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女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


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第169話 ライバルとなる土の王配候補者



「とうとう美雨王女と顔合わせかあ。美人で可愛いって噂だから会うの楽しみだな」


「美人で可愛いからと言って女王になる素質があるとは限らないじゃないですか、玖道兄上。美雨王女に女王の素質があるかどうか俺たち王配候補者が見極める必要があるんですよ」



(美雨ちゃんに女王の素質があるなんて当たり前じゃない、岩斗。あれだけ綺麗で可愛いんだから)



 玖道と岩斗の会話を聞きながら道麻は心の中でそう思う。

 美雨が朝食の後に道麻たち土の王配候補者との顔合わせがあるので王配候補者の五人は族長の家の隣りにある会議所で待機していた。


 この会議所は普通の民も許可があれば使える場所だ。

 普段は族長たちが使うが毎日会議することはないので民にも貸出をしている。


 土族の家はひとつの家を大きく建てられないことからこういった公共の建物が多い。

 今はもちろん道麻たちが使うので五人の土の王配候補者しか会議室にはいない。


 道麻は自分以外の他の王配候補者にチラリと視線を向けて考える。


 ここにいる者たちは道麻が土の王配を目指すならライバルになる者たち。

 では誰が一番のライバルになるのか。



(玖道は本人のやる気の無さを抜けば有力なライバルよね。霊力も強いし人付き合いもうまいから美雨ちゃんとも仲良くできそうだし。岩斗は真面目過ぎて美雨ちゃんに敬遠されるかもね。あとは……)



 自分の弟たち以外の王配候補者は族長のいとこの息子である樹牙じゅが紅樹こうじゅだ。

 樹牙は道麻より年上で霊力は道麻たち三兄弟より劣るが少し野心的なモノを持つ男。


 陰で「土の王配になりたい」と言っていたという情報も聞いたことがある。

 ただそれを道麻たちの前で堂々と態度に出すほど馬鹿な男でもない。


 一言でいえば計算高い男というべきか。

 それに民の評判もそれほど悪い訳ではない。まあ、自分の本性を隠しているだけかもしれないが。


 樹牙の弟の紅樹は兄に似ず控えめで自分の仕事を黙々とこなす人物。

 紅樹が土の王配になりたいと思ってるという情報は聞いたことがない。


 兄以上に自分の本心を見せない計算高い男なのかそれとも表面通り真面目で野心を持たない男なのか。

 いまいち判断しにくいところである。



(樹牙や紅樹の本性が分からないのは仕方ないわよね。族長の身内って言っても遠縁になるわけだし。幼い頃から親しいって訳じゃなかったしね)



 民の間では族長の身内と言えば弟の資道やその息子の道麻たち三兄弟のことで族長のいとこの息子まで離れてしまうとどちらかというと一般の民と同じ扱いだ。

 今回は女王候補者が四人と聞いたから人数合わせの意味合いで選ばれた二人でしかない。


 それでも樹牙が土の王配になることを本心で願っているなら相当な野心家と言えよう。

 土の王配候補者に指名された者は誰でも土の王配になる資格を持つ。


 たとえ美雨の土の王配に選ばれなくても他の女王候補者に選ばれてその女王候補者が女王になれば樹牙がこの国の土の王配になる。

 そこまで考えて道麻はあることに気付く。


 もし美雨の土の王配に自分がなれたとして、もし美雨が最終的に女王になれなかったら美雨の夫になれるのは一人だけ。

 その時に自分はどうするだろうか。



(そんなの決まってるわ。アタシが美雨ちゃんの夫になるのよ。でもそうなったら他の王配を排除しないといけないわね)



 昨夜、光主と氷室の正体と力を知り今の自分ではあの二人に勝てないと自覚した。

 美雨を必ず手に入れるためには力が必要だ。あの二人とやり合える神の力が。


 その力があれば美雨を独り占めできるかもしれない。

 美雨をどこかに閉じ込めて彼女の瞳に映るのが自分だけにしたい。


 彼女が自分だけを見て自分だけに愛を囁いてくれたらそれはどれほど幸せなことだろうか。

 そのためなら自分は彼女に全てを差し出そう。力も命も彼女が願うならこの世界ごと全て。



「道麻姉さん。なんか怖い顔してるけど、どうかしたの?」



 玖道の言葉で道麻はハッと我に返る。



(アタシったら……美雨ちゃんが望むなら力も命もこの世界も捧げるなんて……)



 自分が危険な思考にハマっていたことに道麻は僅かに動揺する。

 たった一度出会っただけの彼女になぜ自分はここまで執着するのか不思議だ。


 でもこれから土の王配として彼女と交流すればその答えが分かるかもしれない。

 自分の心の中に荒れ狂う恋情の正体が。



「なんでもないわよ、玖道。それより一応美雨王女の前ではアタシのことは姉さんじゃなくて兄さんって呼びなさいよ」


「分かってるって」


「兄と呼ばれたいなら顔合わせにまで女装してくることないだろ!」



 今度は岩斗が吠える。

 道麻は今日も普段と同じ女装姿なのだ。



「美雨王女にはありのままのアタシを見てもらうためよ」


「それにしたって……」


「ああ、そうだ。父さんから言われてたけど美雨王女のことは美雨様って呼ぶようにだってさ」



 岩斗の言葉を遮り玖道が話題を変える。

 一度、騒ぎ出すと止まらない岩斗の性格を玖道も分かっているのだ。



「それじゃあ、美雨様って呼ばないといけないわね」



(アタシは美雨ちゃんと呼ぶけど)



 そこで会議所の扉が叩かれる。

 どうやら朝食を終えた族長と美雨がやって来たらしい。


 五人の土の王配候補者は慌てて椅子から立ち上がり身を正す。

 そして扉が開いて族長の王樹と美雨が入ってきた。


 正装姿の美雨はいつもよりも何倍も綺麗で可愛い。



(ああ、やっぱり美雨ちゃんの可愛さは世界一ね。こんな可愛い子を他の男たちに渡すなんて絶対イヤだわ)



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