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 夏はゆっくりと床の上に立ち上がる。

 部屋の壁掛け時計は良く見えない。(そもそもこの部屋の中に時計なんてあったっけ? 思い出せない。記憶がなんだか曖昧になっている)自分の腕時計はリックサックの中だ。ディスプレイを見ると、そこは明かりが消えたままになっていた。澪はいない。(代わりにディスプレイには大きく横に流れる警告の文字が表示されている)

 夏はベット脇のサイドテーブルの上に置いてある遥のノートパソコンの画面を見る。そこには(ディスプレイ同様)警告の表示が点滅しているだけだ。そこにも澪はいない。

 次に夏はリックサックの中から自分の腕時計を取り出した。しかし最新式の腕時計は死んでしまったかのように沈黙している。夏はそれを腕に巻くことなく、リュックサックの中に戻した。(本来、この場面で腕時計を巻いても良いのだけど、夏はそのことを今の時点では焦りで失念していた)

 キーボードに触れると、データがロックされています。という文字が表示された。(その文字の通りデータはロックされていた)セキュリティーが発動している。それはきっと外部に研究所のデータが流出するのを食い止めるためだろう。以前に遥が言っていた通り、緊急のときは強制的にデータにロックがかかる仕組みのようだ。

 赤色の激しい点滅のため、めまいがする。音がうるさすぎて頭痛がひどくなる。夏は部屋から出ようとして入り口のドアの前に立つ。しかしドアは開かない。ロックされている。夏はそれから部屋のもう一つの奥の通路に続くドアの前に移動する。するとそちら側のドアは開いた。ロックされていない。理由はわからない。二つのドアの違いが夏には理解することができない。でもとにかく開いた。その先の通路はキッチンになっている。キッチンも遥の部屋と同じく赤色の照明が点滅している。でも警報の音は少しだけ弱くなった。

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