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【連載版】加護なしの第八王女は、前世が社畜だったので王宮生活がイージーモードにしか見えない  作者: 茨木野


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116/139

116.



 聖王国と帝国との軍事演習……を装った実戦は、『セイファート』高原で行われることになった。

 聖王国の始祖セイファート王が、魔物の大群を追い払ったとされる草原である。


 若き軍人、マルコーは、聖王国軍の多さに恐れおののいた。

 皆がガチガチに装備を固めている。


 遠くて、敵の表情はうかがえない。

 だがその大軍勢からは、アリアリとした殺意が感じられた。


(属国である聖王国には、帝国を攻め入る大義名分がない……。軍事演習を使って難癖を付け、そのまま攻め入ろうっていう魂胆か……)


 若き軍人たちの額に脂汗が流れる。

 苦い薬草を舐めてるような、そんな味が舌の上に広がっている。


 マルコーも、そして他の軍事達もそうだ。

 皆が不安がっている。


 自分らだけで、果たしてあの大軍を撃退できるだろうかと……。


(けれど、やるしかないのだ。大事にしないようにと、ミシェル様からお達しが出ている)

 

 帝国が属国相手に戦争をして、勝利したとなれば、悪い噂が方々に広がってしまう。

 そうなれば、平和な時代が終わってしまう。


 また戦が戦を呼ぶ時代に逆戻りだ。


(勝たねばならぬ……勝たねば……最悪、自分が死んだとしても……)


「なに暗い顔をしてるんだい!」

「ぐ、グレース様!」


 Sランク冒険者、グレースが、マルコーの背中を乱暴に叩く。


「何そんなくらい顔をしてる。負けるかも知れないって思ってるのかい?」


 ……図星だったのか、皆が気まずそうに、グレースから視線をそらす。


「しっかりをし! おまえたちを鍛えたのは、だれなのか? もう一度よーく考え直すんだね!」


(……そうだ。我らはSランカー。英雄から直々に指南を受けているのだ)


 ここで負ければ、指南役の、グレースの顔に泥を塗ることになるのだ。

 もとより負けるつもりはなかった。


「グレース様の、そして祖国のため! 我らは勝たねばならぬ! そうだろう、みんな!」


 マルコーが誰よりも先に声を張り上げると、仲間達が「そうだ!」「そのとおりだ!」と勇ましく応じる。


「ありがとうございます、グレース様。おかげで、士気があがりました」


 グレースは「あ、その……なんだ……」となんだか言葉に詰まっていた。


「その……さ。ま、マルコー」

「なんでしょう?」


「こ、この戦いが終わったらさ……あんたに言いたいことが、あるんだ」

「ボクにでございますか?」


(一体なんだろうか……。というか、なぜ今言わないんだろう……)


 そこへ……。


「……今は、ごめん、言えないんだ。でも、ちゃんと言うから。だから……」


 そのときだった。


「おい、グレース」

「ぎ、ギデオン様」


 グレースの付き添いでついてきた、ギデオン皇帝陛下だった。


「おまえ何故、『マルコーのことが好きだ』と、今言わんのだ」



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― 新着の感想 ―
すごい爆弾投下
空気読めねぇ皇帝だったわ・・・ 着々と積み上げてきた(?)好感度が一気に下がりました。残念。
>「おまえ何故、『マルコーのことが好きだ』と、今言わんのだ」 「加減しろ、莫迦!」 「もう少しこうなんと言うか、手心と言うか」 だがGJでもあるw
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