その5「軍の男二人」
「たった…これだけなのか…」
悔しかった。俺もアーサーも。あの後、俺たちはゴブリン村やその周辺に生き残りがいないか探索をした。結果、ゴブリン村の戦士はほぼ全滅。帝国軍を偵察しに村を出て、そのまま待機していた者が数名、村から少し離れたところにある洞窟に避難していた女や子供、またそれを守るために付き添った者が数名。そして、村で軍を迎え撃ち、戦死しなかった者がほんの数名だけ、生き残ったようだ。
力の無さを実感した。レベル1の無力さを。そして、ヤバい。アーサーたちの村にも、軍は侵攻する、確実に。生き残った者ととりあえず洞窟に避難させ、ゴブリン村へ戻った。今後どうするか決めるためである。
「ぅあっれ〜?あれれー??」
ゴブリン村の入り口の方から声がした。男の声だ。しかも二人。
「この薄汚い村によぉ。忘れモンしちまってよぉ。取りに来てみればぁ。何だ貴様ァ。猫と人間かぁ? しかもそこの人間! 帝国のやつじゃあねぇよなぁ。」
男二人組である。それも柄の悪そうな。さらにそいつら二人共腰に剣を、体に鎧を着用している。おそらく軍の奴だ。それも末端のだろう。
「俺ァよぉ! ゴブリンのヤローぶっ殺しまくってたがよぉ! なんつーかよぉ! 殺し足りねぇーんだよなァ! 猫と人間! 貴様らを始末することに決めたァ!」
そんなことを抜かしている。奴らは剣を手に取り、襲い掛かってきた。
俺らはすでにプッツンきている。闘志に満ち溢れていた。
「アーサー!イケるかッ!」
「ハイッ!天睛さん!」
俺たちは甘く見ていた。見すぎていた。この男らを。放たれた剣の一閃の前、俺は後ろへ飛んだ。おそらく敵は格上。そう感じさせる一撃だ。アーサーも守りの一方だ。
「俺ァよ。レベル12だぜぇ。俺の弟分のこいつでさえレベル5なんだよォ! 今のお前の動きを見てわかったよ。しっかりとした戦闘、はじめてだろォ?」
バレた。前は避けただけだ。今回は違う。敵は人間なのだ。
「兄貴ィ!こいつ等二人、俺一人で十分でっせ! 忘れた物、何か知りませんが回収して行ってくだせぇ! こいつ等片付けてすぐ合流しますんで!」
そういうと、一人は何かを持ち去ってどこかへ消えていった。
正直言えば許せない相手で逃したくはなかった。だが、コイツが逃してはくれない。
「アーサー!何か、倒せる手立ては無いか?」
−到達予想時間まで、残り3時間−




