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大迷宮の創造者  作者: POG
第3章

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始まり

 悩んでいても仕方がないと俺たちは祭りを楽しんだ。


 はしゃいだのは俺たちというより俺だけだが。


 屋台も巡ったし、路上のステージで行われていた演劇も見た。


 昔実在したとされる世界を統一した王様の物語だった。

 舞台の最後は国を作って終わった。

 なかなか面白かったから、元となった伝説が書かれている本を買ってしまった。

 すぐ側に原作を置くとは商売上手だな。


 そして現在は外に出て他の冒険者に混ざり魔物討伐をしている。

 なんでも祭りの最終日にはオークションが行われるらしく、そこで買う為に金を稼いでいるのだ。

 まぁ、こんな短時間でした討伐程度じゃ稼げる金額なんてたかが知れてるけどな。


 ちなみにミカエルとウォルターに間引いてもらって、俺も弱いのと戦ったが


 結果は惨敗だった。

 そりゃそうだ。スライム相手ですら苦戦するのに、それ以上の魔物と戦うなんて土台無理な話だ。


 ウォルターが寸前で間に入ってくれなきゃ身体が壊されて今頃ダンジョンに逆戻りだっただろう。


 …はぁ。

 やっぱり俺には戦闘に関する才能はないのかもしれない。


 ていうか他のことも大体が演算機や配下任せだからなぁ。

 俺には何ができるのだろうか。

 盛り上げ役?


『マスターは存在そのものが皆の役に立っています』


 おぉ!嬉しいことを言ってくれるじゃないか。俺がいなきゃ困るのか


『当然です。マスターはダンジョン・コアですので居なくなられてはダンジョンそのものが消えてしまいますから』


 …それって、俺がダンジョン・コアじゃなかったらいらないってことじゃない?


 やめよう。こんな悲しい考えは。


 引き続き金を稼ごう


 と、思っていると森から騎士達が現れ続々と出てきた。

 後方には大量の木材が運ばれている。



 もう、討伐を終えて戻ってきたのか。

 あの木材がエンシェント・トレントか?

 その辺で伐採した木にしか見えないが。


『運搬されている木材に含まれている魔力を量をみるにエンシェント・トレントで間違いないでしょう』


 ほう。

 確かに多い。

 小分けされてるからか流石に一つ一つは少ないが、全体で見たらうちで一番魔力があるルシフェルといい勝負だ。


 エンシェント・トレントって魔法系なのか?


『いえ、エンシェント・トレントは魔法系ではありません。耐久、持久力に特化した魔物です』


 マジか。

 魔法系ですらないのにルシフェルと魔力を張れるって。

 いやそもそも戦闘後だからな。

 元々はもっと多かったのか。


 流石伝説級ってところか。


 なんにしてもそんな魔物を討伐するなんて凄いな。

 祭りの一つの区切りが終わった感じだな。


 そろそろ夕方か。

 戻って夜の屋台でも楽しみに行くとしよう。



 ——————



 討伐を終え戻ってきたローラン達はしばしの休息後、明日行われるオークションの準備のため、エンシェント・トレントの運び入れなどを行っていた。


 一仕事を終えたからか、談笑している者もいた。

 その様な者達に叱咤を入れながらローラン自身も疲労を感じ少し気が抜けていた。


(この程度で疲れを感じるとは…歳か?)


 そんな中、一人ローランの元に走り寄っていた。

 その者の表情は焦りに満ちていた。


「ローラン総騎士団長!緊急事態です」


 その一言にローランはもちろん、他の騎士達にも緊張が走る。


「まずは落ち着け。一体何があった?」


「都市ガーラウより緊急連絡が入りました。

 ドラグーン一体とその他多数のワイバーンが急速接近中とのことです」


 ドラグーンは最高位、ワイバーンも高位の魔物だ。

 普段のローランであれば最高位の魔物程度なら単独で討伐可能だが今は伝説級との戦闘後だ。

 被害なく倒せるとは言えなかった。


「わかった。ならば今すぐ冒険者にも依頼を出せ。戦闘の他にも準備や避難などの支援を依頼するんだ」


「了解しました。…ジェイク様は出られないのでしょうか?

 流石にエンシェント・トレントとの戦闘後の連続ではローラン総騎士団長も疲れが抜けないのでは」


「いや、あいつは出ない。あいつは近衛騎士団長。国王陛下を守るのが務めだからな。それに俺達が二人とも国を留守にするわけにはいかない。

 後、俺にとっては連続の戦闘なんて苦じゃないぞ」


「そうですね。失礼致しました。では至急冒険者ギルドへの通達と依頼を致します」


 去る背中を見送りローランは気合いを入れ直した。



 ——————



 祭りを楽しんでいると一部の人達から祭の喧騒とは違うざわめきが発せられた。


 見ると、ざわめいているのは皆冒険者だ。

 冒険者ギルドへと向かっている様だった。


 なんかあったのか?

