澪参上!(2-Bのみんなも一緒だよ)
オープニング曲『Altair-アルタイル-』
https://x.com/HanashioKikei/status/2069390019262120191?s=20
ツイッター(現X)に動画があります
コピペで飛んでください
今まさにもう一人ブン殴ろうと胸ぐらを掴んでいた大樹の背後から、若い女性の声。しかも…それは大樹にとって非常に聞き覚えがあるもの。驚いて振り返ると…それは大樹にとって見覚えのある…少し懐かしさを覚える制服を着た同世代の少年少女たち。その真ん中には…大樹にとって非常に見覚えがありつつも、むしろ違和感しかない装いの少女の姿。それは、青地で背中に赤い「祭り」と書かれたハッピ。頭には「必勝」と書かれたハチマキがグルっと一回り。そして腕組をして仁王立ち。おおよそ記憶とは正反対の彼女の姿に大樹の脳はバグりまくる。
「え… 白鷺…? それにみんなも…」
白鷺澪を先頭に、2-Bの面々がズラッと並んでそこにいた。
真っ先に口を開いたのは羽川。
「やぁ、神代君! 僕たち2-B、ちょっとした『同窓会』で集まってみんなで『散歩』をしてたところなんだが、こんなところで会うなんて奇遇だねぇ!」
「あ、そういう設定なんだ」
「久しぶりー! 神代くーん!」
かつては同じ空間に居ながらも言葉を交わしたことすらないクラスメイトまでもが大樹に声を掛ける。
「みんな…」
状況が掴めない大樹、むんずと胸ぐらを掴んだ敵をぶら下げ口をあんぐり開けたまま固まった。
「さて、どうやらお困りのようねっ!」
ずいっと一歩前に踏み出した澪。『破界連合』の連中へと指を差す。
「天下を騒がす違法魔導。それを使って悪事を働くのなら、望陵学園2-Bが、天に代わって成敗します!」
「…ねぇ澪。それ、考えてきたの?」
「う、うん…ダメだった、かしら…?」
「いや、いいよ。澪らしくて」
紗々羅の『お墨付き』を得て安堵したか、澪は固まったままの大樹へ微笑み
「お久しぶりね、神代君」
「白鷺、お前そのカッコ…」
「私だってやるときはやるんです!」
と、腰に手を当て胸を張る。
あっ気にとられていた破界連合だったが
「なんだコイツら。代之宮の援軍か?」
「望陵って言ってやがったな。だったら丁度いい、ついでに魔導のヤツらもブッ潰してそっちでもテッペン取ってやんべよ」
ジリジリと2-B軍に近づき、陣を広げて取り囲んでいく。
「とりま先頭のハッピ着たデカ乳ボインからヤってやんぜ。ナマイキな口、焼きツブしてやんベッ! 【ファイヤーボール】!」
澪の死角から放たれた火球。
「⁉ 白鷺ッ!」
バシッ ジュワ…
叫び声と同時にそれは澪の直前で大樹の左手で捉えられ、握り潰された。
大樹の気配に気付いた澪はその方向へと振り返るが
「神し
ろ君⁈」と言い終わる前にはすでに大樹の姿は無く。
「白鷺に手ェ出すんじゃねェッ!」
ゴガァッ
「ガハァッ⁈」
彼の姿を見つけたときには、火球を放った者は右ストレートを顔面に食らい、地面へと叩きつけられ倒れた後だった。
「代之宮も。望陵も。みんなみんなオレの『仲間』だ。『仲間』に手を出すってぇなら容赦はしねェッ! イイぜテメェら! 全員まとめて相手にしてやるッ!」
「ナめんじゃねぇぞォッ!」
「【ファイヤーボール】!」
「【ウォーターボム】!」
「【ブルーライトニング】!」
大樹は敵陣真っ只中。赤青黄3色のスカジャンたちに囲まれ、一斉魔導攻撃を一身に受ける。が。
「どうしたよ…もう終わりかよ」
四方八方から飛来した幾多の火の玉は燃え尽きた線香花火のように消え、水球は霧散し、稲妻は傘の骨のごとく飛び散った。
傷一つなく。焦げ一つなく。攻撃前と何ら変わることなく大樹はその場に立っている。
「な、なんだコイツァよォ…」
トドメを刺したつもりの破界連合は信じられないモノを見た、と驚き慄く。2-Bの面々もそうではあるのだが…
(あー…でも神代だし)
(アイツ水とか爆発さすし)
魔導の世界に長く身を置くと慣れてしまうのか、もはや悟りの境地。
(てゆっかー、燃やしたい対象を濡らしちゃったら意味なくね?)
