ドッグ ブイエス エルフ?
アマリリスと仲良くかき氷を食べるフィデリス。
そこへ邪魔をする連中が……?
◯登場キャラクター
フィデリス 人族 12歳
冒険者になるため、苦手な水泳を克服するべく特訓をする
アマリリス 人族 12歳
フィデリスの幼馴染の少女
「あいつ生意気に女の子とデートしてやがるぞ!」
ふと声が聞こえてきた。
なんだなんだ? 声のほうを見ると、例の獣人族のラスキーだった。あと、何人か他にもいる。
「フィードどうしたんだ? 全然泳げないくせに」
泳げないのは全然関係ないだろう。
「フィードくん、あっち行こうよ」
アマちゃんが小声で俺に伝える。あぁ、俺もそう思う。こんな奴らをいちいち相手にしていても仕方ない。
「かき氷も食べ終わったし、そろそろ行くか〜」
俺は誰に言うでもなく、長椅子から立ち上がった。ラスキーがその前に立ち塞がる。
「おっと、なんだもう行くのかよ。もう少し俺達と遊んでいこうぜ」
「もうあまり絡まないでくれよ。じゃあな」
俺は相手にせずアマちゃんの手をひいて行こうとした。すると、ラスキーはアマちゃんの肩を捕まえてきた。
「アマリリス、こんな泳ぎもできずあっぷあっぷしてるみっともないやつより俺達と遊ぼうぜ」
アマちゃんは、明らかにムッとした顔をしてラスキーを睨む。
「あんた汚い手を離しなさいよ。それにフィードくんはみっともないことなんてないんだから!」
ラスキーとその仲間たちが徐々にヒートアップしていくのがわかる。
「なんだとこのブス!! 俺のこの手の肉球はめちゃくちゃ柔らかくて気持ちいいんだぞ!」
ちょっと怒るところが違う気もしたが……ちなみに獣人族は人族に比べて寿命が極端に短い。その代わり多産な種族のため、めちゃくちゃ兄弟が多かったりする。たぶんこの一緒にいる連中もラスキーの兄弟だと思う。
「おい、ラスキー。俺たちに声をかけてくるのはいいが、俺のアマちゃんに悪口を言うのは許さないぞ」
俺はアマちゃんの前に出て、ラスキーを睨んだ。確実に体格はラスキーのほうがデカい。力も負けているだろう。
「ん? 許さない? 許さないならどうするって言うんだ」
ラスキーとその兄弟たちがじわじわ、俺達に詰め寄ってくる。
「あっ! 弱いものイジメみっけ〜!」
ふと、遠くから声がした。エルフ族……? 肩から楽器が入ったケースのようなものをかけた男性のエルフは、ゆっくりとこちらに歩いてきた。
「エルフ……! お前には関係ないだろう」
ラスキーはそのエルフに圧倒されながらも言う。
「あれ、おかしいな。僕のこと怖がらないってことはまだ年の浅い獣人だねえ」
言いながら、俺たちのいる側までそのエルフはやってきた。
「なんだよ、俺達の邪魔をするな!」
そのエルフは、ニヤニヤと余裕の表情を浮かべながらラスキーの前まで来た。
「いや、邪魔をする気はないんだけどね。でもこれだけ大勢で男の子女の子の二人をいじめるのは良くないよねぇ」
「な、なんだよ」
ニヤニヤしたままでそのエルフは言った。
「僕も弱いものイジメしちゃおっかなー」
そのエルフの体全体から、何か殺気というか、お前らやってやんぞ的なオーラが出ているのがわかる。
「うっ……お前ら帰るぞ!」
エルフの圧にやられて、ラスキー達は帰ってくれた。
「助けてくれてありがとうございました」
俺はそのエルフに礼を言った。すると、俺とアマちゃんの頭をぽんぽんと優しくたたいて言う。
「たまたま通りがかっただけだからね。君はもっと強くなって、その子を守ってあげなきゃダメだよ~」
その通りだと思った。俺はまだまだ弱い。力だけでなくて、心も。
「じゃあ僕は行くからね。魚の丸焼きでも食べて帰ろうかな〜」
「あ、もしよかったら名前を聞かせてもらえますか?」
俺はエルフに名を尋ねた。
「名乗るほどのものでもないよ。風のようにさすらう、吟遊詩人とでも呼んでくれ。じゃあね〜」
すでに歩いて行きながら、そのエルフは去っていった。エルフが去って行ってからアマちゃんが口を開いた。
「なんかすっごくキザなエルフさんだったね〜。でも、助けてくれてよかったね」
俺もそう思った。
吟遊詩人のエルフが言ってたように、俺はもっともっと強くならなきゃ。
そして、この子を。
アマちゃんを守れるようにならなきゃ!
ラスキー達獣人族に嫌がらせを受けていたのを助けてくれたのは、吟遊詩人のエルフだった。
フィデリスは自分の力のなさを痛感する。
そして、もっと強くなりたい、と願うのだった。
◯多種族プチ情報
エルフ族はとっても長生きなのに対し、獣人族はだいたい15年くらいと長短命。なので、ラスキーのように年の浅い獣人は、強いエルフを見てもその恐ろしさがわからない場合もあるようです。




