呪い?
いつもより、ちょっと少ないです。
前回から続けて読んだほうが分かりやすいかもしれません。
「美味しかったー!」
少女は弁当箱を片付け、歩き出した。
俺の周囲には冒険者が百人ほど転がっている。
「あっ、お兄さんありがとね!」
少女は去り際に俺の方を向いてそう言ってきた。
気づいてたのか。
まあ、滅茶苦茶音を立ててたからな。
うちの造化流は忍術じゃなくて混合武術よりだからなあ。
そっち系はちょっと苦手なんだよ。
少女がいなくなるまで見送って、俺も移動を始めた。
『アナウンスだ!残り参加者数が10人を切ったぞ!』
もうそんなに減ったのか。
最初に見た時は数千人はいたと思うんだけど。
『今から範囲を縮める!もっとドンパチやれ!』
開始時のように会場が揺れ動き、範囲が縮まった。
そろそろ隠れるのもキツイか。
俺は木から飛び降りて島の中央に向かう。
すると、俺の《魔力探査》にナニカが引っかかった。
それは南出入口の魔力を極大化させたような魔力。
会場を飲み込むようにして出現している。
「これは!?」
上を見上げると、煙のようなナニカがいた。
それはドンドンと巨大化していき、会場を包み込む程の大きさになって止まった。
『ハプニングだ!大会を中止する!動ける全冒険者は至急討伐に動け!』
いやダメだ。
これが大会の演出ではなく本当の緊急事態なんだとしたら、ここにいる冒険者は全滅する。
それ程までに強烈な魔力を感じる。
魔力量はイータに匹敵する。
つまりコイツはレベル6相当。
戦い方の巧さは知らないが、最低でもレベル5が複数は必要だ。
知る限りこの会場にいる人でレベル5以上はノートさんだけ。
勝てる見込みは絶望的。
「へえ、結構上手に創ってるね!」
そんな考えを巡らせているところに後ろから少女の声がした。
その声に聞き覚えはなく、その姿に見覚えはないが、この”オッドアイ”の少女を知っている。
「さっきの弁当食べてた娘か」
「イエース!目で分かったかな!」
そう言って少女は弁当を食べていた時の姿に戻った。
「それで、上手く創ってるってのは?」
「あれは呪いだね!ああいったのは暴走しがちなんだけど、しっかり制御されてるよ」
「つまり下手人がいると」
「そゆこと!ほらほら、討伐に行ってらっしゃい!」
「言われんでも」
俺は少女を置いて煙の呪いに向かった。
勝てる可能性は低くても、少しでも可能性があるなら諦めない。
「ほっ!」
俺はぶつかる前にまず石を投擲した。
実体がなければどうしようもなかったんだが、ぶつかって弾かれている。
ならぶつかれる。
「頸斬ッ!!」
《魔力強化》をフルで使用した回し蹴りは煙の呪いの下半身を消し飛ばしたが、直ぐに再生する。
「まっ、煙だもんな」
その時、遠くからノートさんが俺に叫んできた。
「双葉様!そのままソイツをそこで抑えていてください!」
「ノートさん!どういうことですか!?」
「呪いには呪いの専門家です!この大会に一人だけカンフル剤として紛れ込ませていたんですよ!」
「それ、誰ですか!?」
「『カルス・カース』様です!Sランクでレベル6!呪いの専門家です!」
ノートさんはそれだけ言ってどこかに行ってしまった。
俺は指示通りに煙の呪いを相手に時間稼ぎをする。
辺りでは他の冒険者も加勢していた。
さあさあ、呪いですよ!新キャラですよ!
呪い(のろい)は、鈍い(のろい)。なんつって。
⋯⋯ごめんなさい。




