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私に水飛沫をかけないで〜冒険者を目指すフィデリスの水泳教室〜  作者: くろくまくん
人族 フィデリス 12歳

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7/10

お助け魔族のラーナくん

なかなか上手く泳げないフィデリス。


ナターシャ先生は、卵を放り投げて、お助け魔族のラーナくんを召喚した。


このカエルさんは……?



◯登場キャラクター


フィデリス 人族 12歳

冒険者になるため、苦手な水泳を克服するべく特訓をする


アマリリス 人族 12歳

フィデリスの幼馴染の少女 


ナターシャ 人族 25歳

フィデリスの水泳の教師 王国騎士団所属


ラーナ 魔族 53 歳

お助け魔族協会所属

「お助け魔族のラーナくんは、色々なことを助けてくれるお助け魔族協会に登録している魔族なのよ」


 え、そんな協会あるんだ。


「吾輩は暇ではないのだがな。でもナターシャ先生の頼みとあらば仕方ないケロ」


 先生、何も頼んでないと思うんだけど……


「じゃあラーナくん、このフィードくんにフロッグスイムを手取り足取り教えてあげてくれる? 私はちょっと疲れてしまったから休憩してくるから」


 え、先生行っちゃうの?


「おぅ、任しとくケロ。おいボウズ、とりあえず泳いでみるケロ」


 ラーナくんは背丈は俺の半分くらいで、まぁ見た目はカエルさんなんだけども……なんだか見るからにツヤツヤしていた。


 とにかく俺はもう一度泳いでみる。


 ばっしゃんばしゃばしゃ


 ざぷーん! どっぽーん!


 さっきと同じくはじめの場所からほとんど進まない。


「どうですか?」


「おい、お前舐めてんのかケロ」


 ラーナくんが装置の中に入ってきて、俺の近くまでくる。


 とてもつぶらな瞳でキラキラしている。アマちゃんが可愛いというのも頷ける。


「いや、舐めてないですけど……なんかコツってありますか?」


「コツなんてないケロ。やればできるんだケロ。根性だケロ」


 え。なんのために来たんだコイツ。


「ラーナくんの手本見せてくださいよ〜」


 手本を見ればコツが掴めると思ったのだ。


「普段、吾輩が泳いで見せることはあまりないんだケロ。仕方ない、よーく見ておくケロ」


 こ、この動きは……。


 なんかわかんないけど、そんなに上手くなさそうなのにスイスイ泳げている。


 あっ! 俺はあることに気づいた。


「ラーナくんは手足に水かきがあるじゃないですか〜。俺はないからその時点で泳ぎに向いてないんですよ」


 俺のとこに戻ってきたラーナくんは身体をツヤツヤテカらせながら近くにやってくる。


「何を言い出すかと思えば、言い訳かケロ。吾輩の水かきは元々備わってるものなんだから良いも悪いもないケロ。お前も自分なりに工夫して、やってみるケロ」


 そうやって、俺の手を掴んでくるラーナくん。


「フィードくん、可愛いカエルさんと遊んでていいな〜、楽しそう」


 いや、この状況は完全に遊んでないだろ。


「さっきナターシャ先生も言っていたと思うケロ、手をしっかり閉じて、水を逃さないようにかくんだケロ。キックの時は、水を後ろに蹴り出して、自分が前に飛び出すイメージだケロ」


 俺の手を掴んだりして、教えてくれるのはいいんだけど、なんかすっごくヌメヌメしてきたんだけど……


「はい……なんとなく……わかってきました……あれ?  なんだか体がおかしいぞ」


 ラーナくんが触ったところを中心に、なんだか身体が熱い。


「あ、言い忘れてたけど、吾輩の身体は毒で覆われてるから、あまりベタベタ触らないほうがいいケロ」


 え。いや、ラーナくんから触ったよね。


「ちょ、わかりました! すぐ泳ぐんでもう触らないでください!」


 近づくと触られる気がしたので、俺はとにかく離れるために泳ぐことにした。


 手をしっかり閉じて水を身体の中に抱え込むように……


 そして、手をまっすぐにピンと伸ばし、思い切り水を後ろに蹴り出す!!


 ずおおーーん!


 ん? なんだかさっきと水の音が変わった気がするし、進んでる!


 そして、それを繰り返す。


「フィードくん、ちゃんと泳げてるよ〜!」


 アマちゃんが教えてくれる。俺はその調子でフロッグスイムを続けた。


 気がつくと、装置の反対側まで俺は到達していた。


「やった! フロッグスイムできるようになったぞ〜!」


 俺は、装置の反対側にいるラーナくんとアマちゃんに目一杯手を振った。


「そっちにもう一回行ってみるんで、見ててください!」


 壁を蹴ってキックアンドスティック。


 そして、ある程度進んだところで手をかき、息継ぎをして、そして手を前にまっすぐ出すと同時に水を後ろに蹴り出す!


 俺は今まさにカエルさんになっている。


 水が苦手だった俺が、こんなに泳ぎを楽しめてるなんて。


 ひとかきごとに自分が進んでいっている。未来へと進んでいっているのが実感できる。


 そして、元の場所まで戻ってきた。


「はぁ、はぁ、ラーナくんどうでしたか?」


 俺は少し息切れしながら聞いた。


「もうお前に教えることはないケロ。これからも精進するんだケロ」


 いや、そんなに大して教えてもらってないような……毒は盛大にもらったけど。


 と、休憩からナターシャ先生も帰ってきた。


「あら、もうフロッグスイムをマスターできたのかな? さすがラーナくんね」


「コイツはなかなか飲み込みが早かったケロ。毒にやられる前にマスターできてよかったケロ」


 何気に怖いこといってるねー。


「うんうん、ありがとうねラーナくん。また何かあったら呼ぶわね」


 ラーナくんは、手を俺達に振りながら帰っていった。あ、帰るときは普通に徒歩なんだ。


 まぁでも。おかげさまで、泳ぎの基本を覚えることができた気がする。


 ありがとうラーナくん。


ナターシャ先生が呼んでくれたラーナくんのおかげ(?)で、フロッグスイムをマスターできたフィデリス。


これで……冒険者の資格への道がまた近づいたのだ。



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― 新着の感想 ―
ど、毒⁉️ (´⊙ω⊙`)! とすると、同じ水で長いこと泳いでいたら死んでしまうのか……。 (。ŏ﹏ŏ) そら、誰もが真剣になるし、すぐに上達しますね〜w (´ε`)
お助け魔族のラーナ君は53歳ですか。 アマちゃんは「めちゃくちゃ可愛い」と形容していましたが、この場にいる中では実はラーナ君が一番の年長者という事になるのですね。
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