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 とても大きな音がして、照子が後ろに吹き飛んだ。夏は反動で床の上に倒れこむ。澪は見ていることしかできない。澪は画面の外には出られない。(実体の体を持たない澪は、観測者としての役目しか持たない)

 ……まるで雷鳴のような、(なにかを告げる天命のような)大きな銃声が鳴り終わると、世界に速度が戻り、通常の物理法則に則った速度で照子が転がるように床の上に倒れこむ。

 そのまま動かない。夏はシェルター室の中に這うようにして、戻ってくる。そのまま(四つん這いのまま)、まるで母親を求める赤子のように、部屋の中央付近にいる遥のところまで近づいていく。

 夏はどこか放心しているように見える。遥の元に(照子と入れ替わるようにして)たどり着いた夏が、そっと遥の頭に触れる。遥の右の側頭部には、小さな穴が空いている。(それを夏は自分の手で、確かに確認する)

 床の上におうぎ形に広がった遥の長い黒髪を綺麗にまとめてから、夏は倒れている遥の顔に手で触れる。開きっぱなしの遥の瞳を手でなでるようにしてそっと閉じた。そのまま夏は顔を近づけて遥の唇にキスをする。澪はそんな二人の様子を画面の中から観察し、二人の生きた証を、記録し続けている。

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