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女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


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第167話 雷神と海龍神の恵みの雨



 光主が解放した雷神の力により光主の身体がバチバチとした白い雷光に包まれる。

 暗闇に浮かび上がるその姿は神々しさを感じさせると同時に見た者に恐怖を与えるような姿だ。


 光主の黄金の髪と黄金の瞳が輝きを増す。

 まるで強さと美しさを兼ね備えた黄金の獣のようだ。


 そして光主はスッと自分の右腕を天に向ける。

 その瞬間、光主の身体から白い雷光が天に向かって放たれた。


 闇夜の吸い込まれるように雷光が放たれるとそれまで月夜だった空に雲が湧き出してくる。

 その雲がどんどん広がりを見せるとそれに伴い強い風が辺りに吹き始めた。まるで嵐が来た時と似た現象に道麻は目を瞠る。



(まさか、この光主という男は嵐を起こせるの? 嵐で雨を降らせて溜め池に水を溜めようというの? でも嵐が吹き荒れたら水不足とは別の意味で農作物に被害が出てしまうわ。この行為を止めさせるべきかしら。でも今のアタシの力ではこの男を止められないわ!)



 農作物には風に弱い物もあるし嵐で大雨が降れば多過ぎる雨のために田畑の土が流されたり水浸しになったりする被害がでる恐れがある。

 水不足を解消するために他の被害が農作物にでたら意味がない。そのことをこの光の王配は理解しているのだろうか。


 道麻が玉砕覚悟で光主の行為を止めようかと考えている間にも空には雷雲が垂れ込め辺りは夜の闇よりも暗くなる。

 雷雲からは今にも大雨が降ってきそうだ。



「次は私の番ですね」



 氷室はそう呟くと己の中の海龍神の力を解放する。

 美しい銀髪と空色の瞳が輝きを増し周囲に光主と同じくらいの圧倒的な霊力が溢れ出す。



「…っ」



 その凄まじい霊気に道麻は再び数歩後退ってしまった。

 海龍神の霊力を纏った氷室は普段の美貌がさらに増し人では持ちえないほどの美しくも気高い銀の獣を彷彿させる姿になる。


 そして氷室の空色の瞳が雷雲に向けられると同時に雷雲に稲光が走り辺りに大粒の雨が降り出した。

 このままでは雨は土砂降りになり農作物への被害は避けられないと判断した道麻は光主に向かって叫ぶ。



「この嵐を止めてちょうだい! 光主! いくら水が欲しくても嵐は田畑に別の被害を出すわ!」


「ご安心ください。そのために私がいるのですから」



 道麻の叫びに答えたのは光主ではなく氷室だ。

 氷室が光主と同じく片腕を天に向ける。


 そして氷室から一筋の青い霊気が天に向かって放たれた。

 その青い霊気は雷雲に吸い込まれそれまで鳴り響いていた稲光が収まる。


 大地に降り注いでいた大粒の雨も優しい小雨となり吹き荒れていた風も止む。

 田畑に降る雨は田畑を傷つける雨から恵みの雨へと変貌した。



「何が……起こってるの……?」



 この恵みの雨であれば田畑を傷つけずに干上がった大地を潤すと同時に溜め池にも水を溜めることができるだろう。

 一晩では無理だがこの雨がしばらく続けば水不足問題は解決する。


 しかしその雨をもたらした目の前にいる黄金の獣と銀の獣はいったい何なのか。

 天候を自在に操るなど神の領域ではないのか。



「この雨は俺と氷室に宿る雷神と海龍神の力の合わせ技さ。俺の雷神は嵐を作り出せる。だが嵐で雨を降らせても道麻の言う通り強過ぎる雨と強風で農作物に被害が出る可能性がある」


「そこで私の出番です。海龍神は水を司る力を持ちます。何もないところから雨雲や水を発生させることは不可能ですがすでにある雨雲に影響を与えることは可能。なので雷神が生み出した雷雲を海龍神の力で制御して雨の強さを調整したのです。雷雲の力が弱まれば強風も収まるので農作物への被害はでません」


「雷神と海龍神ですって……? 貴方たちはその身に神を宿しているというの……?」



 俄かには信じられず道麻は二人に問いかける。

 すると黄金の獣と銀の獣は僅かに口元に笑みを浮かべた。



「自分の目で見たことが信じられませんか? 私たちは美雨と共にいる王配になるために半人半神となった者なのです」


「俺たちは美雨の王配になる者には自分と同等の力の持ち主しか認めるつもりはない。それだけはお前に伝えておく」



(美雨ちゃんの土の王配になるためにはこの二人のように神の力を手に入れないといけないということね。その力が無ければ美雨ちゃんの土の王配になってもアタシはこの黄金の獣と銀の獣に殺されるでしょうね)



