表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【休載中】イノセントワールド  作者: 泉水遊馬
Chapter 10 バトルロイヤル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

119/121

バトルロイヤル 20 ルビーVSマリア D

血がアスファルトに落ちる音さえ聞こえそうな夜だった。


ルビーは廃車の陰で脚の傷を簡易止血しつつ、冷静に状況を分析していた。出血は深くない。動きは制限されるが、致命的ではない。しかし、それ以上にマリアの動きが速すぎた。


罠の可能性がある。


彼女のハンドガンの動き、回り込みの速さ、あれは即興ではない。すべて“想定していた”反応。マリアはこのストリートの地形を完全に記憶している。逃げ場も、遮蔽物も、踏み板になる瓦礫さえ。


そのとき、風が変わった。


(まだ遠くにはいない)


ルビーは息を整え、傷の痛みを飲み込みながら再びハンドガンを構え、廃車の下から覗く。

が、そこにマリアの姿はない。


静寂。


だがその空白こそが、マリアの存在を証明していた。


心理戦だ。


(動けば撃たれる。動かなければ包囲される)


ルビーは自分の心に言い聞かせるように呟き、視線を瓦礫の上へ滑らせた。


そして気づく。わずかに揺れた、遠くのドア。廃墟ビルの一階、開きかけのドアが、わずかに風とは逆方向に動いた。


その瞬間、背後、右斜め上から炸裂音。


バンッ!


マリアが別角度の廃墟二階から、ショットガンを狙撃のように放ってきた。弾は瓦礫に激突し、ルビーの背中をかすめるように炸裂。衝撃で体が投げ出される。


ルビーは転がりながら反応し、すぐさま対抗射撃。だがマリアの姿は消えている。


(また、動いた……!)


息が荒れる。


だが、怒りではない。焦燥でもない。ただ純粋な、戦術への驚嘆。


(読まれている。)


それがどこか、悔しかった。


ルビーは立ち上がりながら、視線をビルの屋上へ向けた。


「やるわね……“ポニーテールの悪魔”」


呟くと同時に、ライフルを拾い上げ、周囲の反響音から音源の位置を逆算する。


そして気づく。マリアの真の狙いは「位置を知らせること」ではない。


(私の動きを、“誘導している”。)


罠の中心に自分がいる、それに気づいた瞬間、左後方の物陰からマリアが飛び出した。


パンッ! パンッ!


ハンドガン二発。ルビーは前方にスライディングしながら回避、着地と同時に反転射撃。


キィィンッ!

金属と弾丸がぶつかり火花を散らす。


マリアはそれすらも想定内のように回避、足場を蹴って背後の壁に跳び、反動で再び跳ねる。


バンッ!

バンッ!


ショットガンの二連射。散弾はルビーの周囲を破壊するように炸裂、粉塵が視界を覆う。


(見えない!)


だがその“見えない”を逆手に取るのが、ルビーだった。


彼女は目を閉じる。そして耳と皮膚感覚で空間を捉える。微かな足音、空気の動き、マリアの呼吸音……。


(右斜め下。今、飛び出そうとしてる!)


パンッ!


ルビーの一撃が、粉塵の奥のマリアの右肩を正確に撃ち抜いた。


「ぐっ……!」


マリアの体が壁に打ちつけられる。しかし反撃は止まらない。彼女はすぐに身体を反転させ、片手でショットガンを構え、


バンッ!


至近距離で撃ち込む。ルビーは反応しきれず、腹部に衝撃が走る。弾はかすっただけだが衝撃が内臓を揺らす。


二人はほぼ同時に倒れ込んだ。呼吸が荒く、血が流れ、互いの距離はおよそ五メートル。


息を整えながら、マリアはぼやける視界でルビーを見つめた。

(まだ……倒せない。)


ルビーも、揺れる視界の中でマリアの姿を探す。


(撃ち切った?いや、まだある。)


次の一手。次の一撃。それが、すべてを決める。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