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 どん! というとても強い音がする。でもドアはびくともしない。ただ夏の足が痛くなっただけだ。

 頑丈なドアだ。……嫌なドア。ドアは常に沈黙している。夏が開けようとするドアにはいつも鍵がかかっている。夏は振り向いて部屋の中に視線を戻す。

 緊急用の通路はないのか? 部屋の中を手当たり次第、探す。なにもない。なにも見つからない。夏は遥の部屋の中に完全に閉じ込められてしまった。(部屋に鍵をかけたのは遥だ。私じゃない。……だって私は部屋の鍵を持っていないもの)

 どうする? 落ち着いて。考えろ、夏。どうすればいい?

 焦ってもどうにもならない。私は今、なにをすればいい? 夏は考える。赤いランプが激しく点滅し、大きな警報が鳴り響く部屋の中をぐるぐると夏は歩き回る。

 しかし、考えても考えてもどうにもならない。(夏は研究所のシステムにまったくアクセスできない)夏は無力である。なんの力も持たないただの孤独な(迷子の)一人の小さな子供に過ぎない。夏には誰かの助けが必要なのだ。そしてこの研究所の中で、遥のほかに夏を助けてくれる存在は、……澪しかいない。

 夏は部屋の隅っこにあるサイドテーブルの前に移動すると、その上にある警告という文字を表示し続ける遥のノートパソコンのディスプレイの画面に向かって、大声で叫んだ。

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