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 いつの間にかボートの中で遥は講演を開いている。シロクジラの話から始まって、ドームの構造や設計思想の話までずっと会話が止まらない。もしかしたら遥は会話に飢えているのではないか、一人が寂しいんじゃないかと疑いたくなる勢いだ。放っておいたら何時間でもしゃべり続けるだろう。確かに遥はおしゃべりだった。普段は無口だけど話しだしたら止まらなくなる。夏はとりあえず遥からもらった新しい棒付き飴を口にくわえる。それが遥の講演を聞く報酬だった。

 ……お昼ご飯はなんだろう? クリスマスだから、豪華なものだったらいいな。遥は意外と張り切ってくれそうだしな。夏は遥の話をあまり真剣に聞いていない。

 二人を乗せた白いボートは地底湖の外周を回り切ったようで、探検に出発する前の場所に戻ってきたようだ。小さな孤島。橋と駅。それに宇宙船のような研究所の明かりが真っ暗闇の中にぼんやりと光って見える。なんだか、ちょっと懐かしい。

「……で、一番苦労したのがセキュリティー。最初は全然問題にしてなかったんだけど実際に建設が始まるといろいろと問題が出てすごく困った。いっそ無視してやろうかと考えたくらい」

 夏もそうだが、遥はあれからずっと水着の上にパーカーを着ている。それを脱ごうとする気配はない。どうやら遥はもう泳ぐことはやめたらしい。……これは、ボートから降りてお昼ごはんだな。

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