表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄されたので、距離を取ったら溺愛されました  作者: はねださら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/101

第97話 選ばないという選択

朝、女性は最初から隣にいた。


距離は、昨日と同じ。


いや、少しだけ近い。


私は何も言わず、川辺へ向かう。


女性もついてくる。


足音は迷いがない。


だが、軽くもない。


石に腰を下ろす。


女性も、少し遅れて座る。


「……昨日の続きですが」


声は落ち着いている。


「ええ」


女性は少し間を置く。


「離れられませんでした」


私は水面を見る。


「そうですか」


「分かっているのに」


彼女は続ける。


「よくないって思っているのに」


風が流れる。


「それでも、ここに来てしまう」


私は何も言わない。


女性は少しだけ笑う。


「逃げているんだと思います」


その言葉は、静かだった。


だが、はっきりしている。


午前中、女性はずっと同じ距離にいた。


動くたびに、ついてくる。


止まれば、止まる。


離れない。


誰も何も言わない。


昼過ぎ、食堂に入る。


女性は席を選ぶ。


だが、その前に一度、こちらを見る。


そして座る。


安心したように息を吐く。


私は見ない。


午後、庭に出る。


女性はまた近づいてくる。


今度は、少しだけ早い。


「……決めました」


彼女が言う。


私は足を止める。


「何を」


女性は少しだけ息を吸う。


「今日は、選ばないことにします」


その言葉は、奇妙だった。


だが、はっきりしている。


「選ばない?」


「はい」


女性は続ける。


「一人で選ぶのが怖いなら」


少し間を置く。


「無理に選ばなくてもいい、と」


私は水面を見る。


「そうですか」


女性はうなずく。


「近くにいることを、選びます」


その言葉は、依存を肯定していた。


だが、逃避ではない。


「選ばないことも、選択だと思うので」


私は何も言わない。


それを否定しない。


女性は少しだけ安心した顔をする。


夕方、女性は同じ距離にいる。


動かない。


無理に離れようともしない。


ただ、そこにいる。


夜、部屋に戻る。


窓を開ける。


風は変わらない。


選ばないという選択。


それは、前に進むための回り道かもしれない。


私は灯りを落とす。


女性は止まった。


だが――


そこから、動けるのかはまだ分からない。

ここで一度「依存を否定しない」という段階に入りました。


無理に離れさせるのではなく、

自覚させた上でどう動くか。


この先で“本当の自立”に入ります。


ここからが一番面白いところです。

ぜひ続きも見てください。


ブックマーク・評価いただけると、とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