第十五話 包囲網
同時刻。
東京・内閣情報管理局。
巨大スクリーンには異常データが映し出されていた。
《局地同期反応増大》
《空間歪曲確認》
《対象周辺で防衛反応発生》
室内は緊張に包まれている。
白髪の老人――天城総理補佐官が静かに言った。
「最悪の形で覚醒し始めているな」
若い官僚が震える声で尋ねる。
「……排除は」
室内が静まり返る。
天城はゆっくり首を横へ振った。
「できると思うか?」
誰も答えない。
天城は玲司の写真を見る。
「彼が死ねば終わる」
その時、新たな報告。
「アメリカ、ロシア、中国、欧州機関が共同監視体制へ移行しました」
「エデンも動いています」
「民間軍事企業ノア・ガーディアンも介入確認」
世界規模だった。
もはや一国の問題ではない。
天城は静かに言う。
「世界が一人の青年を中心に回り始めた」
一方。
ホテル地下駐車場。
凛は玲司を連れて車へ向かっていた。
玲司はまだ顔色が悪い。
「……さっきの、本当に俺のせいなのか」
凛は答えない。
沈黙が何より重い。
その時。
駐車場入口へ数台の黒い車両が突入してきた。
武装部隊。
凛の顔が険しくなる。
「早すぎる……!」
玲司は息を呑む。
黒服達が展開する。
だが奇妙だった。
誰も玲司へ銃口を向けない。
全て凛へ向いている。
隊長らしき男が叫ぶ。
「神谷玲司! あなたを保護する!」
玲司は混乱する。
凛が低く言った。
「騙されないで」
男は続ける。
「あなたは現在、世界規模危機指定対象だ!」
玲司の顔が強張る。
その瞬間。
天井が軋む音。
全員が上を見る。
巨大な配管が崩落した。
轟音。
火花。
武装部隊が散開する。
凛は玲司の腕を掴む。
「走って!」
二人は駐車場奥へ走る。
背後では怒号と警報音。
玲司は叫ぶ。
「何でこうなるんだよ!」
凛は走りながら答える。
「あなたを中心に世界が歪み始めてる!」