という冷静な分析すら。とはいえ2-Bの面々に口実ができたのは確かだ。
「やや⁈ みんな見るがいい! 我ら2-Bメイトの神代が集中攻撃を受けている! これは『緊急対応』と判断できるんではないかな⁈」
羽川が例によって相変わらずの芝居がかった口調で呼びかけた。
「かーっ! 緊急対応かー! 緊急じゃしょうがねぇよなぁ!」
「なら本気、出しちゃっていいよねっ!」
「日頃の成果とか、見せちゃおっかなー」
羽川の声に、2-Bの面々は俄然やる気に沸き立つ。
「んじゃ、ウチらから行くわ~。紗々羅と?」
「澪で!」
「「チーム・ささみ!」」
「やっぱこれ、美味しく頂かれそう」
「脂身少ないからいいっしょ? ウチらみたい!」
「私はそれほどでも…」
「それじゃ澪、行くよ!」
「うん!」
紗々羅はパチンと指を鳴らして右掌を前に翳し、澪はタクトを構える。
「要素は水。潤え、広がれ、薄く硬く――【リキッドスクリーン】!」
「風を要素に。目前に広がる水膜へ――圧し運ぶ空気の塊を。【空圧のペサンテ】!」
「「コンビネーション魔導! 【プールにビッターン】!」」
息の合った二人の声と共に、急激に圧縮された空気で押された薄い水膜がスカジャンたちへと叩き付けられた。
「ギャッ!」
「イテェッ⁉」
魔導名の文字通り、飛び込み損なったプールの水面のごとき衝撃が彼らを襲う。身体中満遍なく叩き付けられるのだからその痛みはタチが悪い。
「…ねぇ、このコンビネーション名もどうかと思うんだけど」
「名は体を表すってことよ!」
『ささみ』コンビの攻撃が見事に決まり2-Bは一気に活気づく。
「さっすが澪ちゃんと紗々羅、やることエグイねぇ!」
「ウチらも負けてらんないよ! 内海乃美と!」
「木下栞奈で!」
「「カーペンターズ!」」
「雷要素使うのいたね! そんじゃ…土要素で! 湧き起これ塵芥! 【グラウンドフォグ】!」
「要素は風で! 舞い散る塵芥を確保! 【ヘルドエア】!」
「ナメんな女ァッ! 食らえ【ブルーライトニング】!」
放たれた青い稲妻はしかし乃美と栞奈へ達する前に消失。
「な、なんだ、なんでだ⁈」
パァッと大地から湧き上がった砂埃が一時停止したかのように空中で静止、雷を砂粒へ帯電させる。そして。
「「コンビネーション魔導! 【アースアンドウィンド】!」」
バチバチバチ…
「ガアアアアアアッ⁈」
存分に帯電した砂粒が風に乗って電撃を放った主へと返された。
「いかがかね? 自分で放った電気を自分で浴びるってのは。シビレちゃうでしょ⁉」
「あと『ファイヤー』があればカンペキなんだけどな!」
「ま、その辺はウチらじゃまだまだ修行が足りん!ってことで。炎は持田久璃亜ちゃんがキめてくれるよ!」
ご指名の久璃亜は同じ要素を得意とする赤いスカジャンの一人と対峙していた。
「フザケんなよォ…【ファイヤーボール】!」
「属性炎! 小さき炎は火焔に混じりて無へと帰す――【メガフレイム・コンクリート】!」
飛来する火球をその十倍以上の直径の炎の塊が飲み込み、なおかつ火球を放った者へと迫る。
「わ、わ、わあああああああ⁉」
「情けない声。【コンクリート・ブレイク】!」
久璃亜がギュッと拳を握るのに合わせ、炎の塊は「情けない声の主」の目の前で炸裂。赤いスカジャンは腰を抜かしてその場へヘナヘナと座り込んだ。
「使いこなせない人の火遊びは危険だから。止めた方が良いよ、オヂチャン!」
積極的に前へ出て攻める女性陣に対し、男性陣は黙って後ろで見ていた――――わけではなかった。
「いやー、2-Bの女子、怖いねぇ」
「敵に回したくないもんだねぇ」
と呑気なことを言っているのは岡部祥吾と西口司。一見攻撃に参加してないようだが、二人は全体の戦況、特に相手の動きを観察していた。
