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「照子が生まれたのは奇跡……、なんだよね?」夏は遥に問いかける。答えを聞きたかったわけじゃない。思考がぐるぐるしてきたので、遥の声を聞きたかっただけだ。

「うん。照子は奇跡。私は奇跡を目撃したの。とても感動した」思いがけず遥が熱っぽい。

「照子が生まれる前、結構いろんなことに飽きちゃってたんだ。だいたいの興味があったこと、やりたいことは全部やってしまったあとだった。……あとは、それを発表して共有して作るだけ。どんなものができるかも、どのくらいの影響があるのかも、誤差の範囲でわかってた。このあとの自分の人生は時間との競争なんだって考えると、……いろんなことが面倒くさいなって」

「面倒くさい?」

「つまらないってこと」なるほど。わかりやすい。

「だから奇跡をこの目で見てね、すっごい感動したの。まだ私にもなにかできることが残っているんじゃないかって。すごくうれしくなった」

 遥の表情は笑顔だ。いつも笑ってる遥。でも、今の遥はいつもと少し違う。本物っぽい。とても自然な笑顔だ。作り物の笑顔じゃない。夏はすこし悔しい。これは恋をしている顔だ。遥は夏に、こんな笑顔をしない。

「照子が生まれた日、わたしいっぱい泣いたの。生まれてから初めて泣いた。照子はとても可愛らしく笑ってた。本当に可愛かった」

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