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「お前には悪いが、魔王を倒すに、お前の力が必要だ。だから、私の代わりに、最後までお前は居残って欲しい。魔王族に奪われたり、消されたりせず、何があってもルーを魔王城まで送り届けるのだ」


「そんなの、やだ。力を使えば死ぬのでしょう?」


「勇者たちが死ねば、お前の残る世界は、魔王と魔物だらけだ。生きていたって仕方あるまい」


 確かにそうだ。安易に生き残ってしまうと、反対に苦しいかもしれない。


「そうなったら、勇者たちといっしょに死ぬ方がいい」


「最後にどうなるかは、誰にも分らない。お前もちゃんと昇天出来るかもしれない。地獄に滅ぼされたら、念願叶って、十宝種も滅びるだろう。けれど、物体のみは、生き残るかもしれないな。」


 想像して、また私はぞっとした。それって・・・


 エリーレッドは私の頭をぽんぽんとした。


「だが、この地上を地獄にするのも、お前だけが闇の中に生き残るのも、どちらも実現させるものか。だから、お前が発揮できる力は最後まで取っておいてくれ。パーティの皆に、何かを出せと求められるかもしれないが、お前は最後まで生き残ってくれ。お前がいなくなったら、回復の薬も取り出せないし、最後に勇者ルーを守る者がいなくなる。いいな」


 私も弁えた人間だ。


 国滅亡で最後の戦いを行っている最中に、個人的感情に振り回されたりしない。最後まで戦う。


 けれど、怖い。戦いの終わりというのが何になるのか、怖いと思った。


「頼む。ルーを守ってくれ」


 優しくなったエリーレッド公は私の巾着の体をなでなでした。その手は大きくて、私はくつろいだ気分になった。その私の体、左右に伸びたヒモを手を取って、エリーレッド公は切なく見つめて言った。


「他の者は最後までついていけないかもしれない。でもお前なら、勇者の腰巾着として、最後までついていける。お前には、過酷な試練を与える旅だ。けれど、今、この戦いを乗り切らねば、我ら人類は終わる。頼む。ルーを守ってやってくれ」

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