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【休載中】イノセントワールド  作者: 泉水遊馬
Chapter 10 バトルロイヤル

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バトルロイヤル 19 ルビーVSマリア C

風が止んだ。


突如、ルビーが動く。背中からスナイパーライフルを滑らせるように取り出し、素早く膝をつく。その動きは洗練され、躊躇がない。構え、呼吸、照準、引鉄。


バンッ。


乾いた銃声が夜を引き裂いた。発砲音と同時に、マリアは横に転がり、着地と共にショットガンを引き抜いていた。彼女のいた場所の壁がえぐれ、石片が彼女の頬をかすめる。

狙いは正確。ただ、早すぎる。


マリアは反射的に遮蔽物の陰に身を伏せ、肩で呼吸する。弾道、音速、距離。数秒で全てを計算し終える。スナイパーは二発目を撃つ前にポジションを変える。それがルビーなら確実だ。


予想通り、ルビーはスコープから目を離し、姿勢を崩さず横移動。足音はほとんど聞こえない。


(読んでるわよ)


マリアは呟かず、ただ心で言葉を吐き捨てる。そして右手のショットガンを構え、瓦礫越しに反撃する。


バンッ!


激しい反動と共に、散弾が一帯の空気を震わせる。破砕された窓ガラスが宙を舞い、鋭い金属音が交差点に響き渡る。


しかしそこにルビーの姿はなかった。既に左方の廃車の陰にポジションを変えている。マリアの心理を読んだ見事な回避。

それでも、あの位置は撃てる。


マリアは体を伏せながら、空間の配置を頭に描く。瓦礫、電柱、放置されたバイク。足場の高さ、光の差し込み方、すべてを使ってルビーの位置を特定し、回り込むルートを算出する。


(私の頭の中にお前の動きはすべてある。)


一方、ルビーは敵の狙撃反応を待ちつつも、内心で迷いを抱えていた。

マリアはこの距離であれば確実に殺しにくる。



瓦礫の向こうから低い姿勢の影が現れた。マリアだ。ハンドガンに持ち替え、連射する。


パンッ、パンッ、パンッ!


ルビーは伏せながらスライドし、辛くも避ける。瓦礫の上に跳ねた弾が左肩をかすめ、薄い煙と共に熱が走った。


(くっ、近い。)


もはやスナイパーライフルは使えない距離だった。ルビーはすぐに背からライフルを外し、脇に放ってハンドガンを抜く。


マリアの影が、瓦礫の斜面を利用して跳躍。


ルビーは冷静に狙いを定め、引鉄を引こうとする。


だが、引けなかった。


マリアの眼が、怒りと悲しみを帯びていた。過去がそこにあった。ルビーはその一瞬で、ただの標的ではなく「かつての友」を見てしまった。


その迷いが、マリアに動く時間を与えた。


(左、踏み込む!)


マリアの蹴りが、ルビーの手元を弾いた。銃声。逸れた弾丸が空を裂く。


二人は同時に倒れ込む。地面を転がりながら、それでもマリアはハンドガンを再び構え、ルビーの足元に向けて発砲する。


バンッ!


弾はルビーの脛をかすめ、鮮血が飛ぶ。


ルビーは歯を食いしばりながら、廃車の下へ滑り込むように後退した。流れる血を止めながら、呼吸を整える。


(撃たなかった私が、愚かだったのか?)


だが、それはもう選んでしまった。


(次こそ、撃つ。)


彼女は決意を胸に、マガジンを交換し、再び戦闘体勢に入った。

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