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殺害?

いつもより少し多い⋯⋯いや、いつも通りです。

♢少女♢


私は皆から凄いと言われた。

何故なら、左手の甲に図形が六つあるから。

でも、ここにいる人々は凄いとは言わない。


「10番、時間だ」


私は研究者に呼ばれ、部屋を出る。

私にとっては慣れ親しんでしまった場所に連れて行かれる。

ここは嫌いだ。

だって、痛いから。

だって、苦しいから。

だって、怖いから。


「今日は本番だ。今までみたいに拒絶しようとするな」


私は拘束具付きのベッドに寝かされる。

研究者によって麻酔で眠らされる。


♢


目が覚めたら研究所は壊れていた。

胸の辺りに小さな違和感がある。


「逃げよう」


私は人が怖い。

この日から更に怖くなった。

走り出した時に視界の端に何かのスイッチらしきものが映ったが、気にはしなかった。


「この崖の下なら、誰にも合わなくて済む」


私は崖から飛び降りた。

着地の際に魔法で衝撃を緩和し、岩陰に身を潜めた。

その日から壁の中に家を造り、魔物を狩って食料にしたり、衣服を用意したり。

基本的な衣食住は完璧に揃っていた。

ただミスもある。それは出られなくなったことだ。

それから、友人に会えなくなったことだ。

彼女のススメで冒険者になり、Sランクになったが、そこから研究者に捕まった。

まさか魔法無効の魔法道具を使われるとは想定していなかった。


「胸の中に何を仕込まれたのかな」


爆弾、ではないだろう。

研究者が研究していたのは魔力によって半永久的に動き続ける怪物。

私はそのサンプルだったはず。

もしかすると怪物の魔力供給源にされたのだろうか。

でも、魔力が減っているような感覚はない。

もしかするとまだ起動していなくて、そのまま研究所が壊れた影響で消滅したのかもしれない。

分からないなら、考えても意味はない。

その時、何かが落ちてきた音がした。

私がそちらに向かうと、一人の青年がボロボロの状態でファイアーポニーに襲われていた。

私は迷った。

助けるか、否か。

私は人が怖い。嫌いではないのだが、どうしても近づきたくない。

でもなぜだかその青年に惹かれた。

私はファイアーポニーを仕留め、青年を助けた。

青年は異世界から来たらしい。

私が研究されていた国に召喚され、追放された。

彼と生活するうちに、更に好きになった。

ずっと一緒にいたいと思えた。

でも、それが叶わないと今この瞬間に理解した。

クッロツ軍の持っていたスイッチに既視感があった。

そのスイッチが押された時、理解した。

魔力によって半永久的に動き続ける怪物に創り変えられたのだと。

研究所を破壊したのは私で、胸の違和感は創り変えるための装置で、スイッチはそれの起動用。

魔力に閉じ込められ、魔力の供給源となり、怪物の核となった。

怪物を止めるためには完全に魔力を使い果たすか、私が死ぬことだ。

でも、魔力を使い果たすことはない。

私は生まれつき魔力の回復スピードが早かった。

それこそ、年中無休で魔法を行使できる程には。

ならば、私が死ぬしか止める方法はないのだろう。


♢如月双葉♢


イータに向かったタイミングでカースが倒れた。


「ごめーん、魔力切れ」

「なんで急に!?」

「魔力が吸われてるみたい。てなわけで、後は頼んだよ!」

「仕方がない、俺一人で助ける」


俺は刀を抜き、魔力を斬りつける。

すると刀がイータの魔力をとてつもない速度で喰らい始めた。

途中で魔力が腕らしきものを振り回して俺を引き離した。

刀は魔力に突き刺さったまま微動だにしていない。


「魔力の回復スピードと刀の吸収スピードが拮抗してるな」


俺は刀を引き抜き、鞘に戻す。

滅茶苦茶抵抗されたが、しっかりと戻す。


『避けて!双葉!』


魔力に閉じ込められたイータの声が聞こえた。

その直後、頭上で熱量と圧力を感じた。

なるほど、隕石か。


「だがまあ、隕石なら斬れる。──秀冬(しゅうとう)」


刀を隕石に向けて突き出し、その一撃で隕石を真っ二つにする。

だが、隕石はそれだけではなかった。

気がつけば空を埋め尽くす程に大量の隕石が現れていた。

それらは全て俺に向けて降ってくる。


「それは無理」


俺に全ての隕石が直撃する。


♢怪物の核♢


『ふ、たば?』


目の前で、私の大好きな人が隕石に潰された。

これをしたのは怪物で、これの原因は私だ。

私が、殺した⋯⋯。


『はあ、はあ、あああああぁぁぁ!?』


殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した!!

私が、殺してしまった⋯⋯。


『わた、私も死ねば良いのじゃ。私がいるからいけないのじゃ。そうじゃそうすれば良いのじゃ』


私は自分に向けて双葉を殺した魔法を使おうとした。

その時、隕石の山が崩れた。

そこからは、私の大好きな人が出てきてくれた。


「おい、イータ」

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!』


ああ、怒っている。

私のせいだ。

私がいけないんだ。


『今から死ぬのじゃ。そうすれば⋯⋯』


私は再び魔法を使おうとする。

頭上に隕石が出現し、魔力ごと押しつぶそうと迫ってくる。


『こ、これで良いのじゃ』


だが、それは防がれる。

私の意思とは無関係に動く魔力に。

そして双葉に。


『な、何をしているのじゃ!?わ、私は大丈夫じゃ!!死ねば良いのじゃ!!』

「大丈夫なんかじゃないだろ!!」

『ひッ!?』


目の前にいる双葉は、今までに見たことのない顔をしていた。

怒っている。

この時初めて双葉に対して怖いという感情が生まれた。

それ程までに、私に対して怒っている。


『ご、ごめんなさい。嫌だ、やめて、そんな顔をしないで』

「悪いが、俺はお前の行いを見過ごさない」


双葉が駆けてくる。

魔力の腕が、双葉に襲いかかる。

それを意に介さず、双葉は刀を持って私に向かってくる。

怪物が魔力の塊を撃ち出し、魔法を撃ち出し、妨害する。

双葉は致命傷になるものだけを防ぎ、尚も駆け続けている。


『なんで、なんでじゃ!?』


私は怪物を操作することができない。

だから双葉が傷つくところを見ることしかできない。

嫌だ。もうこれ以上傷つかないでほしい。

傷のない部分を探すほうが難しい程の重症を負った双葉は刀を構えた。

そのまま私の胸に──心臓に刃を突きつけた。


『そ、そうじゃ。それでいいのじゃ。死ねるならそれで良いのじゃ』


私が目を瞑ると、胸の辺りに何かが押し当てられた感触があった。

それは私の胸の中に沈み込んでいく。


最近気づいたのだが、展開が早すぎて感情移入できないんだなぁ。

追記:ミスを見つけたので修正しました。

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