事件?
そろそろ前書きで書くネタがなくなってきた今日この頃⋯⋯。
いや、だいぶ前からネタ切れしてましたね。
翌朝、ポストを確認するとチラシが入っていた。
内容は以前にも見た魔物に関すること。
詳細が判明したらしい。
水棲の魔物で、物理、魔法、呪いを弾く特殊な粘液を体から分泌する。
倒す手段が存在せず、手のつけようがないため、出会った場合は逃げるようにとのことだ。
見た目は羽を生やしたクジラらしい。
⋯⋯飛ぶのか?
「明日は海に行くんだけどな。出会わないだろうか」
俺達なら最悪の場合は逃げられるけど。
不安だなあ。
そういえば、アートは水着を持っているのだろうか。
持っていなければ買わなければならないのだが。
「おはようございます、双葉」
「あっ、おはよう。ちょうどいいところに、アートは水着持ってる?」
「そういうプレイがお好きなんですか?」
「違います」
何でコイツはそっち路線に持っていきたがるんだ。
「うふふ、海に行くんですよね。ちゃんと持ってますよ」
「なら良かった」
「ああそれと、今日からボクも料理をします。分担しましょう」
「いいのか?」
「はい。住まわせてもらってますし、それに」
「それに?」
「媚薬を盛ろうかと」
「絶対にやめろよ!?」
「冗談です。単純に料理がしたいだけです」
何か怖いんだけど。
えっ、大丈夫だよね?
「双葉、ボクは料理に対しては誠実です。毒を盛るなど言語道断です」
その目はかなり真剣だった。
⋯⋯まあ、信じるか。
「今日の夕飯はボクが担当しますね」
「頼んだ」
「はい!」
その時、街中に警報が鳴り響いた。
直ぐ後にスピーカーから声が聞こえてくる。
『街の外に大量の魔物が発生しました。飛行型も存在します。指示に従って避難してください』
「緊急事態のようですね」
「そうらしい」
今も繰り返し避難勧告がされているので誤報でもなさそうだ。
「行くか」
「ああ、それでしたらこのコに任せましょう」
アートが指を鳴らすと空中に巨大な陣が出来上がった。
そこからゆっくりとナニカが出てくる。
ひたすらに巨大な、背に白色の羽を生やした空飛ぶクジラ。
「ん!?」
「どうかしましたか?」
「コイツ、このチラシの」
「ああ、この街に入る時に何やら騒ぎながら攻撃されましたね。その時のことでしょう」
「アートだったのかよ⋯⋯」
「このコ、移動に楽なんですよ」
クジラは陣から出ると、街の外に向けて動き始めた。
その動きはゆっくりに見えるが、その実、かなりの速度で動いている。
体が巨大だから移動距離を稼げるのだ。
「あのコは物理、魔法、呪いを弾くので、まず負けません」
「だろうな。だが、俺達も見に行ったほうが良いぞ」
「分かりました」
俺とアートは街の外に向けて走り出した。
時折クジラに攻撃をしている人もいたが、ことごとく弾いている。
説明するのも面倒なので、後でノートさんに丸投げしよう。
俺達が城壁に着くと、モーストがいた。
「モースト!」
「双葉か!!そっちの娘は⋯⋯」
「双葉の未来のお嫁さんです」
「お前さん、マナちゃんとくっつくんじゃなかったのか」
「どっちもちげえよ!?あっ、いや、違うくもないのか」
「複雑な関係してるらしいな。で、ここに来てくれたってことは」
「ああ、俺達も魔物退治に協力するよ」
「そりゃ助かる。⋯⋯上のクジラは」
「ボクが召喚しました」
「アイツ、噂になってる奴だよな⋯⋯。いや、まあ良い」
モーストは考えるのを放棄し、状況説明を始めた。
現在、魔物は数千体存在し、こちらに向かってきている状況。
交代しながら魔法を撃ち、少しずつ数を減らしている。
だが、どこから湧いているのか数が減らない。
結果としてジリ貧の状態になっている。
「質問です。あれらの素材は討伐者の物ですか?」
「一応はそうなってるな」
「では、いただきます」
直後、クジラが地面に向かってきた。
その姿は想定通りに巨大で、想定より遥かに巨大だった。
そのまま街を飲み込めるほどに口を大きく開け、魔物の集団に突っ込んでいく。
一口で魔物の集団が消滅した。
「ごちそうさまでした」
「んなぁ!?」
モーストが口を開けて驚いている。
俺もかなり驚いている。
「ふむ、これと言って目ぼしいものはありませんね。消化です」
その一言でクジラが更に巨大化した。
そして、アートが展開した陣に帰っていく。
「もう発生していなさそうですね」
「嬢ちゃん、一体何者だ」
「クルメル・アート。双葉の未来のお嫁さんです」
「クルメル⋯⋯。〝暴食〟か!?」
「ああ、そのような二つ名もありましたね」
「おいおいマジかよ!?おい双葉!お前さんの周りは一体どうなってんだ!?」
「俺にも分からん」
何故かレベル6ばっかり集まるんだよなあ。
そういう呪いか?
はっ!?まさかカースが!?
⋯⋯ないな。
「さて、俺達は帰るよ。クジラのことはノートさんに丸投げしといてくれ」
「任せとけ。それと、ありがとな」
「俺は何もしてないけどな」
「ボクの手柄は貴方の手柄ですよ?」
アートが何か言っているが、無視して家に帰った。
まだ朝食を食べていないのでかなりお腹が空いている。
準備しないとなあ。
と思っていたのだが、家に帰るとイータが朝食を用意してくれていた。
「ホント大好き」
「ふぇあ」
手間が省けた。
イータに感謝だな。
「(あう、好きって、大好きって言われちゃったよぉ)」
「(やはり、双葉は天然たらしですね)」
「どうした?」
「「いえ、何でもありません!」」
二人仲良く声を揃えてそう言ってきた。
「というか、カースはどうしたんだ」
「カルスならまだ寝てるんじゃない?」
「起こしに行くか」
俺達は三人でカースの部屋の前までやって来た。
ノックをしてみるが、返事はかえってこない。
なのでイータに先行してもらうことにした。
『ん?カルス?』
部屋の中からイータの疑問の声が聞こえた。
「入るぞ」
「ねえ、カルスがいない」
「えっ?」
確かにベッドにも部屋のどこにもカースがいない。
部屋の窓は空いており、その下に何かが落ちていた。
それは紙だった。
文章が書いてある。
『カルス・カースを攫わせていただきました。本日23時30分に中央噴水にお越しください』
「マジかよ」
かなりの厄介事に巻き込まれたらしい。
♢
俺達は一度中央噴水に向かうことにした。
だが、案の定まだ誰もいない。
「一度戻るのじゃ」
「そうですね。⋯⋯双葉?」
俺はこの噴水に奇妙な感覚を抱いた。
いや、噴水というよりかは空間そのものか。
まるで何かの上に覆い被せて空間を配置しているかのような⋯⋯。
薄っぺらい膜の下に真実が隠されている。そんな気がする。
「どうしましたか?」
「何でもない。戻って準備しよう」
俺は違和感を残したままその場を去った。
でっけぇ魔物の正体はクルメルが召喚したクジラ!
ちなみに、クルメルは他にも色々召喚できます。
追記:タイトル入力を忘れていたので、入力しました。




