庭先にて
ざりざりざり
「おや。」
ざりざりざざ
俺が振り向くと、そこにはひげ面のおっさんがいた。
「お加減はよろしいようですな。」
「はっ。おかげ様で五体満足、力が満ち満ちております。この度はわたしの不注意で多大なご迷惑をおかけしたことを深く陳謝いたしますとともに、蘆名の皆様に治療して頂いたご恩を大変ありがたく思う次第です。」
「はっはっはっ。」
俺が頭を下げると、おっさんは陽気に笑った。
「そのような堅苦しい事は言いなさるな。貴殿は殿の養子。我らにとっては主家筋にございます。その身の無事を案ずるのは当然のこと。」
俺は無言で一層頭を低くした。
おっさんは満足げな声を出すと、去っていった。
ここ数日で調べたのだが、俺は非常に難しい立場におかれている。
俺は「蘆名盛隆」と呼ばれている。次に幼くなっている。さらに建物や道具がすべて和風で、会う人々も皆が和装だ。
そして、一部の男どもは刀を差しており、食事は麦と汁だけだ。
まずここまでが現状だ。
さらに、ここは「蘆名」の屋敷だそうで、「蘆名盛隆」は当主の子供なのだが、実は「二階堂」という家の出身で、この「二階堂」は規模も小さく敵対行動もしていたので俺は弱い立場にいる。
そんでもってもうすぐ「蘆名」はどこぞと戦争をするらしく、諸々の準備をしているところに俺が落馬したから、敵の陰謀を疑いつつ二階堂家との関係悪化を恐れた蘆名は俺を必死に看病し、事故だとわかると「まぎらわしいことしやがって」という雰囲気で接するようになった。
かつ俺があれこれ探り始めたから「落馬は自作自演なんじゃないか」「二階堂は裏切るつもりで、俺は間者なんじゃないか」と疑われている。
そのため事あるごとに探られる。
ここまでがわかっていることだ。
情報量が多くてわけがわからないだろうか?
俺もわからない。




