消失?
今回はちょっと少なめです。
♢中央噴水♢
そこには二人の人物がいた。
一人は両手足を縛られた少女。
もう一人はローブを羽織った、顔の見えない誰か。
二人は明らかに周囲から浮いているのに、誰も気に留めない。
まるでそこには誰もいないかのように。
少女は騒いでも意味がないことを理解しているため、何も言わない。
ローブの人物も何かを喋る理由がないため、何も言わない。
二人の間に静寂が生まれている。
その間を抜けるように人々が行き交う。
行き交う人々の中に、少女の見知った人物達がやって来たが、気づかずに帰ってしまう。
いや、一人だけは何かを感じ取ったようだ。
ここで少女が口を開いた。
「ねえ、聞いてもいいかな」
『⋯⋯許可』
「これの目的って何?」
『⋯⋯拒否』
「あっそ。じゃあ、これから何が起こるの?」
『⋯⋯宴』
「宴?」
『⋯⋯超常の五人の宴』
ローブの人物が単語以外の言葉を発した。
だが、少女はそれについて理解できなかった。
『⋯⋯正確には、超常の五人と模倣の五人による宴』
「それって」
『⋯⋯だが、今はまだ前段階』
ローブの人物はそれ以上は何も言わなくなった。
少女もそれを察し、何も言わなくなる。
再び二人の間に静寂が生まれた。
♢
時が経ち、周囲が暗闇に閉ざされた頃。
中央噴水に三人の男女がやって来た。
彼らは朝にも一度やって来た者達。
違和感に気づいた者とその同行者。
如月双葉、マナ・メル・イータ、クルメル・アートの三人。
「時間より少し早かったか」
「遅いよりかは良いんじゃないですか?」
「そうだな」
彼らは少し待つこととなる。
そして、時間丁度となったタイミングで空間が剥がれ始めた。
景色の裏側から同じ景色が出てくる。
最後まで剥がれきった時、そこには二人の人物が追加されていた。
「双葉くん!」
「カース!」
両手足を縛られたカルス・カース。
ローブを羽織った、顔の見えない人物。
双葉達は二人と対面する形で立っていた。
『⋯⋯1番、3番、5番のみ』
「あ?」
『⋯⋯君に用はありません』
ローブの人物が手を前に出すと、双葉は消えた。
「双葉!?」
「一体何をしたんですか!?」
「呪いだよ」
「カルス、呪いって⋯⋯」
「初歩中の初歩的な呪い。対象を呪うというもの。
ただ、極めれば対象を『呪』そのものに変換することができるんだ。
呪われすぎて『呪』になった、みたいな感じかな」
「じゃ、じゃあ双葉は⋯⋯双葉はどうなったのじゃ!?」
「⋯⋯そこは安心しても良いよ。そのうち、戻って来るから」
カルスのその声は若干震えていた。
だが、そのことに気づく者はいない。
『⋯⋯始めましょう』
ローブの人物が指を鳴らすと、カルスの拘束が解けた。
カルスは直ぐにマナ達の方に飛び退く。
「二人とも、魔法は使える?」
「大丈夫なのじゃ」
「問題ありません」
「魔法封じをしてくる可能性もあるから、気をつけてね」
「「了解!!」」
三人は同時に動く。
マナは大量の魔法を絶え間なく、隙間なく放ち続ける。
カルスは多種多様な呪いを展開する。
クルメルは幾千幾万の生物を召喚する。
『⋯⋯良き試料です』
ローブの人物は再び指を鳴らし、周囲に土でできた人型の人形──ゴーレムを大量に作り出す。
一部のゴーレムは攻撃役に、一部のゴーレムは盾役になる。
その間にローブの人物は消えていた。
さよならグッバイ如月双葉!
僕は貴様が好きじゃねぇ!




