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「夏。ご飯食べないの?」夏の質問には答えないまま遥が言う。いつの間にか夏の箸は止まっていた。

「なんでもない」夏はそう言って卵焼きを口にした。美味しい。

「地上にある施設、見学してきた?」遥はお味噌汁に口をつける。夏も真似してお味噌汁を飲む。豆腐とわかめのお味噌汁。それはとても美味しかった。 

「でっかい透明なガラスの壁のこと?」

「そのでっかいガラスのこと。あれね、ドームの形になってるの。かなりの範囲を包んでる」

「あれがドーム? 私はドームの中を歩いてここまできたってことなの?」

「そうだよ。まだ七十パーセントくらいの完成度だけどね」

 遥の話に夏は驚く。そうか。あれは壁じゃなかったんだ。見えないだけで、空の彼方にまで続いていたんだ。

「そうなんだ。てっきり巨大な太陽光パネルだと思ってた。随分大きいなとは思っていたけど」

「太陽光パネルであってるよ。その機能もある。でも一番の目的は人工的な環境をドームの内側に構築することなんだ」

「人工的な環境? そのためにあんなに大きなものがいるの?」

「うん。いるよ。いろいろとね、めんどくさいんだ」遥は言う。

 遥はいろんなお話を夏にしてくれる。遥とおしゃべりしながらの食事は本当に楽しい。学園でも一緒にご飯を食べたことを思い出す。あのころから遥は手作りのお弁当を学園に持ってきていた。遥は小食でご飯を食べるスピードも遅くて夏はいつも遥がお弁当を食べ終わるのを横に座って待っていた。夏はいつも遥のことを待ってばかりいた。昔からずっとそうなのだ。

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