ダンジョン攻略?
いつもより長めです。
最近、こればっかり言ってる気がしますね⋯⋯。
あれから数日、イータとカースは仲が良いのか悪いのか、日々争っている。
それらは全て俺の周りなので少し邪魔。
「ふーたばくん!」
そして今日も争いは起きる。
まずカースが俺に呪いを飛ばしながら話しかけてくる。
それを弾くとイータが俺に張り付いてくる。
負けじとカースが俺に張り付く。
イコール邪魔。
「離れたまえよマナ」
「そっちこそ」
「どっちも離れろ」
「はーい」
こういう時に最初に言うことを聞いてくれるのはイータなので助かる。
「怒るぞ、カース」
「うぐっ」
はあ、疲れる。
何故俺を介するのか。
「仲が良いですね、双葉様」
「あっ、ノートさん。この二人、どうにかできません?」
「残念ながらSランク冒険者は税と法に縛られませんのでわたくしにはどうしようも」
Sランク凄えな。
「それで、ご用件は?」
「ああ、モーストが呼んでいます。なんでも、手伝ってほしいことがあるそうで」
「分かりました。城壁のところで良いですか?」
「はい」
俺は二人に家の留守番を頼んで城壁に向かった。
♢
城壁に着くと、いつぞやの青年兵士が案内してくれた。
「よお、双葉。助かるぜ」
「どうしたんだ?」
「実はな、この近辺に『ダンジョン』が発生した」
ダンジョンというのは内部に魔物が無限湧きするものだ。一定数以上は増えないが。
形は様々で、内部には必ず『ダンジョンコア』がある。
それとプラスして『ダンジョンマスター』が存在し、その両方を砕く、倒すとダンジョンが消える。
「それの調査か?」
「話が早くて助かる。あわよくば攻略もする」
「なるほど。それは今からか?」
「お前さんの都合がつく時でいい。行くなら今からでも俺は大丈夫だ」
「なら今から行こう」
「分かった。言っておくと、参加メンバーは俺とお前さんだけだ」
「はぁ!?」
「今から行くんだろ?行こうじゃねえか」
「おい待て、嘘だろ?」
「この近くだから歩いて行くぞ」
「マジかよ」
俺はモーストに騙されるようにダンジョンへと向かった。
思ってたより近くて、歩いて10分もすれば着いた。
♢
このダンジョンは洞窟型で、内部にはゴブリン系ばかりいる。
大概は近距離の俺と、遠近両用のモーストで蹴散らしている。
「『ゴブリンキング』がダンジョンマスターだろうな」
「だろうなあ。勝てるか?」
「俺もお前さんもAランクだぜ?流石に勝てるさ」
「だと良いんだけど」
俺達が更に歩いていくと大きな広間が見えた。
そしてその中央には巨大なゴブリンがいる。
手には棍棒を持っており、頭に冠を乗せている。
「いきますか」
「援護は任せろ」
俺は《魔力強化》を使い、キングに駆け出す。
キングは走る俺に棍棒を振り下ろすが、モーストの炎魔法によって弾かれる。
減速せずにキングに肉薄し、刀を抜刀する。
その瞬間、大量の魔力を吸われた。
「まあ構わんさ。──瞬夏」
鞘の中で加速させた刃は赤熱し、切りつけた部位を焼く。
狙い通り腕を切ることに成功した。
『GAAAAAAAAA!!』
痛みに苦しみながら暴れまわるキングの射程圏から逃れる。
「素人か?キングの腕は切っちゃいけねえんだぞ」
「先に言ってくれ。まさかあそこまで暴れると思わないだろ」
「しゃあねえ、俺が遠距離から片付ける。お前はダンジョンコアを探して砕いてこい」
「了解。負けるなよ」
「誰に言ってんだ」
俺はその場から離脱し、ダンジョンコアを探し始める。
コアは大抵の場合マスターのいる場所とは真反対にある。
そして今回もその例に漏れず反対側にあった。
『──ドゴンッ!!』
『GA、A⋯⋯』
「あっちは終わったみたいだな」
俺は刀を抜いてコアを切ろうとするが、その前に刀が勝手に抜けてコアを砕いてしまった。
コアには濃密な魔力が込められているのだが、砕かれたコアには魔力が一切なくなっていた。
この刀、魔力を喰い過ぎだと思う。
そのうち太るんじゃないか?
