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女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


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第170話 土の王配候補者との顔合わせ



 美雨は土の王配候補者との顔合わせのため彼らが待っているという建物にやって来た。

 そこは族長たちだけでなく普通の民も会議などで使用する場所らしい。



「どうぞ、美雨様」


「はい」



 王樹に促されて美雨は王樹に続いてその建物の中に入る。

 そこには五人の人間が立って美雨を待っていた。


 その五人を見た瞬間、美雨はひとりの女性に目を止める。

 ここには土の王配候補者だけがいるはず。当然、王配候補者は男性だ。


 しかし、その場には四人の男性と一人の女性がいる。その女性こそ美雨が小物店で出会い胸の高鳴りを覚えた絶世の美女の道麻だ。



(道麻さんだわ! あ、違う、道麻様ね。王配候補者として私と顔合わせをする時にも女装なんて道麻様にとってこの姿が普段の姿ってことね)



 男性だと分かっていて道麻を見ても麗しい女性にしか見えない。

 ただ女性にしては背が高いとは思うが。それに今日も体型を隠すかのようにゆったりとした衣服を身に付けているので余計に男性とは思えない。


 美雨と道麻の視線が交わった。美しい緑柱石のような道麻の瞳に吸い込まれそうになり胸の鼓動が速くなる。

 麗人というならば氷室も美しい。だが道麻には氷室とは別の魅力的な美しさがある。



「美雨様。どうぞ、席へお座りください」



 王樹の言葉で美雨は我を取り戻す。

 既に知っている相手だったとはいえいつまでも道麻と見つめ合っていたら他の土の王配候補者に不審に思われてしまう。


 道麻のことはかなり気になっているがそれだけで道麻を土の王配候補者には選べない。

 自分はまだ道麻という人物の全てを知っているわけではない。王配に相応しい人格者なのか霊力は強いのか。総合的な判断が必要になるが一番大切なのは自分と両想いになれるかどうか。


 その時、ふと光主たちの言葉が美雨の頭に蘇る。

 彼らは自分と同じ力を持つ相手を土の王配候補者として選ぶようにと望んでいた。


 光主と氷室と同じ力を持つということは神の力を持つということ。

 だが美雨は別に自分の王配たちが全て神の力を持つ者でなくてもいいと考えている。


 霊力が強いに越したことはないが神の力を持つことは危険を伴う。

 光主も氷室もとても危険な目に合った。できることならそんな危険なことはやめて欲しい。


 美雨が自分の王配にと望んだためにその人物が苦しむのは見たくない。

 だから美雨は土の王配になる者が神の力を持たなくても受け入れるつもりだ。大切なのは自分と土の王配とのお互いの気持ちなのだから。


 もちろんそれでも最低限王配としての役割を果たせない者では困る。

 それをこれからこの五人の王配候補者と交わり見極める必要がある。



「はい。王樹様」



 美雨が指定された席に座ると美雨の横に王樹が座り立っていた五人の王配候補者たちも着席する。

 長テーブルを挟んで美雨と土の王配候補者は向き合った。


 美雨は敢えて道麻以外の人物に視線を向ける。

 他の四人は普通に男性と思える姿をしていて土族の特徴である茶髪に緑の瞳をしているがもちろん髪型や瞳の色の濃淡に違いはある。


 けれど道麻以上に美雨の心を動かす相手は初見ではいない。

 もっと彼らのことを知れば美雨も他の候補者に心を動かされるかも知れないが。



「では美雨様。土の王配候補者を紹介します。向かって右から、私の甥の道麻、玖道、岩斗。この三人は兄弟です。そして次が私のいとこの息子たちの樹牙と紅樹でこの二人も兄弟です」


