かくれんぼ?
いつよりちょっと多めです。
翌日、約束通り冒険者協会に報酬を受け取りに来た。
「こちらが報酬となります」
そしていつもの受付嬢が対応してくれる。
「それと、ランクAに昇格です」
「えっ?もうですか?」
「ご自分の活躍を理解していないのですか?未曾有の災害を事前に止めたんですよ?」
「そうじゃぞ。あれは十分評価に値する」
二人からそう言われたのでそうなのだろう。
俺は受付嬢からAと書かれた聖金製のプレートを受け取る。
「あっ、そういえばカース様が『建物内にいる私を見つけてみろ!』と仰っていました」
「見つけて何になるんだよ」
「見つけないと呪われるじゃろうな」
「なんでだよ!?」
「アヤツはそういう奴じゃ」
厄介すぎるだろ。
俺はひとまず辺りをグルッと見回してみた。
「ああ、いたわ」
「早いのう」
俺は歩き出し、テーブルに座ってコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる男性に近づく。
その男性の目はどちらも青色だが、この人で間違いない。
「見ーっけ」
「負けた!」
そう言って男性は姿を変える。
それは俺が一番最初に出会った弁当少女だった。
「凄いね!普段は変えない目と性別まで変えたのに!」
「お前のことならどこにいても見つけられるよ」
「えっ」
コイツの気配って結構特殊なんだよなあ。
なんだろう、死の気配?呪いを扱っているからだろうけど。
「そ、そんな、君にはマナがいるのに」
「ん?」
「い、いやいや。何でもないよ!」
かなり無理してそうな感じだ。
顔も若干赤いし、熱でもあるのだろうか。
デコに手を置いてみたが、熱はない。
あっ、ちょっと熱くなった。
「大丈夫か?」
「は、はい」
「なんで敬語なんだよ」
そんなやり取りをしていると、イータが駆けつけてきた。
そのままカースにドロップキックを入れる。
カースは気絶してしまった。
「何やってるんだよ」
「コイツが悪いのじゃ!」
「いやいや、何もしてなかったよ!?」
「双葉もじゃ!バカぁ」
ポカポカ殴ってくる。
俺には随分と優しい。
「とりあえず、家に運ぶか」
「えっ?」
「流石に放って置くわけにはいかないだろ」
「⋯⋯バカぁ」
俺はカースを抱えて家に向かう。
イータは未だにポカポカ殴ってくる。
♢カルス・カース♢
目が覚めると見知らぬ天井だった。
マナに蹴り飛ばされたところまでは覚えている。
「あう、まさか私まで双葉くんのことを好きになっちゃうなんて」
初恋の相手が友人の好きな相手⋯⋯。
どうしよう。
「起きた?」
「あれ、マナ?」
部屋のドアを開けて入ってきたのは例の友人だった。
じゃあ、ここはどこなの?
「ねえ、ここってどこ?」
「私と双葉の家。カルスは双葉に運ばれてここに寝かされたんだよ。
まったく、お姫様だっこなんてされちゃってさ」
お姫様だっこ⋯⋯。
「ごめんよ、マナ」
「何が?」
「私も、双葉くんのことが好きになってしまったようだ」
「んな!?だ、ダメだよ!?双葉は私のだよ!?」
「これは私も譲れない。こうなったら争奪戦だよ」
「な、何を勝手な」
その時、ドアをノックする音が聞こえた。
この家にいるのは私とマナと双葉くん。
そしてこの場にいるのは私とマナ。
必然的にノックした相手は双葉くんということになる。
「おっ、起きたみたいだな」
「うん!君のおかげだよ!」
「ん?そうか。一応、コーンスープ持ってきたんだけど」
「頂くよ!」
私は双葉くんからお皿を受け取ろうと思ったのだが、それより先に事態が動いた。
双葉くんが私にスプーンを近づけている。
そしてそこにはコーンスープが入っている。
「起きて直ぐだと食べづらいだろ?ほら、口開けろ」
「はうっ」
私はそこで再び気絶してしまった。
♢如月双葉♢
「⋯⋯なんで?」
おかしいな、まだ食べてないのに。
食べた後に気絶するのなら何度も経験しているが、今回のケースは初めてだ。
「なあ、なんでだと思う?」
「それを食べさせてくれれば分かるかもしれない」
「ん」
俺はお皿をイータに差し出す。
しかし、イータは怒ってきた。
「なんでじゃ!カルスみたいにしてほしいのじゃ!」
「いや、だってイータは元気じゃん」
「むぎゃぁ!」
すっごい怒ってる。
「はあ、怒ってるイータも可愛いけど、怒ってないイータの方が可愛いぞ?」
「ふぇあ?か、可愛い?」
「少なくとも俺はそう思う」
というか、全人類で怒ってる時の方が可愛い奴なんていないだろ。
⋯⋯いないよな?いたらごめん。
「仕方ない。イータ、あーん」
「あーむっ!むふー!」
「美味しいか?」
「もちろん!」
「そうか。なら良かった」
「もっと!」
「はいはい」
俺がイータに食べさせている間にカースが起きた。
そのままじーっとこちらを見ている。
「ん?どうした?」
「私の分⋯⋯」
「ああ、また作るよ。というか、今日はもう遅いし泊まっていくか?」
「⋯⋯む」
「え?」
「ここに住む!」
「「は?はあぁぁ!?」」
こうして、何故かカースが住むことになった。
部屋は空いてるから別にいいけど⋯⋯。
新たな恋の始まりですぞぉ!
⋯⋯僕は、どうして双葉くんがモテるのかがわからない。