「いてッ」
刀に叩かれた。
意思があるタイプかあ。
俺はそのままモーストと合流してダンジョンを出た。
ダンジョンは出ると同時に崩れ去った。
「今日はありがとな」
「こっちこそ。また何かあれば呼んでくれ」
「んじゃあ、嫁に贈るプレゼントを選んでくれ」
「⋯⋯結婚してたのか」
「あたぼうよ。今日は嫁の誕生日でな。変な事案を残しときたくなかったんだよ」
「それで強引にダンジョンを壊したのか」
「おう。まっ、プレゼントの件は冗談だ。それじゃあな」
「またな」
俺はモーストと別れて家に向かう。
せっかくだし、二人にプレゼントでも買って帰ろう。
何が良いだろうか。
♢
家に帰ると、二人はソファで眠っていた。
まだお昼なんだけどな。
俺は二人を起こさないように昼食の準備を始める。
出来上がった頃にイータが目を覚ました。
「おかえり」
「ただいま。ご飯だからカースも起こしてくれるか?」
「分かった。でも、その前にちょっとぎゅーってする」
普段よりもふにゃふにゃした声でそう言いながら抱きついてきた。
寝ぼけてるんだろうなあ。
「起こしてくる」
俺がテーブルに料理を並べると二人が席についた。
「寝起きのカレーってヤバイね!」
「寝起きの叫び声が一番ヤバイよ」
「静かに食べようか」
「ほら見たことか、私を見習えカルス」
「ぐぬぬ」
最近思うのだが、なんか小学校みたいなんだよなあ。
二人とも16歳らしいけど。
イータはともかくカースの方は分からない。
なんせその時々で姿が変わるからだ。
デフォルトは弁当少女の姿みたいだが。
いや、あれすら本当の姿か怪しいぞ。
結局コイツは一切が不明だ。
一応性別は女の子で、オッドアイも元からというのは本人から聞いた。
「あっ、二人にプレゼントだ」
「「ん?」」
俺は二人にぬいぐるみをあげた。
街で見かけて可愛かったから買ってみた。
「ありがとう」
「熊のぬいぐるみ、センス良いね!」
「まあ、私は前に髪飾りも貰ったけどね。羨ましかろう?」
「なん、だと!?」
そういえば、イータは俺があげた髪飾りをいつもつけてくれている。
大切にしてくれているようで嬉しい。
そして俺は食器を片付けながら気づいた。
冷蔵庫(的な何か)の中身が減っているのだった。
ふむ、そろそろ買い出ししないとだな。
「なあイータ、付き合ってくれないか?」
「ふぇあ!?え、えっと、あの、まだ心の準備がぁ」
「っぐ、やはりマナを選ぶか」
「そろそろ買い出ししないといけないんだよ」
「あっ、そ、そっち」
「良かった。私にもまだチャンスがある」
何のチャンスだよ。
俺は財布を持ってイータと買い出しに向かう。
イータを連れて行くのはアイテムボックスを持っているからだ。
アイテムボックスがあれば帰りのことを気にせず大量買いできる。
「むう、ちょっと期待したのじゃ」
うわ、イータののじゃ口調を久しぶりに聞いた気がする。
最近はずっと普通だったからなあ。
俺達以外に人がいたりするとこうなるんだよ。
それから不安な時とか、嘘をついている時とかにも。
それはそうと、
「何の期待だ?」
「べ、別に何でもいいじゃろ」
はぐらかされた。
何か落胆させてしまったのなら埋め合わせが必要かもしれない。
「そうだなあ、最近は少しずつ暑くなってきてるし皆で海に行こうかな」
「海!?いや、海はちょっと」
「なんでだ?⋯⋯泳げないのか」
「別に泳げないというわけではないのじゃ。海に浮かべないだけじゃ」
「世はそれを泳げないという」
「泳げるのじゃ!よーし、だったら今度海に行くのじゃ!絶対じゃ!」
「はいはい」
俺はプンスカ言っているイータをなだめて買い出しを続ける。
途中でデカい声を出している人がいて、それにビビッたのか今は張り付いている。
頭を撫でてやると落ち着くことに最近気づいた。
「おん?双葉じゃねえか。さっきぶりだな。今回は幼女師匠も一緒か」
「幼女師匠て⋯⋯。いや、俺が言ったんだったか。で、何してるんだ?」
「仕事を切り上げてプレゼントを選んでんだよ」
ああ、そういえば奥さんが誕生日だったな。
「だがなあ、中々良いのがねえんだ」
「そんなもんだろ」
「お前さんはマナちゃんに何かあげてるのか?」
「たまにな。さっきもあげたら喜んでくれた」
「仲いいねぇ。家にはカルスちゃんもいるんだろ?」
「そうだな」
「両手に花か」
「美しいというよりかは可愛いが勝つけどな」
イータがポカポカ殴ってきた。
「なんだよ。俺は可愛いイータの方が好きだぞ?」
美しいイータ?想像つかん。
おや、ポカポカがなくなった。
「す、き⋯⋯ぐはっ」
「イータ?おい、イータ!?」
「初だねぇ」
俺はモーストと別れて、倒れたイータを家に運んだ。
♢
家に帰る頃にはイータも快復していた。
いやー、良かった。
「ごめんね。まさか突然あんなこと言われるとは思ってなくて」
「何が?」
俺、何か特殊なことを言っただろうか。
思い当たる節?ないね!
「双葉のバカ!変態!天然たらし!」
「ひどい言われようだなおい」
「えっ、何?私置いてけぼり?」
「大丈夫だカース。言われてる俺もよく分かってない」
その日は一日中イータに罵られ続けた。
僕はもう一度言います。
双葉くんがモテる理由がわかんねぇんだよ!
追記:ミスを見つけたので修正しました。




