第十五話「派手」
現代からそう遠くない未来、日本は様々な改革を経て混沌の時代となっていた。 子供は親を失い、孤児となり1人で暮らす。そんな荒れた都会の郊外で、暮らすある1人の少年にまた新たな… めっちゃ喋る愉快な脅威がやってくる…!?
さて、以前のてらのこのステージにバグが発生した事件から数日後…。
てらのこ「敵役は同じく能力を使えるすくろんに、それをスムージーに倒して欲しいんだ。」
スムージー「ふーん…もっとドラマチックな方がいいと思うけど…まぁそういうのはそっちの専門分野か…。」
すくろん「…がんばります…。」
すくろんとスムージーはそういうと舞台に立った。
てらのこ「本番のようにねー。それじゃあ…スタート!」
するとてらのこはメガホンでそう叫ぶ。すると劇がスタートする。
ぱんだ「いやーぁん!助けて〜!」
スムージー「はいはーい。助けに来たよーん。」
すくろん「…勝負だ。」
スムージー「ふっ、いい度胸だな。まぁそれでも勝負にならないだろうし…」
スムージーは一瞬動いたかと思うと一気にすくろんとの距離を詰める…!
すくろん(はや…!さすが最強は伊達じゃない…!)
すくろんはギリギリでそれを避けると拳を構える。
スムージー「弐…!」
スムージーもそれに合わせて拳を構える。
すくろん「っ!」
すくろんが先に動く!
スムージー「いくぞ!」
グリッチインパクト
レッドパニッシュ
2人の拳がぶつかり合う!が…
すくろん「ぐ、あぁっ!?」
すくろんはその圧に吹っ飛ばされていく…!
すくろん(練習だからかなり出力抑えてるだろうにこの威力…!本来は俺がセルフで吹っ飛ぶ予定だったけど、威力高すぎで吹き飛ばされた!)
スムージー「まだまだ!」
スムージーは飛び上がると手に橙色の剣を出現させる!
そしてそれをすくろんの顔の真横の地面に突き立てた。
てらのこ「いい…いい!すごくいいよ!さいこう!」
ぱんだ「はぁ…これじゃあ私ただの背景…。」
てらのこは2人に駆け寄る。
てらのこ「最初からこうするべきだったかもね…ありがとう!」
すくろん「いや…はい。」
スムージー「ふぅん…。」
てらのこ「以前の戦いも拡散されて、結構バズってる。多分次回は今までよりも観客が増えるはず。だから頑張ってくれ!」
スムージー「あーいあい…で、あの女は何してるの?」
すくろん「え?」
スムージーの指さす先には足を組んで座り込み、こちらを見つめるあおいがいた。
すくろん「あぁ。監視らしいよ。俺らが過度にグリッチ使いすぎないように…。」
スムージー「あね」
あおい「ずっとかんししてるからなー!」
スムージー「…暇人なのか?」
その日の晩。すくろんとあおいは帰路についていた。
あおい「スムージー、あいつ本業のこと忘れてないわよね…。最近はヴァーグの発生頻度落ちてて、前のステージに出たヴァーグが最後だから戦闘員が今すぐ必要ってわけじゃないけど事務作業が大変なんだから…ヴァーグだってまたいつ増えるか…」
すくろん「うん…それもそうなんだけど…」
すくろんは表情を曇らせる。
すくろん「今回の劇…てらのこさんらしくないんだ。」
あおい「…?」
すくろん「バグの演出に頼りすぎというか…。その他の要素ただの背景になっちゃってるっていうか…。」
あおい「まぁ、ああいうショーなんてそんなもんなんじゃないの〜」
すくろん「けど!そう言うところで手を抜いてるから最近危機的状況だったのかも…。」
あおい「わたしゃぁ面白ければなんでもいい派だからクリエイター心はわかんねぇっぺ。」
すくろん「はぁ…。」
すくろんはすっきりしないといった感じで天を仰いだ…。
さて、次の日学校にて。
ゆうり「バグを使った劇だぁ?」
ぱんだ「えぇ、すくろんとよくわかんない白髪の女の人が主演なの。」
すくろん「あの人男だよ…。」
