表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

240/442

275

 ずっと床の上を這っていた照子の体がぴたっと動きを止めた。それから照子の顔が、上を向いえて、ふらふらと少し空中をさまよってから、遥を見つけた。

 遥は自分の顔に向けられた照子の顔をじっと見つめた。

 目は隠れていて見えない。(それは最初と同じだ)口元が少しだけ動いている。……なにかを言おうとしている? 言葉を話そうとしているんだ。遥の右手は照子に向けられている。さっきから震えが止まらない。……寒い。凍えるように、体が冷たい。夏。……夏。遥は夏の名前を呼ぶ。だけど夏からの返事は聞こえない。(夏からもらった炎は、熱は、一瞬で照子に消滅させられてしまった。……悔しい)

「」

 照子の言葉は小さくて聞き取ることができない。それから少しして、照子は口元を動かしながら、床の上を再び這うようにして動き始める。照子は遥の耳には聞こえない小さな声で言葉をしゃべりながらも、床の上を這うことをやめない。照子は今、部屋の中央にある二人の見えない境界線を強引に越えて、部屋の隅っこで壁に背中を押し付けて震えている遥の、……とても近い場所にまで移動している。ちょっとずつ遥に近づいてくる。

「」

「」

 なんだろう? なにをつぶやいてるんだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