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魔導学園ラブロジック!-前途多難なフタリのカンケイ。-  作者: 花塩樹圭
第三章 澪には理由が必要なのです

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娘として

オープニング曲『Altair-アルタイル-』

https://x.com/HanashioKikei/status/2069390019262120191?s=20

ツイッター(現X)に動画があります

コピペで飛んでください

コンコン…


〈あのお父様。澪です〉

「ん? どうした? 入るのに遠慮は要らないよ?」

〈はい…失礼します…〉

 その日の夜。珍しく文弥が家にいた。少し遅めの食事の後、文弥は書斎に籠りノートパソコンに向かっていたところへ重厚なドアを開けると澪がなにやら思いつめた様子で入ってきた。

「どうしたんだい? 学校で何かあったのかい?」

「そうと言えばそうで、そうでないと言えばそうでなく…」

「はは。ここは校長室じゃないんだからもっと気楽にしなさい。ほら、そこへかけて」

「はい…」

 促された澪はソファーに座り、文弥もまたパソコンを閉じて書斎デスクを立つと澪の真向かいに体を沈めた。

「どういった用件かな?」

「あの、実は」

 澪は俯きながら乙菜から聞いた話を文弥へと語った。文弥はそれをときおり相槌は打ちながらも黙って聞いていた。

「なるほど。それは困った事態だな。で、それで澪はどうしたいんだい?」

「私は…神代君を助けたい、と」

「うん」

「それで…私、その、ケンカをしに行きたいのですけど、よろしいでしょうか?」

 そこまで言って澪は、文弥の反応がないことに気が付き顔を上げる。上げてみれば文弥は両腕を組み、その中へ顔を潜り込ませるように伏せているのが見えた。肩が震えているようでもある。

「あの、お父…様…?」

「ク…クク…クククク…」

「あの、どうされましたか? お父様?」

「クッ…アーッハッハッハッハッハッハッ!」

 文弥が顔上げ爆笑し始めた。その大声と突然さに澪は驚き全身をビクンと震わせる。

「まさかケンカをしたいと親に相談する子供がいるとはね! アーッハッハッハッ! ヒィィィッ、ヒィィィッ」

 文弥の笑いは止まらない。むしろ呼吸困難レベル。涙まで流している。ここまで大笑いする父親を初めて見た澪は当惑した。

「そんなに! 笑うことない、じゃないですか…」

「あぁ、すまない。いやー、笑った笑った。澪、君はいくつになったんだい?」

「あの、今年の4月に17になりました、けど…」

「昔は元服と言って数えで15になれば一人前の大人扱いだった。それが17歳にもなってケンカひとつするのに親に相談するのかい?」

 そう語る文弥は楽しそうだ。

「そうですが! そう、なんですが…ケンカって暴力ですよ? 暴力なんか振るっていいものなのか…それはお父様に相談しないと…と思って…」

 それとは対照的に澪は至って真剣に語る。

「暴力を振るっていいかと親に聞いて、いいですよ、と言われるとでも思うかい?」

「いいえ、その、それは…」

「そうだね…神代君はよくケンカをしているね。彼は、澪に暴力を振るったことがあるかい?」

「そんなこと! あるわけないじゃないですか!」

 それはとても大きな声の反駁だった。だが澪本人がそこまでの大声を上げたことに気が付いていない。それに何より――――思えば大樹はいつも澪にやさしかった、だからこそ助けたい、恩を返したいと思っているのだ。

「ははは、そうだね。そして、彼は常に弱い者を見つけては暴力を振るっていたかい?」

「…いいえ…いつも『売られたケンカは買う』って、それから…」

「うん。そうだね。神代君はよくケンカをする。でも弱い者に暴力を振るったことはない。むしろ、自分やその周辺に害を与える者に対してだけ、暴力で対抗しているよね?」

 ふと――――澪の脳裏に誘拐されて廃工場に捕らえられていたときのことがよぎった。それはメチャクチャだったが、大樹は手を出されるまでは手を出さなかった。それ以前に自分を救うためにそこまでやってきて、そして――――救い出してくれたのだ。両手両足の枷が解かれ自由になったとき、どうしていいか分からず泣きついた自分を優しく抱きとめてくれた両腕の逞しさ、温かさ。それは今でも忘れてはいない。

「もちろん、話し合いで解決がつけばいい。だが、相手が聞く耳を持たなかったら? 聞く耳を持たず、一方的な力で押し切ろうとしてきて、それを澪は受け入れられるかな?」

「…いいえ」

「話し合いというのは立場が対等でなければ成立しない。相手が力で押すのであれば、こちらも力で押し返さなければ対等にはならないんだ。もちろん、暴力は慎むべきものだ。だが自分の意思を通したいのなら、必要になる場面というものが、確かにある。澪はまだ17。でももう17でもあるんだ。来年には成人なんだよ? だから、自分のやるべきこと、やりたいことは、自分で決めなさい。私が言えることと言えば、それだけだよ」

 澪は文弥の、父親の言葉を背筋を伸ばして聞いていた。

「判断、というものに間違いってものはない。あるとすればその先をどうするか、どうしたか、それが後悔を生む。私は澪の判断はすべて受け入れるよ。だから、自分の意思で未来を決めなさい。いいね?」

「…はい。分かりました」

「明日は学校が休みとはいえもうこんな時間だ、早く寝ると良い」

「はい。おやすみなさい、お父様」

「ああ」


 澪が書斎を出ていったのを確認すると、文弥は携帯電話を取り出した。

「…望陵学園の霧島です。本部長へ繋いでもらえますか。 …霧島だ。少々厄介な情報が耳に入ってね。捜査1課と魔導1課を出してもらうことになりそうだ。 …うむ、どうやら追っていた違法魔導の件が絡んでいるようでね」


◆

エンディング曲『おおきくなるみ』

https://x.com/HanashioKikei/status/2080624037781193157?s=20

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