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 夏は緊張して全然眠れない。さっきから隣ですやすやと眠って居る遥の寝息が聞こえてくる。どきどきする。

 ……おかしい。あれだけ疲れていたのに、どうしてこんなに眠れないのだろう? さっき地上で仮眠したことで眠気が失われてしまったのだろうか? 夏は開いた目をぱちぱちさせる。

 暗い部屋の中、大きなディスプレイだけが淡い光を放っている。 それは夜に見ると本物の水槽のように見える。そう思うのは、ディスプレイの中を白いクジラが優雅に泳いでいるからかもしれない。夏は遥の寝ている横顔を見る。遥はパジャマに着替えをすると同じくパジャマに着替えをした夏と一緒にベットに入って、それからすぐにすーすーと寝息を立てて寝てしまった。自分から誘ったくせにすごく冷たい。

 どうしよう? とりあえずもう一度目を瞑ってみる。そのままじっと時間が過ぎるのを待つ。

 ……だめだ。全然寝れない。夏はあきらめて遥を起こさないように気をつけながら、その体をベットの上で上半身だけ起こした。それからぼんやりと薄暗い天井を見つめる。


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