ホミア一〇分署刑事課オフィス、ジェイク・フェリーの電話——セントラル駅構内の公衆電話の通話
「——事態は把握した。貴様、今どこに?」
「セントラル駅。これから夜行列車の三等客室で二八時間監禁コースだ」
「殺しても死なないほどタフだった男が、寝台一つで喚くとは」
「いつの話をしてんだ、車がぶっ潰れたんだ、ぼやきの一つも出るだろ」
「俺にとっては昨日のことのようだが、貴様は違うのか?」
「…………そんなことより、ダリアが補導されたのは家出してバーで働いていたから、本当にそれだけか?」
「どういう意味だ」
「そういう名目で、『保護』したんじゃねぇのか? あのガキに差し迫った脅威があって、でも、確たる証拠があるわけじゃないから、補導って形で守ったんじゃねぇのか?」
「貴様は、踏切の事故が事故ではないと? 狙われたと言うのか」
「命を狙われる理由に心当たりは?」
「まさか、あるわけがない。パトロール警官が偶然補導しただけだ」
「ただの考え過ぎならいいけどな、あれがどこぞの刺客ならこの先もきっと仕掛けて来る。ダリアのバイト先やホミアでの交友関係を調べてくれ、頼む」
「……分かった。クロフォード君はどうだ? 役に立っているか?」
「いや別に。つーかどういうつもりだよ、いきなり護衛なんて」
「返したい恩があると言っていただろう」
「返す相手はもういねぇよ。償うことも出来ない」
「彼女を成長させてやれ、かつて貴様が教わったようにな。そしてそれは貴様自身の為にもなる。つまり恩返しになる。最後に言っておくが——彼女には、『体質特性』がある」
「は⁉ 何だって⁉」
「困った時は、彼女に運転させるといい」
「運転? どんな能力」
「クロフォード君を頼んだぞ、きっと上手くいく」
「賢者のつもりかよ、意味分かんねぇから!」
「また連絡しろ」
「あ、おい、ミドルトン夫妻の件は大丈夫なんだろうな——」
通話終了。




