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エリーレッドの忠告

「お前を誤解していたようだ。私を助けてくれたのだな」


 重症を負ったエリーレッド公は、一行パーティから離れて回復するしかなかった。


 王室の回復玉でも、私の治癒玉でも、エリーレッド公の回復は叶わなかった。全魔力を使ったし、魔王と同等の闇の力を吸い出すというアクロバットな力学法で魔力を高めたので、魂レベルで傷ついてしまったのだ。


「エリーレッド公・・・」


 アデルは泣いていた。勇者と思ったけれど、本命はエリーレッド公かもしれない。というか、男は手あたり次第ってやつ?、肉食聖女って、やだけど。


 エリーレッドは孤高の存在で、美女でも聖女でも、見向きもしなかった。


 何千年と生きているらしいから、女にもう無頓着なのかも。


「マリースに話がある」


 仲間たちに別れの挨拶をし、最後に私に話があると、私はエリーレッド公に呼び出された。


「勝手にいちゃいちゃしないで」


「しないわよ」


 なんで、エリーレッド公となんか。


「ならいいけど。王宮の事務職員なんか、お盛んな部署でしょ」


 どっちが。


 言い返したかったけど、今の状況そんな余裕も力も出ない。


 また一つ、焼きもちをアデルにさせた私。なんだか、あとでナンクセつけられなきゃいいけど・・・


 ははあ。でも一つ分かった。


 そういう色目で見ているから、私に対する風当り強かったのね。


 聖女の美女っていうと、王宮で皆に崇めたてられる存在だからねえ。神官はべらせて、いわばハーレム状態でしょ。


 いい男は皆、私のもの、って目線なのよね、常にアデルって。


 だから、一介の事務員がって思ってるんでしょ。


 どんな聖女っての。


 まあ、こんな世界滅亡の危機では、女も欲望丸出しになるかもしれないわ。


 でも、もともとああいう性格なのよ。たぶん。


 美女でプライド高ければ、皆、メギツネになるの。


 私だって、権謀術数ひしめく王宮の事務方だもの。王宮の女ってどんなものか知ってる。皆、メギツネなのよ。


 私も、メギツネ。ううん、今はこんなことは、どうでもいい。 


「命など惜しくないと思ったが、助かってみると、命の有難みを思うものだな。助けてくれて、ありがとう。マリースとやら。だが、どうやってやった?私の最大魔法を越えるほどの防御宝珠など、お前は持っていたのか?」


「分からない。私も必死だったし、中から教えられた感じだった」


「ふむ、お前にはさまざまな力が備わっている。それは聞いたか?」


「私は、世界の魔道具で、十宝種と呼ばれる大切な宝で。魔法の力が込められていて、保存できないものでも保存し、取り寄せもできる。だから、私、入れられた宝珠をたくさんルーに渡したり、武器を取り寄せて渡したりした」


「それから、宿主は魂を贄にすると、私は言った。世界の特殊神器である十宝種の巾着は、戦いで勇者に使われ、世界大戦を勝利に導いてきた。使われない間は、博物館で展示され、大人しくしていたが、このたびの魔王復活の戦いで、ふたたび、勇者ルー・ウェインが持つことになった。その巾着は、昔から、何かの魂を犠牲にして、力を増す。お前がそうした特別な技を使って、我らの戦力を増強してくれるのは、我らは戦況は不利ゆえ、力強い加勢を得たと思うべきだが、お前の体はお前であってお前でない。巾着だ。その巾着は、宿主の魂を犠牲にして、力を出す。ゆえにお前の体が危険だ。お前の体には文字が書かれ、さまざまな魔法が折り込められているが、その文字は読めるか?」


「読めるわけないわ、こんな文字、知らない」


 私の巾着には楔で打ち込んだような文字が書かれている。数百年か、数千年か経つので、薄汚れて判別しにくい。


「その文字を読むことが出来れば、魔法が発揮できるのだが。伝来書では、防御の法、攻撃の法があり、合計で十の力が使える。世界に十個あるので十宝種と言われるだけではなく、十の功力を備えたのが、十宝種だからな。おそらく、お前が私を救ったのが、防御の法だ」


「分からない、必死だったから」


「ふむ、知らぬうちにやれたのかもしれない。だが、一回使えば、お前の命も削られることを知ってるか」


「え?」

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