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救済?

前回の話からほんのちょっとだけ時間が戻ります。

♢少し前♢


隕石の山の中で、双葉が起き上がった。


「いってぇ!?」


全身に傷を負っているが、死んでいない。

こうなった原因は地面を見れば分かる。

地面は球状に窪んでおり、その中心に双葉がいる。

双葉が咄嗟に生み出したクレーターだ。


「はあ、隕石同士が重なり合って隙間ができるのは自明の理だ」


物同士を重ねた時に生まれる隙間を人為的に生み出し、避難したのである。


「隕石が落下でクレータを作らなかったのが不思議ではある」


これは双葉の知らないことだが、この隕石は魔力でできており、質量自体は大したことがない。

威力が出るのはそういう魔法だからだ。

その時、外から慟哭が聞こえた。


『はあ、はあ、あああああぁぁぁ!?』

「イータか。急がな⋯⋯」

『わた、私も死ねば良いのじゃ。私がいるからいけないのじゃ。そうじゃそうすれば良いのじゃ』


慟哭の後に聞こえた言葉に、双葉は少々腹が立った。

その時、刀が地面に文字を書き始めた。

その文字を読み取った双葉は隕石の山から出てくる。


「おい、イータ」

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!』


双葉が話しかけようとするとイータが謝罪を始めた。


『今から死ぬのじゃ。そうすれば⋯⋯』


その言葉の後に、怪物の頭上に先程の隕石が現れる。


『こ、これで良いのじゃ』


それと同時に、双葉は動き出した。

マナを守るために、死なせないために。


『な、何をしているのじゃ!?わ、私は大丈夫じゃ!!死ねば良いのじゃ!!』

「大丈夫なんかじゃないだろ!!」

『ひッ!?』


双葉は咄嗟に叫んでいた。

その時の双葉の顔は怒っていたし、悲しんでいた。


『ご、ごめんなさい。嫌だ、やめて、そんな顔をしないで』

「悪いが、俺はお前の行いを見過ごさない」


双葉は駆け出す。

怪物によって妨害されるが、意に介さない。

動けているのがおかしい程の重症でも尚、駆け続けている。


『なんで、なんでじゃ!?』


マナが疑問を呈するが、双葉は答えず、怪物は妨害を続けている。

そして双葉が怪物に肉薄した。

そのまま刀をマナに突き出す。


『そ、そうじゃ。それでいいのじゃ。死ねるならそれで良いのじゃ』


双葉はマナの言葉を聞きながら、死なせないために刀を最後まで押し込んだ。


♢如月双葉♢


俺は刀を鞘に戻し、周囲の魔力が消えたイータを抱える。

胸からは血が溢れ出ており、放置すれば〝死ぬだろう〟。

コイツはまだ死んでいない。

俺が突き刺したのはイータの心臓ではなく、その隣に存在した機械。

あれが魔力を溢れ出させた元凶であり、イータを苦しめたもの。


「カース!治療魔法使えるよな!」

「魔力ないからキツイ」

「分けてやる」


散々刀に魔力を喰われ続けたせいで魔力を与えることができるようになったのだ。

俺はカースに魔力を流し込み、回復させる。

そのままイータを治療してもらい、イータを地面に寝かせた。

それから俺も治療してもらった。

結構重症でびっくりした。


「はあ、魔力を喰ってばっかのこの刀もたまには役立つな。⋯⋯痛い」


刀に叩かれてしまった。

あの時刀が地面に書いたのはイータを助ける方法。

つまり機械の破壊について教えてくれたわけだ。


「でも、よく場所が分かったね!」

「音だよ。あそこだけ特殊な音が鳴ってたから」

「何も聞こえなかったけど!」

「人によって聴力に差があるものだ」


俺達が話をしているとイータが目を覚ました。

復帰早いな。


「⋯⋯ん?あ、れ⋯⋯?」

「無事みたいだな」


イータは少しぼーっとして、泣き始めた。


「なんで、なんで助けてくれたの」

「助けてほしかったんだろ?」

「わた、私はそんなこと言ってない」

「うーん、知ってるか?イータがのじゃ口調になるタイミング」

「え?何それ知らない!」


カースが元気よく答えてくれたので説明しよう。


「イータがのじゃ口調になるのは嘘をついてる時か、不安がってる時だ」

「へえ!⋯⋯あっ、なるほど!あの時の口調はずっとのじゃだったね!」


そういうことだ。

イータの口調はずっとのじゃのままだった。


「不安だったんだろ?イータ。本当は死にたくなんてなかったはずだ。大丈夫なんてのは嘘だ」

「うぐっ、双葉ぁぁ!!」


イータは更に泣き出して俺に飛びついてきた。

俺はその勢いのまま後ろに倒れてしまった。

実は結構体力が限界だったのだ。


「双葉、⋯⋯大好き」

「ん?そうか」

「あっ!ズルい!私も双葉くんのこと大好きだよ!」

「お、おう。ありがとう」


二人とも急にどうしたんだ。

俺達が色々していると、誰かの叫び声が聞こえた。


「なぁぜぇだぁぁぁ!?”最終兵器”が負けたぁ!?」


それはクッロツ軍の指揮官だった。

かなり離れた距離にいたはずだが、その叫び声がここまで届いている。

そんなことよりも、今イータのことを兵器とか言ったか?

俺が首を刎ねようかと動き出す前に刀が動いて斬り飛ばしていた。

一人殺ったなら後は変わらないな。


「なあイータ、カース」

「「?」」

「ノートさんは確か殲滅しても良いって言ってたよな」

「「うん」」


こんなゴミの集団を残しておく理由がない。

そして、実質的な国のトップから許可は降りている。

だったらすることは一つ。


「──国ごと潰すぞ」

「「了解」」


俺達は国家殲滅のために動き出した。


♢フリア♢


その日、国が一つ滅びた。

被害者総数は約一億二千万人。

残ったのは四千人程だった。

その多くはフリアに受け入れられ、残る少数は旅に出た。

今回の戦争──否、殲滅の最大功労者は三名。

曰く、魔力を喰らう呪具を操る剣士であったと。

曰く、尽きることなく魔法を使う魔女であったと。

曰く、呪いを自在に操る呪術師であったと。

その三名には莫大な報奨金が与えられた。

三名のうち一名はSランクに昇格した。

そして三名は人々からこう呼ばれた。

剣士は〝聖魔〟。魔女は〝不条理〟。呪術師は〝変幻〟。

そして一部界隈からはこう呼ばれた。

剣士は〝魔性〟。魔女は〝まな板〟。呪術師は〝欺瞞〟。

このことに三名はキレた。

少なくとも一名は確実にキレた。

それが誰とは言わないが、事実を言われてキレた。

その結果、秘密結社が一つ潰れたのは些細なことだろう。

かくして、フリアは平和になったのだ。


あっ、なんか終わりみたいな雰囲気出てますけど、まだまだ続きますよ?

次回も来週に投稿されますからね?

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