「なぁ西口司。要はアイツらのスマホを壊せばいいんだよな?」
「そういうことだな」
「ってことはさ」
「そういうことだね。岡部祥吾、何本出せる?」
「今アイツらが手に持ってる分は全部、イケるかな」
「ほんじゃ敵戦力を強制武装解除と行きますか」
「りょ。要素は水。視界のスマホすべてへ水の架け橋。【ウォータースレッド】!」
「雷要素で。張り巡らされた水の網へ無数の落雷を。【サウザンズサンダー】!」
パシュッ バシュッ
「うォッ⁈」
「何だ?」
「スマホが! 俺のスマホが!」
破界連合の連中の握るスマホから次々と煙が上がった。オカショウが張り巡らせた水の糸へヨドバシが小規模の雷を次々落とし、スマホを中からこんがり焼いたのだ。
「バッテリーを破裂させなかっただけ、有情だと思ってね」
「神代! もうソイツら魔導出せないから! 思う存分やってオッケーだぜ!」
「マジか⁈ サンキュー! 代之宮ァ! もう怖がることはねェッ! 動けるヤツは戦えッ! 思う存分やって構わねェッ!」
「「「「「オオオオオオオオオオオオオッ!」」」」」
ボロボロになりながらも戦っていた者たちはもちろんだが、すでに痛めつけられていた者たちもゾンビのごとく立ち上がり再び戦いの輪へ。
「よくもやってくれたよなァッ!」
ガッ
「グアァッ!」
「なんだよ、大したことねぇじゃねェか」
校内無双の大樹を倒すために研鑽を重ねてきた連中だ。魔導の使えない破界連合など、もはや敵ではなかった。
「この女ァッ!」
澪へ殴りかかってきた者が一人。
「土を要素に。暴力を以って事を成さんとする者の前に―― 静かなる隔ての壁を。【隔壁の休符】!」
バフォッ
「なッ⁈」
その目前に土埃の壁が立ちはだかり視界を奪われた。そこへ。
「ウラァッ!」
ボゴォッ
「ガアッ⁈」
壁の向こうから大樹の右ストレートが生えてきて、ノーガードでブチのめされる。
「さすがね、神代君! 今の、相手が見えてたの?」
「見るんじゃねぇ。感じるんだ」
襲い掛かる代之宮の生徒相手に磨き上げた『なわばり』感覚が発揮された。構文詠唱中の澪に近づく者は大樹がノールックでぶっ飛ばす。
「お前、あの風のスゲーヤツ、使わねぇの?」
「死人出しちゃマズいでしょ」
「あー…そりゃそっか」
『正当な魔導』で戦う2-Bと勢いを取り戻した代之宮勢。両者の奮闘で破界連合は壊滅寸前。最後の一人を殴り伏せたところで
フォンフォンフォンフォンフォン…
パトカー――――のみならず、8台の救急車と大きな護送車3台が校門前に横付けされ、武装した警官隊が次々と降りてくる。その中に1台。見慣れない外装の車両から見慣れない装備の警官隊――――SATのものとよく似たデザイン、だが色はチャコールグレーのアサルトスーツ。その上に抗弾防刃ベストを着用するが銃を携行していない。代わって腰に乳白色の『木刀』をぶら下げる。そして腕章には桜の代紋の両脇に『魔導』の文字――――5人が降り立った。彼らは『木刀』を引き抜き構え、『戦場だった場所』を散開して囲んだ。内一人が赤い拡声器でその場の全員へと呼び掛ける。
〈あー、我々は、県警魔導1課である、えー、17時43分、現時刻を以ってこの場にいる全員を確保、抵抗せず我々の指示に従っていただきたい、えー、投降の意思のある者は、両手を上に挙げ、指示があるまでその場を動かないように。以上〉
拡声器が降ろされるのに合わせたように、その場で動ける者全員が両手を挙げた。もちろん、大樹も。澪も。
◆
エンディング曲『おおきくなるみ』
https://x.com/HanashioKikei/status/2080624037781193157?s=20