「よろしくお願いします、皆様。私は華天国第三王女の美雨です」



 美雨は先に自分の方から自己紹介をする。

 すると五人の王配候補者は座ったまま頭を下げた。



「土の王配候補者たちからも自己紹介をさせましょう。美雨様、彼らに何か訊きたいことはありますか?」



(え? 訊きたいこと? う~ん、まずは皆さんの好きなモノとか訊いた方がいいかな)



 本当に訊きたいことは王配としての素質があることを判断したいので霊力の強さや王配になりたいかもしくはなった場合にどんな王配になりたいのかなどいろいろあるがいきなり能力などで人物を差別してはいけないだろう。

 霊力の強い者がそのまま王配としての素質があるとは限らない。


 それに自分は土の王配になる者に自分を好きになってもらいたい。

 しかし初対面で自分のことを好きですかと訊くのも違う気がする。


 とりあえず相手の好きなモノが分かればそれによってその人物の性格がある程度分かるはずだ。

 例えば剣術や馬術などが好きなら身体を動かすことが好きな性格だろうし芸術的なことが好きならそういう感性を持った人物だと判断ができる。



「それなら皆様の好きなモノを教えてもらいたいです」


「分かりました。では皆は自己紹介と自分の好きなモノを答えるように。では道麻、お前から自己紹介をしなさい」



 道麻から自己紹介をすると王樹が指示したので美雨は敢えて避けていた視線を道麻に向ける。

 美雨と視線が合うと道麻は口元に笑みを浮かべて微笑んだ。その笑顔が美雨の心臓を鷲掴みにして鼓動が跳ね上がる。


 けれど視線を外すわけにはいかない。

 美雨はドキドキする鼓動が他の者に気付かれないことを祈って道麻の言葉を待つ。



()()()()()、美雨様。アタシの名前は道麻。年齢は22歳。見ての通りこの女装姿がアタシの普段の姿です。好きなモノは……そうね、綺麗なモノや可愛いモノが好きです。小物類も好きだけど綺麗な可愛い女性も好き。最近そんな女性に会えて嬉しい気分になったわ」



(え? 綺麗で可愛い女性が好きで最近そんな女性に出会って嬉しいって……道麻様はその女性のことが好きなの……? その女性が好きだから私の土の王配にはなれないって遠回しに断られているのかしら……?)



 動揺した美雨は思わず自分の手で拳を作り握り締めてしまう。

 道麻に既に好きな女性がいるなら自分と道麻が両想いになることは難しい。



「そ、そうですか……素敵な女性と出会えたってことですね。それは良かったですね」


「ええ、とても」



 道麻の顔を見れば分かる。その女性に道麻が好意を抱いていることが。

 だがそのことを美雨に責める権利はない。今までの光族や水族でも好きな女性がいるのに王配候補者になっている者はいた。道麻もそういう人物のひとりだったというだけだ。



「こら、道麻! 美雨様との顔合わせで余計なことを言うんじゃない!」



 王樹の注意が道麻に飛ぶが道麻が反省している様子はない。

 むしろ蕩けるような笑顔で言い放つ。



「綺麗で可愛い女性に出会ったのは事実だもの。アタシは嘘は言ってないわ」



(……道麻様は嘘は言っていない……それなら道麻様の気持ちを尊重してあげないと……)



「大丈夫ですよ、王樹様。道麻様が正直者だということが分かりましたし嘘を吐かれるよりいいですわ。他の皆様もどうか正直に答えてください」



 無理やり笑みを作り美雨は王樹や他の王配候補者にそう告げる。

 自分の想いが通じないことだって世の中にはあるのだから仕方ない。



(道麻様が気になっていたのは事実だし、もしかして道麻様に恋をしたかもって思ったけど、道麻様に好きな相手がいるならこの想いがもっと大きくなる前にそのことが分かって良かったじゃない、美雨)



 美雨は自分の心が悲鳴を上げるのを無視して微笑み続ける。

 自分がどう思おうと土の王配に誰かを選ばなければ自分は女王にはなれない。その譲れない強い意志だけが傷心の美雨を支えていた。



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