あおい「んなことしてないで働いて欲しいわぁ。あのカス男の娘。」
ゆうりは首を傾げる。
ゆうり「…で、それがなんなんだよ。」
ぱんだ「少しでも観客増やすためにもお前もこい。」
ゆうり「えぇっ…俺すくろんの同僚が出てるとか嫌だよ!どうせまた下ネタがひどいに決まってる。」
すくろん「多分言わないと思うよ…多分…。」
はるりんご「いいや、クソガキ臭がすごかったわよ!」
すると、すくろんの体からはるりんごが顔を出す。
ゆうり「うわ。出た。」
すくろん「おい!学校では出てくんな!」
はるりんご「いーや!もう我慢できんわ!」
はるりんごは顔を赤く染める。
はるりんご「何時間も何時間も絶対将来で役立たんものを学習して!なによxの二乗✖︎2×y✖︎yの二乗って!絶対使わないでしょ!暇すぎんのよ!」
あおい「うるさい!人外のあんたが人間の教育を語るな!」
パンダ「すくろんの体から出てけー!!」
ゆうり「そうだそうだー」
すくろん「いや、出ていかれたら俺も死ぬんですよ…。」
あおい「死ぬ…か…。」
すくろんの冷静なツッコミを聞いたあおいはふとはるりんごに尋ねる。
あおい「ねぇ、あんたら今体はどんくらい治ってきてるの?」
はるりんご「ん?あぁ、すくろんも私も大体…10分の6くらい治ってるわよ。2人合計では5分の6だから、バグを使わなくてもそこらの人間より1.3倍は強いわよ。」
すくろん「…あれ?俺らが合体できたのって、お互い魂が2分の1、2分の1だったから合体できたんだよな。一を超えても大丈夫なん?」
あおい「たしかに。コップに本来の容量の1.4倍の量の水を入れたら普通はこぼれるわよね。」
はるりんご「ん〜…液体ってより物体で考えた方がいいわね。コップといっても、縦幅より横幅が広い、飲み口がでかいマグカップ。それに水じゃなくて氷を置いた場合、マグカップの容量を超えても積み木みたいにピラミッド状に積んでいけばこぼれることはないでしょ?だけどピラミッド状に積んでいくと、いつか絶対てっぺんが来る。そのてっぺんが魂の限界容量なのよ。」
ゆうり「…そうか、わからん!」
はるりんご「…まぁ数値で表すなら、2人合計で5分の8くらいになったら限界が来るわね。けどまぁ、そんくらい治れば分離してもめっちゃ体が痛い程度で済むでしょ。」
すくろん「まぁ…死なないならいいか。」
ゆうり「なんか…大変だなお前も…。」
ぱんだ「分離したら肩トントンしてあげる。」
あおい「おじいちゃんじゃないんだから肩トントンで治るわけないでしょ…。」
そうして四人で話すすくろん達。それはもう学校でよくあるような仲良い生徒で集まる一つのグループになっていた。そして、それからハブられた者が1人…。
たし「ゆうカス…裏切り者め…!!!」
可哀想である。
さて、それから数日後。
てらのこ「さ、本番用にでかいステージ貸してもらったぞ。」
ぱんだ「すっげぇ…。薄汚いコンクリじゃない…!」
すくろん(綺麗な木製だけど…これじゃあバグを発動したら傷つけちゃうよ…てらのこさん…。)
すくろんは暗い表情で俯いた。そんなすくろんの肩にスムージーが手をのせる。
スムージー「なぁ。なんかいいたいことあるんだろ。」
すくろん「え、あ、いぃやぁ…」
スムージー「正直に言ったほうがいいぜ。お前にとって大切な居場所の一つなんだろ…。」
すくろん「うん…。」
すくろんは少し不安げだったが、思い切っててらのこに話しかける。
すくろん「あのてら…」
てらのこ「あ!すくろん!今もいい感じなんだけど、ここもうちょっと派手に動ける?お願いね!」
すくろん「…はい。」
すくろんは喉まで届きかけた言葉を鎮め、元の場所へと戻っていった…。
次回セツナ第16話「派手なら良いってもんじゃない」に続く…!
最強の暇人




