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 私は少し時間をもらい、体の中の宿主と話すことにした。


「オーティカン、ちょっと」


「呼んだか」


 金色の空間の中、つまり、私の体内から布ひだになった人間、巾着主オーティカンが出てきた。


「あんた、いったい、最後に何、隠してるの?」


「お前の十文字十列は、この世にはならざる力、神から与えられし世界の力が宿っている。最後の一つは、自ら燃え、狙った相手を封殺する。その力を使い、お前は魔王をいっとき、仮死状態まですることができるだろう。その力で、お前は魔王の動きを止めるのだ」


 そう言えば、エリーレッドも、お前にしかできない、頼むと言っていた。


 エリーレッドも私と同類の武器を使っていたから、最後の同文は知っていたわけよね。そういうこと?

「お前は、皆を助けて、自爆する運命だ」


 ははっははは。


 なんですと? 自爆の運命です?


「最後、力が発動してしまえば、止められない。だから、お前には言わなかった。最後の最後まで、その力を取っておいて欲しかったから」


 自爆なんて、やだあ。泣きたい。


「最後から、我らは、魔王を封じるために作られた。最大の力を発揮し、魔王を止めるのだ」


 ルーの言っていたことは本当だ。


 私って・・・最後まで悲惨な運命だ。


「お前に全ての説明をし終えたから、私はお前と同化する。これからお前は私に吸収される」


「なんですと?」


「だが、安心せい。お前の意志は、尊重してやる。そばに私もいるがな」


 変な布おばけと同化するのは嫌だけれど、もう肉体もないのだし、中身は金色の異空間なので、もはや状態などはどうでも良かった。


「そうして、魔王を倒したら、元通りに世界はなるの?」

 

 最後まで、この布お化けの支配下にあるってのが、もう、納得いかなくて、腹立たしいわ。


「いや、ならない。魔王が消えたら、再び平和が戻るだろうが、破壊されたものは、元通りにはならない。お前たちは自分らで、復興するのだ」


「でも、そうしたら」


 最後のことを想像し、私は私が終わった後のことをふと思って、首を傾げた。


「私が消えても、まだまだ苦難が続くわね」


「それからのことはそれからのことだ。魔王を倒すことだけに今は尽力せねばならない。それだけでも、大変なことだから。お前はお前の使命を果たすことだけを、考えればいい」


「ええ、そうね」


 悔しいけど、私はうなづくしかなかった。


 もう自分の運命が嫌だとか、逃げ出したいとか駄々こねている時間も余裕もなかった。


 魔王城で、魔王の宿願や魔参謀の虎視眈々と地上の進出を狙っているのを思い出すと、止めなきゃ、と思った。


 魔界の悪鬼たちにこの世が埋め尽くされるわ。


 もう私に残されたものは聖句の二列のみ。巾着呪文文字はほとんど読めなくなっている。一つは自爆用。


 何かを惜しんでいる暇はない。終わりの先に、未来なんてない。


 いざとなったら、全身を投げ打つわ。イントーンと人々のために。


 ここに来てから、戦いに投じる決意は出来ている。


 でも、後のことが心配だ。ルーたちは、大丈夫だろうか?


 世界を全力で救って、ルー達が助かった後、本当に大丈夫だろうか?


 今、戦闘に躍起になっているルーやアデルたち、この巾着主でも、そのことまで思いが及んでないわ。なら、私が考えてやらなきゃ・・・


 腰巾着として、主人たちを守るのが私の役目だから。


 曲者ぞろいで、気が強くて、喧嘩もして、時々失敗もしでかす仲間たちを助けられるのは、仲間一行の五人目しかいないのだ。

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