強い?
なんか、長くなってしまいました。
翌日、俺とイータは家の片付けを終えて崖登りに挑戦する。
ちなみに荷物は『アイテムボックス』とかいうゲーム的なあれにぶち込んである。
動物以外なら何でも入れられるが、容量制限はあるそうだ。
魔法道具の一種なので俺は使えない。
「まずは飛ぶのじゃ」
「お願いします」
イータが俺の体に触れると、飛び始めた。
結構スピード出るんだな。
程なくして地上付近の岩場に到着した。
「ここからは自力じゃ」
「抱えるぞ」
「えっ?」
俺はイータを下からすくい上げるように抱えて跳び上がる。
所々が突き出ていて足場にできる。
六回ほど跳躍すれば地上に辿り着いた。
「到着。⋯⋯大丈夫か?」
「きゅう〜」
イータが顔を赤くして目を回している。
酔ったのか?
「しばらく休憩したら街に向けて歩きだそう」
「きゅ、休憩は大丈夫じゃ。それより、この国の街はやめたほうが良い」
「確かにそうか。もしかすると捕まるかもだからな」
脱出して直ぐに捕まるのは御免だ。
最低でも国を一つは挟んでおきたい。
そうなるとかなり歩く必要があるな。
「国なら『フリア』がオススメじゃ」
「フリア?」
「隣国だが、差別のない平等な国として有名じゃな。ここならレベル0でも問題はない」
「なるほど。ならそこにしよう」
俺達の目的地はフリアに決まった。
この国(『クッロツ』というらしい)の西側にある。
♢
あれからかなり歩いて、残り数km程になった。城門も見えてきている。
ちなみに道中で魔物を狩って食料にしたり、街で売るために素材に変えたりした。
イータがまさかの所持金ゼロでビビった。
「む?魔力反応がある。これは『ワイバーン』か?数が多すぎるのじゃ」
イータが何事かを呟くと、城門の近くに鳥のような、空を飛んでいるモノが見えた。
それも複数。目算で100匹程度だろうか。
「双葉、ワイバーンが街を襲うつもりのようじゃ」
「あれが全部か?だったら加勢しに行かないと」
「⋯⋯そうじゃな」
発言の少しの間に違和感を感じつつも、俺達は城門へ急いだ。
《魔力強化》で加速させた足なら数分でたどり着ける。
近づくにつれ、その脅威が分かってきた。
城壁の上で兵士が対抗しているおかげで街の中への侵入はないようだ。
「剣をお借りします」
「「えっ?」」
俺は二人の兵士が持っていた剣をそれぞれ一本ずつ拝借する。
相手が空にいてリーチが足りなかったのだろう、兵士で剣を使っている人は誰もいない。
俺は二本の剣を持ってワイバーンに飛びかかる。
そのまま翼を切り落とし、落下する前にソイツを踏み台にして別のワイバーンに向かっていく。
それを繰り返していき、殲滅した。
まだ生きているだろうが空を飛べなければ近接戦闘に持ち込めるはずだ。
なら兵士達がなんとかするだろう。
「俺が仕留めたのは25匹程度か。残りは全部イータだな」
剣を返してからイータと合流する。
イータがいたのは人気のない場所だった。
「お主、随分と強いのう」
「昔ちょっとな」
「アーマーベアもそうじゃが、あれらを狩れる者はB級相当の実力じゃ」
「それってどれくらいなの?」
「実質的な最上位じゃな」
俺ってもしかすると強い?
ジジイには負けるだろうけど。
《魔力強化》をフルで使っても勝てる未来が見えないんだが⋯⋯。
「それはさておき、なんでこんな場所に?」
「実はな、私は少し人が怖い。だからここに来た」
「そっか。あっ、もしかして俺も怖い?」
「それはない!!むしろ、一緒にいてほしい⋯⋯」
「なら良かった。俺が側にいるから安心しろ」
「うん」
それはない、の後ろが聞き取れなかったが、まあ大したことは言ってないと信じよう。
というかのじゃ口調じゃないイータって新鮮だな。
俺達はワイバーン騒動が片付いた頃に城壁に戻った。
「あっ!」
「ひっ!?双葉ぁ!」
兵士の人が俺を見かけて大声を出したことにビビったのか、イータが背中に隠れてしまった。
「ん?そちらの方は?まあいいか。あの、さっきワイバーンを切り落としていた方ですよね!」
「はい。大半は背中に隠れてるのが落としましたけど」
「そうだったんですね!それに関して部隊長が呼んでいます!ついてきてください!」
無駄に元気な青年兵士に連れられて、城壁に内設されている事務室のような場所に案内された。
そこには金髪で隻眼の強面の偉丈夫が座っていた。
「部隊長!お連れしました!」
「おう、下がっていいぞ」
「はっ!」
青年兵士が部屋を出ると、偉丈夫が話しかけてきた。
双葉くん、やっぱり強いですね。
それとマナちゃん、君のそれは人間が怖いの範疇なのだろうか⋯⋯。




