↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
継承惑星  作者: 室木 星嶺
第一部 遺された者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/36

第十六話 普通の人生

深夜。


二人は郊外の小さなモーテルへ身を隠していた。


古びた部屋。


安い照明。


壁の薄い静かな空間。


ようやく追跡を振り切った。


玲司はベッドへ座り込む。


疲労が限界だった。


凛は窓の外を警戒している。


玲司が低く呟いた。


「……親父も、こんな風に逃げてたのか」


凛は静かに答える。


「ずっと」


玲司は苦笑する。


「最悪だな」


沈黙。


玲司は天井を見上げた。


「俺さ」


凛は振り返る。


玲司は小さく笑った。


「本当は普通に生きたかっただけなんだ」


その言葉が、凛の胸へ刺さる。


玲司は続ける。


「普通に仕事して、普通に恋愛して、普通に家族作って……」


そこで言葉が止まる。


「……何でこんな事になるんだよ」


凛は何も言えなかった。


玲司は顔を伏せる。


「俺が死んだら世界が壊れるとか……重すぎるだろ」


静かな沈黙。


外では雨が降り始めていた。


凛はゆっくり玲司の前へ座る。


そして初めて、少しだけ柔らかい声で言った。


「あなたのお父様も、同じ事を言ってた」


玲司の目が動く。


凛は続ける。


「“息子だけは普通に生きてほしい”って」


玲司は息を呑む。


凛は視線を落とした。


「……だからあの人は、継承を終わらせる方法を探してた」


玲司の胸が強く鳴る。


父は最後まで戦っていた。


自分のために。


その時だった。


突然。


テレビが勝手についた。


砂嵐。


ノイズ。


そして画面へ映し出されたのは――


アリシア・レインだった。


彼女は微笑んでいた。


『こんばんは、玲司』


凛が即座に銃を向ける。


アリシアは楽しそうに笑う。


『そんな怖い顔しないで』


玲司は呆然と画面を見る。


アリシアは静かに言った。


『あなたは今、自分が呪いだと思ってる』


その目が妖しく細まる。


『でも違う』


沈黙。


『あなたは、新しい世界そのものなのよ』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。