イキモノ?
世間ではPHPの脆弱性がどうたらこうたら騒がれていて、色々心配ですね。
なろうもつい先日、メンテナンスをしていましたし⋯⋯。
まあ、僕はそんなことを気にせず小説を書き続けますがね。
♢如月双葉♢
俺は気がついたらそこにいた。
荒唐無稽、そんな言葉がしっくりくる空間。
軽く辺りを見回したが、ここがどこかはまるで分からなかった。
その時、刻夜が動き出した。
地面に何かを書き始める。
『はい、これ読んで』
「ん」
俺は刻夜に指示され、地面に書かれた文字を読み始める。
「えーっと、『ここは呪の世界だよ』か」
『はい、次』
「『ご主人様は呪に変換されちゃったよ』」
『はい』
「『戻るにはこの世界を制覇しよう』。なるほどなるほど」
『状況は理解できた?』
「一つを除いて他は理解できたぞ」
『おっ、何だい?』
「喋れるのに地面に書く必要あったか?」
『はっ!?』
バカだコイツ。
『誰がバカだ!?』
「考えてることが筒抜けの感じですかね」
『そうだよ!刻夜はプンスカプンだよ!』
「てか、何で喋れるんだ?今まで一度も喋らなかっただろ」
『それはここが呪の世界だからだよ』
「つまり?」
『ご主人様も、刻夜も、どっちも呪だから意思疎通が可能になった、的な』
「ふむ、まあそれでいいか」
『はぁ、今まで以上にご主人様との繋がりを感じちゃう///』
「そうか」
俺は刻夜を連れて歩き出した。
刻夜は制覇と言っていたから、どこかしらにボスがいたり、ゴールがあったりするはずだ。
そしてここが呪の世界だからだろうか、魔力が使えない。
刻夜も浮遊できずにいる。
そのため、俺が帯刀しているかたちだ。
最初に文字を書くので備蓄魔力を使い果たしたらしい。
相当量の魔力を普段から喰ってるはずだが、かなり燃費が悪いようだ。
これ、俺以外だとまともに扱えないんじゃないか?
『当然だね。そもそも、ご主人様にアジャストするようにしてあるから』
「わざわざ大量の魔力を喰う必要はないだろ」
『現実世界で形を維持させるにはかな~りの魔力を使ってるんだ。
ご主人様以外が扱うと持っただけで全魔力を使い果たし、生命力まで喰らうだろうね』
「えっ、こわ」
『とはいえ、レベル6なら一振りぐらいはできると思うよ』
そんなに燃費が悪かったのか。
普段からあれだけ魔力を喰ってても太らなかったのはそういうことか。
「いてッ!?」
『レディにデブとは、失礼だよ!』
「女の子だったの!?」
『当然だよ!それ以外の何に見えるのさ!?』
「刀」
『おう、ドストレート回答だね』
「それ以外の何ものでもないだろ」
『良いだろう良いだろう!だったら見せてやるよ!』
刻夜がそんなふうに言ってきたと思ったら、腰から刻夜が消えた。
その代わり、目の前には白色のパーカーを着た白髪ボブカットの小柄な美少女が立っていた。
絶世の、と修飾語をつけてもいいレベル。
「どうだい?ちゃんと女の子だろう?」
「⋯⋯」
「仕方がない。脱いであげよう」
刻夜(推定)がパーカーを脱ぎ始めたところで止めた。
「こんな美少女が脱いだらダメだろ」
「ご主人様になら、刻夜の初めてをあげちゃうよ?」
「⋯⋯反応に困るからやめてくれ」
「了解」
俺は刻夜(人型。刀の時は刻夜刀と呼ぼう)を連れて歩き出した。
フォルムチェンジできたのはここが呪の世界だからだそうだ。
現実世界だと相当量の魔力を喰う必要があるらしい。
俺なら賄えるのでこれからは人型でいてもらおうかな。
そっちの方が接しやすいし。
何より可愛いので目の保養になる。
イータとカースとアートも可愛いのだが、一番は刻夜だろう。
いや、女の子に順位付けは良くないな。
総じて全員可愛い。
「ご主人様、もしかして三人に惚れつつあるね?」
「どうだかな。俺は刻夜も含めて全員が好きだからさ」
「そ、そうなんだね」
日本にいた頃はオタクだったからなあ。
そういう経験がなさすぎてあんまし分からん。
もしかすると、本当に好きでも気づいてないだけかも。
少なからず、皆といても不快ではないかな。
「さーて、とっとと脱出しようぜ」
「出口は分かったの?」
「全く分からん。刻夜は?」
「分かるよ。ただ、あそこはちょっと大変だけど」
「何だっていいさ。案内してくれ」
「どうなっても知らないよ?」
「問題なし」
「じゃあ、ついてきて」
俺は刻夜に従って歩いていく。
♢中央噴水♢
そこには大量の泥が散らばっていた。
その中心に三人の少女がいる。
「はあ、疲れたのじゃ」
「滅茶苦茶量が多かったね!」
「いつの間にか、ローブの人は逃げていますね」
「結局、アレの目的は何だったんだろうね!」
「私の予想だと情報収集なのじゃ。私達三人の戦闘データを取っていたのではないかのう」
「なるほどね!」
三人の少女は一度ため息をついた。
少しの間黙り、話し始める。
「双葉、戻ってこないのう」
「うん」
「で、でも、双葉ならそのうち戻ってきますよ」
「そ、そうじゃな」
「⋯⋯あの時はああ言ったけどさ、本当は戻ってこないんだよ」
「「えっ?」」
「対象が呪に変換された時、対象の全てが消失し、この世から消え失せる」
「じゃ、じゃあ」
「双葉くんにはもう会えない」
その言葉を聞いた二人は押し黙る。
三人に静寂が訪れ、噴水の水の音だけが鳴り響いていた。
♢如月双葉♢
だいたい30分程。刻夜に案内されたのは静かな場所だった。
先程までの荒唐無稽な空間とは打って変わって、凪のような空間。
そこにはまるで異物のようにナニカが佇んでいた。
「ご主人様、アレを倒して。そうしたら出られるよ」
「それだけで良いのか?」
「甘いねえ。アレは強いよ」
「そうか。まあ、やってみますか」
俺は刻夜刀を手にし、ナニカに近づいていく。
ナニカは微動だにしない。
近づいて分かったが、コイツは呪の塊だ。
ゆらゆらと不定形に蠢いていて、人魂のような形をしている。
中心が白、周囲が黒の2色構成。
その時、微動だにしなかったナニカは喋りだした。
『問おう。汝が我を打ち倒す者か?』
俺が何かを答える前に、事態が動いた。
今まで凪だった空間が波打ち始める。
そこかしこから魔物が発生する。
それを形成するのは呪。
『機に乗じて出てきたか』
ナニカから波動を感じ取ったと思えば、周囲の魔物が消滅していた。
コイツ、今何をしたんだ。
『再度問おう。汝が我を打ち倒す者か?』
「ああ。お前を倒したらここから出られるらしいからな」
『なるほど、良かろう。得物を持て』
ナニカはそう言うと、形を変えて人型になった。
だが、シルエットだけだ。
そして、その手には剣を持っている。
『我に挑み、我に敗れた者は数知れず。我に勝て、若輩よ』
ヘイヘイヘーイ!刻夜ちゃんが可愛いぜい!
いやぁ、人型になれる武器ってなんかいいですよねぇ。




