ご飯ですよ?
今回はいつもより短いです。
たまには、ね?
夕飯の準備に取り掛かる。
今回作るのは鮭のホイル焼き。
アルミホイルはこの世界にも存在していた。
何故だ⋯⋯。
「どうしたの?双葉」
「あっ、いや何でもない。しばらく待っててくれ」
まず鮭に塩を振りかけて水分が出たら拭き取る。
大体五分ぐらいで出てくる。
次に野菜を薄切りにする。
きのこは旬じゃないので今回はなしだ。
代わりにコーンを入れる。
ホイルに野菜を敷き、その上に鮭とコーンを載せる。
俺はレモンを一緒に焼く派なのでレモンも載せる。
一緒に焼くと爽やかに仕上がる。
酒を少しと、バターを少し。
そしたらホイルを隙間なく折りたたみ、フライパンの蓋をして中火で12分程蒸す。
出来上がったら取り出して終わりだ。
お手軽にできる美味しい料理の代表格だと思う。
「できたぞ」
「ん?アルミホイル?」
「これを食べるの?」
「分かってないですね。これは鮭のホイル焼きと言って、中に鮭が入ってるんです」
「よく知ってるな」
「貴方こそ。これはとある島国でしか見られませんよ」
またとある島国が出てきた。
あそこだけ時代の進歩が凄すぎないだろうか。
聞けば世に出回るほとんどがあの国発祥らしいし。
⋯⋯本当に日本人がこっちに来てたんじゃないか?
「さあさあ、食べますよ。この時点でかなり評価は高いです」
「それはどうも」
アートは包みを開ける。
「いい匂いです」
「双葉、熱いから開けて」
「私も」
俺は二人の包みを開け、俺の分も開けた。
ふむ、完璧な出来栄えだ。
「いただきます」
俺達は同時に鮭を食べ始めた。
その瞬間、イータとカースは気絶する。
やはりこうなるか。
だが、アートは気絶しない。
少し体がビクッとなっていたが、耐えている。
「あう、あう、これ、これうま、うあぁ」
語彙は崩壊したようだ。
「てか、箸を使うんだな」
「ボクはこの箸というものに魅入ってしまいまして」
語彙が復活したアートが答えてくれる。
この世界のほとんどの人はフォーク、ナイフ、スプーンを使う。
とある島国だけは箸だそうだ。
「しかし、これは中々⋯⋯。ボクがここまでぶっ壊れた料理は初めてですよ」
「それは良かった⋯⋯のか?」
「これは確かに二人が貴方に従うわけです。なるほど、なるほど」
「いや別に従わせてるわけじゃ」
「そこで提案なのですが、ボクをここに住まわせていただけませんか?」
⋯⋯俺達の家がレベル6の家になりつつある。
別に部屋自体は大量にあるから良いんだけど⋯⋯。
「良いよ。ただ、普段の料理はもう少し味が落ちるぞ」
「構いません。ボクがここに住みたい理由は貴方ですから」
「?」
「ボクは貴方に惚れてしまったようです。一目惚れというやつです」
「料理に惚れただけじゃ」
「いえ、貴方に惚れました。というわけで、結婚してください」
「???」
「ボクの理想の相手は料理がボクより上手い人です。貴方に合致します」
「やっぱり料理に惚れただけじゃ」
「いえ、貴方に惚れました。ふむ、直ぐには無理と言うのならボクが貴方を惚れさせましょう」
「⋯⋯もう好きにしてくれ」
俺の周りは昔から特殊な人が多い気がする。
最たるものはジジイだな。うん。
それから気絶した二人を起こし、夕食を終えた。
♢
カポンッという音が響く。
「ふぅ。今日は疲れた」
俺は湯船に浸かりながらぐでーっとする。
ここは温泉みたいな感じなのだ。
家に温泉。羨ましかろう?
「失礼します」
「えっ?」
突然声がし、そちらを見るとアートがいた。
タオルを巻いているが、裸である。
「何してるの!?」
「いえ、一緒に入ろうかと」
「駄目です!?出てください!?というか俺が出ます!?」
俺が立ち上がろうとすると、見えない何かに抑え込まれた。
「魔法!?」
「ダメじゃないですか。慌てると怪我しますよ」
アートはペタペタとこちらに近づいてくる。
「刀、刀!!」
俺が呼びかけると刀が魔法を喰らってくれた。
そのまま全力で逃げた。
♢
「はあ、アートには気をつけないと」
俺は自室で刀に土下座しながらそんなことを口にした。
これがなきゃ終わってた。
「せっかくだ、名前をつけよう」
今まで名無しだったからな。
その時、刀が俺から大量の魔力を喰らった。
するとペンがひとりでに動き出し、文字を書いていく。
「お前が動かしてるのか⋯⋯」
俺は紙に書かれた達筆な文字を見た。
そこに書かれていたのは『刻夜』だった。
洒落た名前しやがって。
「まあ、これでいいか」
俺は刻夜を壁に立てかけ、ベッドに入った。
明後日は海だな。
クルメルは色々ヤバい奴!




