フロッグスイムを習得するぞ
フィデリスとアマリリスは、町中でラスキー達に絡まれているところを、通りすがりの吟遊詩人エルフさんに助けてもらった。
フィデリスはもっともっと強くなれるのかな?
◯登場キャラクター
フィデリス 人族 12歳
冒険者になるため、苦手な水泳を克服するべく特訓をする
アマリリス 人族 12歳
フィデリスの幼馴染の少女
ナターシャ 人族 25歳
フィデリスの水泳の教師 王国騎士団所属
俺は、アマちゃんとともに獣人族のラスキー達にからまれ、エルフさんに助けてもらったその日から、今までよりさらに強くなりたいという思いを固めたのだった。
朝起きて、ちゃんと自分で水で顔を洗い。
ごはんもしっかり残さず食べ。
そして、早寝早起き。
「うお〜〜!! 今日もたくさん食べるぞ〜!!」
え、それじゃ強くなれないって? おかしいな……冒険者の父は、基本が大事だぞと、いつも言ってくれていた。
そして、水泳特訓もようやく泳ぎの訓練にまできた。
「フィードくん、今日はフロッグスイムをマスターしてもらうわよ。前から言っていた手足の動きはもう大丈夫かしら?」
「はいっ、ナターシャ先生! 手をあげて〜! 横にかいて〜! ぐるっと回して、またあげて〜!」
俺は実際に手を動かしながらフロッグスイムの手の動きをしてみた。
「うんうん、まぁ手は出来ているわ。ただフロッグスイムの醍醐味はこれを水の中でタイミング良く、手と足を動かすこと。私がやってみるから見ててね」
ナターシャ先生は、装置の中に入り、壁を軽く蹴ってキックアンドスティックをした。
そして、手の動き。
その時に顔をあげて息継ぎをして、手を上げて……実際は前にぴんと出してるんだけど、その時にカエルさんみたいに足で水を蹴り出していた。
凄い……ひとつひとつの動きに無駄がない。
それに一回のストロークだけで、もう装置の三分の一くらい進んでいた。
そして、80フィート先の壁でターンして、こちらに戻ってきた。
ナターシャ先生のフロッグスイムは綺麗で可憐なだけでなく、まさに女王の貫禄があった。
一往復して泳ぐのをやめたナターシャ先生。
「どうかしら? いきなり完璧には無理だと思うけども、なんとなく掴めたらいいわよ」
俺はナターシャ先生の泳ぎに見惚れてしまってたので、言葉が出なかった。
それを横で見ていたアマちゃんは、何故かむくれている。
「ほら! 先生がフィードくんに聞いてるよ」
「あっ、はい、とりあえずやってみます」
キックアンドスティックはもうマスターしたので、次は手足の動きだ。
ばっしゃんばっしゃん
ざぱーん! どぽーん!
俺の気持ちの中ではめちゃくちゃ進んでるつもりなんだけど、全然前に進まない。
「もう、フィードくん! 私に水飛沫をかけないでよ〜! さっきから同じとこで溺れてるみたいにバタバタしてるだけじゃない」
え。めちゃくちゃカッコ悪いじゃないか。
「おかしいな……先生がした通りに手足を動かしてるつもりなんだけど……」
ばっしゃんばしゃばしゃ
どっぱーん! ざぶーん!
「はい、フィードくんいったんストップ。派手に水音はしてるけど、全く進めてないのわかる?」
それは俺が一番実感している。だって立った時に、場所が変わってないんだもん。
「先生、なんで俺、前に進めてないのかな……?」
「うーん……具体的に言うと、ただ力任せに手足をバタバタしてるだけだからだね。泳ぐのって、水流があればそのまま棒みたいになってたら進んでいくけど、水流がないところでは自ら水流を作るの」
「自ら水流を作る?」
どういうことだろう?
「そう。手と足を動かしてるのは、そのためなのよ。手をかくときは指をしっかり閉じて水をかく。そして、起こした水流を損なわないように脇を締めて前に出す! 足も同じような感じかな〜」
言葉ではなんとなくわかるんだけど、実際にするとなるとなかなか難しい。
「というわけで、お助け魔族のラーナくんの登場でーす!」
え。お助け魔族って何。
ナターシャ先生が、何やら懐から卵のようなモノを取り出して、装置の中に投げ入れた。
ぼわん!
小さく煙が出て、そこから出てきたのは……
カエルさんだった!!
「か、か、カエルさん!?」
「いやん、めちゃくちゃ可愛い!」
俺とアマちゃんが同時にリアクションをした。
「吾輩はラーナ。フロッグスイムのプロだケロ。吾輩がビシバシ教えてやるから、覚悟するケーロ」
なんだか甲高い感じの声のカエルさんだな。
「ラーナくん、よろしくお願いします!」
「おぅ、任せるケーロ」
俺はお助け魔族のラーナくんの恐ろしさに、まだ気づいていなかったのだ。
先生にフロッグスイムの詳しい泳ぎ方を教えてもらうが全然コツがつかめない。
そこで先生は、お助け魔族のラーナくんというカエルさんを召喚した。
フィデリスはフロッグスイムを習得できるのか??
◯魔道具プチ情報
フィデリスが必死で特訓している箱型水泳特訓装置は、箱型の大きな枠の中に水が入っており、常に水が浄化され、水温も一定になるように魔法がかけられているぞ。アマリリスが入らないのは、水がちょっぴり苦手だからみたい。