 後夜祭的な。

 まだ祭りは終わってないけど。


 まぁついて行ってみるか。



 冒険者ギルドにつくと出入りが多く、出ていく者は皆真剣な面持ちとなっていた。

 出ていく者の中には見知った顔もいた。『風の旅団』の一行だ。


 そのまま中まで入ると、ギルドから出ていく者多いにも関わらず人で溢れていた。

 掲示板には一枚の大きな貼り紙が貼ってあり、職員達は冒険者の対応に追われている。

 そんな中で繰り返し職員が案内を発していた。


「都市ガーラウで発生した魔物災害の緊急依頼をお受けの方はこちらからお願いします。これは国からの正式な依頼です。報酬などは保証されています」


 …マジか。

 後夜祭なんて、呑気に考えてたけど全く違ったな。


 魔物災害か…内容は知らないが国からの緊急依頼らしいし相当なもんだろう。


 エンシェント・トレントを鎮めた矢先にこれとは、中々に運が悪いな。


 さて、俺たちはどうするか。

 参戦か不参戦か。


 緊急依頼の内容を見ると都市に襲来したのは最高位の魔物一体と高位の魔物が多数と書かれていた。


 最高位の魔物がうちの連中と同等の強さならだいぶヤバいが、国からの依頼ってことは多分あのローランも出るだろ。


 ローランが出て最高位を抑えて他を冒険者や騎士で討伐する感じだろう

 まぁ冒険者でヒューみたいな最上位クラスの奴は他にも居るだろうからな。


 簡単には勝てずとも負ける事はないだろうというのが俺の予想だ。

 まぁ戦いには勝っても被害は免れないだろうが。


 さて、俺の予想は演算機もおおよそ正しいと判断してるし

 今回は不参戦でいこう。


『風の旅団』や他の冒険者連中には悪いが、俺たちは王都に残ろう。


 正直、この都市への魔物襲来は都合が良いというかタイミングが良すぎる気がする。


 あのローランだって普段ならともかく戦闘後の今、最高位との戦闘は普段よりは効率は悪くなるはずだ。

 つまりそれだけ戦闘が長引く。どれだけ冒険者が参加してもそこまで変わらないだろう。

 ライルが参戦したら別かもだが。

 それにそもそも都市への移動だけでも時間がかかりそうだしな。


 何となく、この王都からローランや騎士団、冒険者達を離したいという意思を感じる。


 騎士団だって全員行くわけじゃないし冒険者も残る者は多いだろうが、この依頼は国からのものなだけあって報酬がいい。

 大部分は依頼を受けるだろうからな。


 どう?この予想


『マスターの推測は合理的です。この事態により王都の戦力の大部分が移動します』


 だよねぇ。

 とりあえず何も起きない事を祈ろうか。

 そして引き続き祭りを楽しもう。




 それから数十分後、大半の冒険者は既に依頼を受け移動していた。

 今王都に居るのは俺達と同様に依頼を受けなかった冒険者と祭りを楽しむ住人だけだ。


 因みに騎士団はとっくに出発していたらしい。

 まぁわざわざ冒険者を待つ必要もないしな。


 …そろそろ現実を見ようかな。

 俺が見ている方向には《豊樹の深林》がある。

 そして先程から妙に魔力が高まってる。


 悪い予感ほど当たるもんだよな。


 王都の中にいる俺達から見えるほど《豊樹の深林》の木々が成長しており、その中央辺りには一際大きく太い大木が聳え立っている。


 その事に気づいた人々から徐々にざわめきが起き


「キェェーエェ!!!!!!」


 大木からの咆哮と同時に、森からは倒した筈の魔物達が次々と出てくる。


 人々はこれまでにない事態に一時呆然として立ち尽くし

 次々と起こる悲鳴にパニック状態に陥り、我先にと逃げ惑った。



 あれ、絶対にエンシェント・トレント復活してるよな


『はい。そしておそらく完(・)全(・)復(・)活(・)しているでしょう』


 完全復活?

 つまり弱ってないって事だよな。


 完全復活を遂げた伝説級を相手に勝てるか否か。


 この国にはもう一人覚醒者が居るらしいし、そいつに任せるのも一つの手だが。


 いっても相性次第だからな。覚醒者が相手をしたからと言って必ず勝てるわけじゃない。

 いつ動くかわからないし、それで滅びちゃ嫌だよな


 ……

 ………


 …はぁ。仕方ない。

 散々楽しんだ王都がなくなるのは嫌だしな。

 それに正直エンシェント・トレントの素材も欲しい。

 金はあんまり貯まらなかったし。


 最悪倒せなくても、弱らせるぐらいはできるだろ。


 そこまでしたらあとは何とかしてくれる筈。


「よし、あのエンシェント・トレントを倒しに行くぞ」


「ハッ。その任、拝命致します」「仰せの通りに」


「うむ。やる気があって大変よろしい」

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