まります。
これから色々と話は動いていくと思いますので、またよろしくおねがいします。




