第十九話 群衆
モーテル前。
人が増えていく。
野次馬。
配信者。
陰謀論者。
スマホを向ける人間達。
玲司はカーテン越しに見ていた。
「……最悪だ」
凛は即座に荷物をまとめる。
「移動する」
だが外は既に騒然としていた。
「本当に地球と繋がってるのか!?」
「死んだら世界終わるってマジか!?」
「顔見せろ!」
玲司は顔を歪める。
恐怖だけではない。
好奇心。
興奮。
期待。
人々は“世界の秘密”を見たがっていた。
凛が低く言う。
「裏口から出る」
その時だった。
突然。
群衆の一人が叫ぶ。
「石投げろ!」
玲司の顔色が変わる。
次の瞬間。
窓ガラスへ石が叩きつけられた。
凛は玲司を庇う。
「伏せて!」
さらに石。
怒号。
混乱。
玲司の呼吸が乱れる。
その瞬間。
世界が軋んだ。
空気が重くなる。
窓の外。
上空の雲が渦を巻き始める。
群衆がざわめく。
玲司は頭を押さえた。
「やめろ……!」
凛の目が見開かれる。
同期反応。
怒りと恐怖に地球が反応している。
突然。
駐車場の照明が一斉に爆発した。
悲鳴。
車の警報音。
空が低く唸る。
群衆は恐怖で後退し始める。
玲司は震えていた。
「……俺のせいだ」
凛は玲司の肩を掴む。
「違う!」
玲司は苦しそうに言う。
「でも俺がいるから――!」
その時。
外で誰かが叫んだ。
「逃げろ!!」
空に巨大な黒い亀裂が走った。
まるで世界そのものが裂けたようだった。




