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くま?

前回が短かったので今回はちょっと長めです。


♢如月双葉♢


一夜明けて今日は崖を登ってみることにした。

イータは狩りに行っている。


「《魔力強化》があればある程度登れそうなんだよなあ」


俺は全身の魔力を加速させて身体能力を向上させる。

そのまま軽くジャンプするとざっと10mは跳んだ。

本気で跳べば20mは跳べそうだ。


「なるほどね。《魔力強化》って凄いな」


今度は壁の岩に掴まって登ってみる。

肉体的疲労は少ない。

身体能力だけじゃなく、体力も強化されてそうだ。


「よっと。崖上でも強化が続くなら出られそうだな」


俺が着地すると、足音が聞こえた。

それは人のものではなく、大きな生物のものだ。

足音が聞こえた方を見ると、そこには熊がいた。

全身に硬そうな装甲が張り付いており、二足歩行だ。


「あっ、絶対強い」


熊は腕を振り下ろして俺を潰そうとしてきた。

咄嗟に後方に飛び退いて回避する。

昔古武術やっててよかった。

ジジイ今頃何してんのかな?

流石に死んだか?いや、生きてそうだなあのジジイ⋯⋯。


「それはさておき熊は拳法家に倒される定め」


俺は《魔力強化》した足を熊の頭部に打ち付ける。

ジジイの流派『造化流』の上段回し蹴り、頸斬。

首を切るようにして蹴ることから名付けられたらしい。

道場にはジジイが昔この技で刈り取ったとかいう竜の首が置いてあった。

絶対に嘘だと思うのだが、滅茶苦茶リアルだった。

ただ、ジジイはこの技で両腕を広げた程度じゃ足りないぐらいの太さをした巨木を圧し折っていた。

ちなみに俺はある程度の巨木までなら折れる。


「⋯⋯さて、威力不足か」

『BAMOOOOOOO!!』


どうやらコイツの肉体強度は相当らしい。

熊は何度も腕を振り下ろして大地を破壊していく。

直撃自体は躱せるのだが、瓦礫が飛来してくる。


「刀があればなあ」


造化流は徒手空拳と武器による合せ技が主体だ。

様々な武器との組み合わせがあるのだが、中でも俺は刀を使う。

一応徒手空拳で相手を倒すこともできる。

そのおかげで武器がなくてもある程度は戦えるのだが、やはり武器は欲しい。


『BAMOO!!』

「──顎壊(がっかい)


振り下ろしてきた腕に対して掌底を入れる。

すると熊の腕がおかしな方向に折れ曲がった。


「──頸斬(けいざん)


再び上段回し蹴りを首に叩き込み、今度こそ絶命させる。

俺は熊の首を確実に折って仮死状態による奇襲の可能性を潰す。


「《魔力強化》込みでこれかあ、先が思いやられる」


俺は家からナイフを持ってきて血抜きをする。

一晩置いておけば大丈夫だろう。

その後はしばらく《魔力強化》の練習をして、家の片付けをした。



「ただいまー。外の『アーマーベア』何?」

「おかえり。襲われたから返り討ちにした。てかアイツ、アーマーベアって言うんだな」

「どうやって狩ったのじゃ。魔法は使えぬじゃろ」

「徒手空拳」

「それで狩れたら誰も苦労せぬ」


何言ってんだコイツみたいな顔をされた。

嘘じゃないんだけどな。


「あっ、そうじゃ。朗報があるぞ」

「ん?」

「地上付近でも《魔力強化》が使える」

「なるほど、なら外に出られそうだ」


イータの魔法で行けるところまで行って、そこから《魔力強化》で上まで登ろう。


「明日には出るとするかの。それはそうとご飯じゃ!」

「了解。火はよろしく」

「任せるのじゃ!」


双葉くんって、実は結構強いんですよねぇ。

そしてそれを超えるジジイ(双葉くんの師匠)⋯⋯。

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