 二人の半人半神の美雨の王配の瞳には狂気が見える。


 自分たちと同じモノ以外は美雨の王配として認めない。

 同じモノでなければ彼女の愛を受けることは許さない。


 その狂気は明確にそれらを道麻へと伝えてくる。



「それに美雨がお前を愛さなければそもそもお前が神の力を手に入れても俺たちがお前を受け入れることはないから覚えておけよ」


「美雨が貴方に好意を持つかは私たちには分かりません。ですが神の力を持った者が美雨の王配になれる訳ではなく彼女に愛され己の全てをかけて彼女を愛する者だけが美雨の王配になれる資格を持つことを忘れないでくださいね。それ以外の者はたとえ神の力を持つ者だとしても排除します」



 人ならざるモノが浮かべる笑みを湛えながら二人の王配は道麻に忠告をする。



(なるほどね。この二人は美雨ちゃん以外のモノはどうでもいいほどに美雨ちゃんに溺れているみたいね。でもその気持ちならアタシも分かる気がするわ)



 道麻の脳裏に美雨の笑顔と澄んだ海色の瞳が浮かぶ。


 あの美しく可憐な彼女に微笑みを向けられ海色の瞳に見つめられて自分への愛を囁かれたら自分も彼女のためになんでもしてしまう気がする。 

 それが世間で禁忌と言われるようなことであっても。


 二人の王配の瞳に浮かぶ狂気はその想いの証拠だ。



「お前は美雨に会ったんだよな? 美雨に好意を持ったのか?」


「……さあ、今はそのことについて貴方に話すことはしないわ」



 光主の問いを道麻ははぐらかす。

 自分の美雨への気持ちを全て曝け出すほどまだこの光主という男を自分は信頼していない。


 それにこの二人を道麻の方が排除すると決断する可能性だってあるのだ。

 今はまだこの二人に敵う力を道麻は持たない。だが神の力を持つ方法を見つけ自分もこの二人に負けない力を手に入れたら話は変わってくる。


 美雨への愛が深まれば自分は美雨を独り占めしたくなるだろう。

 その時にこの二人の王配のように美雨を別の王配と共に分け合うことができるか分からない。



「いいでしょう。美雨の土の王配選びに関することには私たちは基本的に口を出せませんしね。ですが美雨が土の王配選びに専念できるように水不足が解消するまで夜だけこの雨を降らせ続けます。そうすれば美雨が食糧難になることを考えて憂うこともないでしょうから。彼女の憂いた顔は見たくありません」



 この雨を降らせたのは土族を助けるためでもなく華天国の食糧危機を救うためでもなくただ美雨の憂いを解消するため。

 氷室の言葉はそれ以外の意味には聞こえない。



「……そうしてくれるとアタシも助かるわ。美雨ちゃんを口説くことにアタシも集中できるもの。…っ!」



 美雨を口説くと道麻が口に出した瞬間、道麻の右腕を白い小さな雷光が掠め左腕には鋭い小さな氷槍が掠める。

 どちらも僅かに掠めただけだが道麻に痛みが走った。



「おっと、悪いな、道麻。雷神の力の制御を誤まったようだ」


「申し訳ありません、道麻。海龍神の力の制御は難しいもので、失礼しました」



 詫びの言葉を口にしても二人がわざと道麻を攻撃したのは表情を見れば分かる。

 だから道麻も動じることなく平然と二人に言い放つ。



「狭量な男は美雨ちゃんに嫌われるわよ。貴方たちが美雨ちゃんに嫌われたら美雨ちゃんはアタシだけに愛を向けてくれるかもしれないわね。頑張って美雨ちゃんを口説いてアタシに夢中にさせるから力を制御できない未熟者は黙ってみていなさいな」



 さらに挑発する道麻に対して今度は光主も氷室も攻撃をして来ない。

 代わりに二人とも不敵な笑みを浮かべる。



「お前が今、どんなに強気な態度でも今のお前では俺たちには敵わない。弱い者いじめをすると美雨に怒られるから今日のところは心の広い俺はお前の暴言を許してやる。ありがたく思えよ」


「弱い犬ほど吠えると言いますし、私も美雨に自分より弱い者を傷つけないようにと言われてますから今の貴方の発言は聞かなかったことにしてあげます。感謝してくださいね」



 光主と氷室に今の道麻では自分たちの相手にする気すらないと宣言され道麻は唇を噛み締める。



(悔しいけどこの二人の言葉は正しいわ。今のアタシには力が足りない。それに美雨ちゃんがアタシを愛してくれるかまだ分からないし。まずは美雨ちゃんにアタシを好きになってもらうことから始めましょう。全てはそれからだわ)



 道麻は二人の王配を前にそう決意した。



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